米債券運用大手パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)が2014年5月に発表した経済予測レポートでは、この先3-5年の間、各国の潜在成長率は歴史的な低水準に収れんし、インフレが低い水準で推移するとの見通しで、金融危機前の水準を回復できない可能性が高いことを予想しています。そして政策金利も金融危機前のニュートラル(中立的)な水準を下回り、新しいニュートラルな水準、つまり極めて低い水準にとどまる、と見ています。
このニューニュートラルという考え方は、2009年の「ニューノーマル」の次の段階として、変化する世界経済の特徴を現しています。
金融危機後の回復段階において、危機以前の状態に完全に戻ることはなく、状況が変化したことを受け入れた段階が「ニューノーマル」の時代、その後数年経過しても低成長と低インフレ、政策金利はゼロに近い水準が続き、今後もしばらく低金利が続くであろう「ニューニュートラル」の時代、と解釈できそうです。
金融危機前の2007年、米英の政策金利はいずれも5%台でしたが、2009年以降、いずれも史上最低金利の状態が継続中。利上げ時期に関する憶測は出始めてはいますが、2007年の水準に対して、どこまで戻るのかは不透明な状況が続きます。
なお、日本の場合は金融危機前どころか1999年に既にゼロ金利政策となっていた為、現在のゼロ金利はニューニュートラルどころか21世紀のジャパニーズ・スタンダードとなっています。日本の政策金利(公定歩合:当時)が1%を上回っていた時期は、1995年まで遡ります。1990-91年頃には5%台、1980年頃には7-8%台という古き良き時代もありました。
最終更新:2014年05月27日