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★「グレート・モデレーション」★

グレート・モデレーション(Great Moderation:大いなる安定)とは、一般的には2004年頃からリーマンショック前までの数年間を指すことが多く、この時期の特徴として、高成長、インフレの安定、低金利が続き、市場のボラティティは低下し、金融市場全般が安定した状況となっていました。その結果、株も債券も安定して買われ続けるような状態が続きました。第14代FRB議長のバーナンキ氏が議長に就任する前、理事だった2004年にグレート・モデレーション(Great Moderation:大いなる安定)というタイトルで講演を行ったことも、語源の一つではないかと推測されます。しかし、この2年後にFRB議長に就任、その1年後にサブプライム問題が拡大し、翌年のリーマンショック、そして世界金融危機(この時期は「グレート・リセッション(Great Recession)」と表現されることも)へとつながったこともあり、うぬぼれた表現、と揶揄されることもあるようです。

2014年春以降、市場の変動率低下が顕著となり、市場の警戒感を示すVIX指数は3月にはリーマンショック前、2007年以来の水準へと低下し、7月初旬には10.32まで低下しました。同時に米株は上昇傾向が続き、NYダウは何度も史上最高値を更新し、金利は低水準が継続する状況が続きました。米国の1-3月期GDPは寒波の影響で一時的にマイナス成長となりましたが、4-6月期には大きく盛り返し、高成長を期待させる状況となっています。そんな状況から、グレート・モデレーションの再来ではないか、という見方もあります。

米国の経済状況は、金融危機からの脱却が進み、好調さを示す指標が続き、この秋にはQE政策の終了も予定され、さらにその数カ月後には金融政策正常化に向けて2006年以来9年ぶりとなる利上げが見込まれる状況。グレート・モデレーションと呼ぶにふさわしい時期にさしかかっている、と言っても差し支えないようにも思われます。

しかし、これまでQE1、QE2と量的緩和政策を実施し、それらが終了する度に株価は大きく下落してきた経緯もあります。QE3を縮小し始める可能性がある、とのメッセージがFRBから発信されただけで2013年5月に株価は大きく下落し、新興国通貨安を招き、市場は混乱しました。QE3終了後の株式市場や新興国の状況など、警戒すべき点も残ります。

もし、最低限の混乱で切り抜けて、本格的にグレート・モデレーションと呼べる時期が到来したなら、その後に控えているかもしれない、何らかのリバウンドにも警戒すべきであることは、歴史が教えてくれています。

最終更新:2014年08月25日

関連ワード
QE3 グレートローテーション ゴルディロックス テーパリング ニューニュートラル 

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