ESM:European Stability Mechanism の略。ユーロ圏の財政悪化国への支援の仕組み、基金で、IMF(国際通貨基金)の欧州版のようなもの。
2010年5月にギリシャへの支援に合わせて欧州金融安定ファシリティー(EFSF:European Financial Stability Dacility)が設立された。
但しこのEFSFが13年6月までの期限付きであった為に、危機対応の常設化組織として、EFSFの機能も継承する、欧州安定メカニズム(ESM)の設立を11年6月の欧州理事会で決定。12年2月にESM創設の条約が署名された。
その後、12年3月のユーロ圏財務相会合で、12年7月からESMを稼働、EFSFとの併用を決定。最大融資枠は約8,000億ユーロ。
なお、ESMの現行制度では銀行への直接融資が出来ず、国への融資に限られる。
資金難に苦しむスペインの銀行を財政難に苦しむスペイン政府が救済できずに混乱を招く前に、ESMから銀行への直接融資を可能とすべき、とするスペインのラホイ首相に対して、ドイツは「問題外」と一蹴。
そもそも、8,000億ユーロではスペインとイタリアの救済には足りない、とも言われている。
財政難に陥る国とユーロ圏の救済基金とのイタチごっこのような関係は、ユーロ債務危機の問題の根深さを示しているようです・・・
以上2012年5月31日作成
以下、2012年9月13日追記
ドイツの一部反対グループによりESMは憲法違反としてドイツ連邦憲法裁判所に提訴され、ドイツでの批准が遅れ、ESM自体の稼働もドイツ待ちとなっていました。
9月12日、独憲法裁判所がESM(欧州安定メカニズム)に合憲判断。
なお、ESMへの拠出はドイツ下院の承認がない限り1,900億ユーロを上限とすることを条件として付加。
当初の7月稼働予定は3ヶ月遅れの10月8日に稼働見通し。
最終更新:2012年09月13日