「財政の崖(Fiscal Cliff:フィスカル・クリフ)」と呼ばれる事態が、米国で懸念され始めている。
米国では、前大統領ブッシュ政権下で導入された社会保障減税や所得減税が2012年末で期限切れとなる。さらに、1兆2千億ドルもの大規模財政赤字削減が強制発動される。これらを合わせると、その規模は米GDPの約3.5%にも達するとも。これを懸念していたFRB(米連邦準備制度理事会)バーナンキ議長が、2012年2月の時点で議会証言において「大規模な財政の崖」と、警笛を鳴らしていた。
5月には米議会予算局(CBO)も、2013年1月に「財政の崖」によりマイナス成長に陥る可能性を警告している。
CBOはさらに、政府や議会が対策を取らなければ2013年上期の成長率は-1.3%となり、リセッション(景気後退)に陥るであろうとの見解も示している。
与野党の対立と11月の大統領選挙を控えて政策論議は遅々として進まない様子。
オバマ大統領が再選した場合には議会とのねじれ構造が続き、落選ともなれば、レームダック政権となってしまう。
いずれにしても大統領選終了時点では、財政の崖はもうすぐそこ。
ユーロ危機に続いて米国危機とならなければ良いですが・・・
以上2012年6月6日作成
以下、2013年1月4日追記
富裕層の減税措置打ち切りを主張するオバマ大統領と富裕層への実質増税に反対する共和党との対立は年末まで続き、決着は年明け1日の夜に。
年収40万ドル未満の個人、または45万ドル未満の世帯への減税を恒久化し、これ以上の層への税率引き上げなどの法案を可決し、減税失効については最小限に抑えたものの、歳出の強制削減については、開始時期を2ヶ月先送り、つまり問題を先送りすることでいったん決着、という形に。
最終更新:2013年01月04日