金プラチナ短期相場観
雇用統計上振れに警戒された過剰反応、賃金上昇率低迷は継続
更新日:2015年3月7日(土)
米2月分の雇用統計の結果が予想外に好結果となったことで、懸念されていたポジティブ反応がやや過剰に見られた様子です。
NYダウは1.54%の大幅下落。NYダウの昨年来の平均騰落率は0.53%で、2%を超える下落は1回しかなく、1.5%超の下落でも昨年は8回、今年は変動率が高まったと言われながらも1月5日の1.86%下落、1月27日の1.65%下落に続く3回め。最近の高値警戒感に加え、予想以上に年央の利上げ濃厚との見方が強まった模様。
主な指標では非農業部門雇用者数が予想を大幅に上回ったものの前月分は下方修正され、3カ月平均では+28.8万人となり好調ながらもやや鈍化。失業率は2008年5月以来の低水準となり、長期失業者の割合も前月の31.5%から31.1%に低下(改善)、U6失業率も11.3%から11.0%へと低下。労働参加率は62.8%へと0.1ポイント低下したものの全般的に好調を示す傾向。しかし、最近のゆるやかな好調傾向を維持しただけ、という見方も可能。
その一方で、まだまだ「好調」とはいえないのが賃金上昇率。
2月の平均時給は24.78ドル。1月の24.75ドルからはわずかに0.03ドル(0.12%)の上昇に過ぎず、前年同月比では+1.98%。1月の+2.19%から鈍化し、2014年5月以降は2%超2.2%程度までの間で推移し、12月に1.82%へと低下したことで低調ぶりが懸念された時に次ぐ2%割れ。
長期的にも2010年以降続く2%前後の水準にあり、それ以前の3%近辺の水準へと向かうような気配は依然見られない状況。
2月に大手小売のウォルマートが賃上げを発表するなど、一部の大手企業では賃上げの動きが見られ始めているとはいうものの、まだまだ限定的との見方もあり、労働省のデータにもその傾向が反映されていない様子。
賃金上昇率のチャートが少しづつでも上向き始めるかどうかが、今後の重要な焦点の一つとなります。
6日のNY市場、雇用統計上振れを受けた利上げ前倒し観測台頭による株安・金利上昇・ドル全面高の流れとなり、金相場は続落5日めで2.67%の大幅安。下落幅としては2013年12月19日、FRBがテーパリング開始を決定した時以来、1年3カ月ぶりの大幅下落に。1,190ドル台半ばのサポートラインを割れたことで下落スピードを速め、今年安値を更新し、下値余地1,170ドル割れ水準にいきなり到達。水準的には昨年安値1,140ドル台から1,130ドル近辺が意識される水準とはなったものの、流れ的には短期目標水準到達による一服感も出やすく、1,160ドルが当面のサポートラインとなる可能性も。
週間ベースでは-48.8ドル(-4.02%)の大幅反落。
プラチナ相場は4日続落となる1.8%の大幅下落。調整の範囲を超え、1,160ドルの重要なサポートライン割れ。反発傾向の流れは巻き戻され、再び下方リスクが拡大、当面の下値目標水準は1,130ドル近辺。
週間ベースでは-26.8ドル(-2.26%)の反落。
ドル円は0.49%の続伸。雇用統計を受けて120円割れ水準から121円手前まで1円の急騰、ドル全面高の流れで昨年高値121円85銭をつけた12月8日以来、3カ月ぶりの高値水準となる121円28銭まで上値を伸ばし、目標水準121円台前半にようやく到達。12月高値と2月高値を結ぶ上値抵抗線を抜けた形となり、ドル高円安トレンドが加速しそうにも見えるものの、短期的には目標到達によりいったん落ち着く可能性。中長期的にはゆっくりとドル高円安トレンドが進行。
週間ベースでは+1.07円(+0.9%)となり、3週続伸。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場3/6終値とチャート
なお、NY金相場の急落に伴い、週明けの国内金価格も大幅下落が予想されます。朝の状況により多少変化はあるとしても、サポートラインとなっていた4,930円を大きく下回ることが確実視され、現時点では4,870円台辺りまでの下落見込み。その場合、当面の下落余地も拡大し、4,800円台前半が目標水準となる可能性も。
- 2015年3月7日(土)時点の相場
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国内金 : 4,966 円 3/6(金) ▲5(0.10%) 国内プラチナ : 4,879 円 3/6(金) ▲8(0.16%) NY金 : 1,164.3 ドル 3/6(金) ▼31.9(2.67%) NYプラチナ : 1,158.8 ドル 3/6(金) ▼21.3(1.80%) ドル円 : 120.72 円 3/6(金) ▲0.59(0.49%)
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