金プラチナ短期相場観
2015年のプラチナ相場が激しく動いた10日間
更新日:2015年12月25日(金)
2015年のNYプラチナ相場は24日時点で324.7ドルの大幅下落となり、騰落率は-26.86%。1日の平均騰落値幅は絶対値で10.6ドル、騰落率は1.02%。2%超の大幅変動となった日数は29日もあり、3%を超えた日数でも6回を数えます。平均騰落率では2014年の0.72%を大きく上回り、2013年の1.03%に並びます。ただし2013年の年間トータルでは-167.6ドル(-10.89%)と今年の半分程度の下落でした。
騰落率上位10日間の状況とともに、激しく動きながら大きく水準を切り下げた2015年のNYプラチナ相場を振り返ります。
1月29日:-41.2ドル(3.27%、5位)
FOMC翌日。タカ派寄りの声明文に反応した金の急落に追随。1250ドル台から1210ドル台へ。
4月27日:+32.0ドル(2.85%、8位)
前日までの下落基調の大幅巻戻し。1年7カ月ぶりとなる大幅上昇で1120ドル台から1150ドル台へ。
8月10日:+27.6ドル(2.87%、7位)
9月利上げを意識したドル高の流れからの調整局面。金に追随する形で当時今年安値圏からの反発。2年ぶりの急騰で960ドル台から990ドルへ。
8月24日:-35.6ドル(3.47%、4位)
中国ショック(チャイナ・ブラックマンデー)。NYダウが一時過去最大の下落幅となる1000ドル超の急落。世界同時大幅株安のリスク回避。1020ドル台から990ドル台へ。
9月22日:-36.2ドル(3.72%、2位)
VWショック。独フォルクスワーゲン社の米国での排ガス不正発覚。ディーゼル車の排ガス触媒としての需要が大きいプラチナは2年3カ月ぶりの大幅下落で安値更新。970ドル台から930ドル台へ。6年8カ月ぶりの安値水準に。
9月28日:-28.6ドル(3.01%、6位)
グレンコア・ショック。スイスの資源大手グレンコアの破綻懸念リスク浮上報道を受けて資源関連は大幅安。安値更新で950ドルから920ドル台へ。6年8カ月ぶり安値水準。
10月9日:+25.8ドル(2.70%、10位)
FOMC議事要旨。利上げ見送りを決めた9月FOMCの議事内容がタカ派寄りではなかったことを好感した金の大幅上昇に連れ高。950ドル台から980ドル台へ。
11月9日:-25.6ドル(2.72%、9位)
10末FOMCと雇用統計通過に伴い利上げに向けてのドル高進行局面。金に連動して続落状態。金が7日続落で下げ止まったのに対し、プラチナはこの日で8日続落。欧州株安の影響や900ドルの安値更新に向けての売り圧力が強まった日。940ドル台から910ドル台へ。なお、翌日以降も下落は止まらず、13日まで合計12日続落で860ドル台へ。
12月4日:+33.1ドル(3.91%、1位)
ドラギショック翌日。米11月雇用統計は好調。前日のECB理事会で追加緩和決定も期待に届かない内容に失望のユーロ買い戻しドル売り急進で金とプラチナは反発。雇用統計の好結果にもドル高は限定的となり、プラチナは7年ぶり安値(今年最安値)825ドルをつけた前日からの反発基調継続。840ドル台から880ドルへ。
12月17日:-31.3ドル(3.57%、3位)
FOMC翌日。FRBが7年間のゼロ金利政策を終了、政策金利を0.25-0.50%へ引き上げ。市場予想どおりの利下げでもNY時間に入ると金の急落に追随。870ドル台から840ドル台へ。
意外にも上位10日のうち上昇した日が4日で1位も上昇日。しかし下落日6日のうち5日が3%超の大幅下落であり、急落からの大幅反発、そして戻り売りでまた大幅下落という乱高下状態を繰り返しながら、大きく水準を切り下げてきた今年のプラチナ相場の特徴がよく表れています。
そして年末、また乱高下を繰り返しながら、今度は少しづつ水準を切り上げる兆しも見られ始めています。
24日のNYプラチナ相場は1.85%の大幅反発。終値ベースでは11月10日以来1カ月半ぶりの高値水準となり、レンジ上限880ドル台をわずかに超えた状態を維持してクリスマス休暇へ。休暇明けにも現状水準を維持できるなら短期上昇トレンド加速の可能性が高まり、目標水準910ドル台を目指す展開へ。またも戻り売り圧力が強まる展開で860ドル台前半へと押し戻されるようなら2番底をつけに行く展開も。
週間ベースでは+23.4ドル(2.72%)の続伸。
NY金相場は3日ぶりの反発で0.71%高。上下わずか7ドルほどの値幅のほとんどを上昇に費やす堅調推移。12月3日の今年最安値1045.4ドルと17日安値1046.8ドルを底値とするダブルボトム形成への可能性も示す状況。短期的には1080ドルラインを超えることで1120ドル台を目指す上昇トレンド加速の可能性が開け、さらにネックライン1090ドルを超えるとその確率はさらに高まり、金相場特有の年末年始ラリーへ。1060ドル台前半へと反落の流れとなった場合には今年安値更新トライのリスクも。
週間ベースでは+10.9ドル(1.02%)、3週間ぶりの反発。
ドル円相場は0.44%のドル安円高で5日続落。日経平均の下落基調に連動するように徐々に水準を切り下げ、サポート水準120円80銭を割り込んだことで円高基調が加速、終値では10月21日(119円91銭)以来、2カ月ぶりの円高水準に。短期的には120円を割り込んでも下値目標119円台後半まででサポートされる可能性。ただし、そこから反発へと向かうかどうかはこの後の展開次第。少し長めのスパンでは夏場以降の三角保ち合いのサポートラインを下抜けた形となり、円高方向への流れがやや強まりそうな可能性も。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場12/24終値とチャート
25日の国内金価格は0.11%の小幅続落。NY金の上昇を上回る円高圧力に押されてレンジ下限4440円に接近。上値を切り下げながらも下値も切り上げる形も維持し、今年最後の三角保ち合いを今年安値圏で形成。円高基調がさらに高まるような地合いではなく、NY金の上昇トレンド加速への期待も高まる状況となり、4490円台から4500円を上抜けることが出来れば、年始にかけて4640円台辺りを目指す上昇トレンドが形成される可能性。ただし現状ではまだ大きな流れが変わった訳でもなく、4440円を下抜けた場合には4300円台半ばへと安値更新リスクも抱える状態。
週間ベースでは+14円(0.32%)の小幅反発。
国内プラチナ価格は1.27%の反発。今年安値圏での三角保ち合いから一足先に上抜け。反発しては戻り売りで安値更新のパターンを繰り返してきたこの1年間、今年最後の反発局面形成へのスタートで流れが変わるかどうか。当面の上値目安は3750円台付近。まさかの反落で3630円を割り込むような展開となった時には3510円台辺りへ、三番底をつけに行く可能性も。
週間ベースでは+109円(3.05%)となり、実に9週間ぶりの反発。
※参考:金プラチナ国内価格12/25とチャート
- 2015年12月25日(金)時点の相場
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国内金 : 4,457 円 12/25(金) ▼5(0.11%) 国内プラチナ : 3,682 円 12/25(金) ▲46(1.27%) NY金 : 1,075.9 ドル 12/24(木) ▲7.6(0.71%) NYプラチナ : 884.2 ドル 12/24(木) ▲16.1(1.85%) ドル円 : 120.38 円 12/24(木) ▼0.53(0.44%)
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