金プラチナ短期相場観
好結果の雇用統計にもドル高は限定的、ドラギショックの影響も?
更新日:2015年12月5日(土)
11月の米雇用統計で非農業部門雇用者数(NFP)は2カ月連続で予想を上回る前月比20万人超の大幅増、過去2カ月分も合計3.5万人の上方修正。失業率は7年半ぶり低水準となる5.0%維持と好結果。注目の賃金も前年同月比+2.31%と好調。前月分は+2.48%から+2.52%へと上方修正され、6カ月平均で見ると+2.27%まで上昇し、2009年11月(2.42%)以来、6年ぶりとなる高水準。
その他、労働参加率は過去最低水準の62.4%から62.5%へとわずかに上昇、長期失業者の割合も前月の26.8%から25.7%へと大幅改善。U6失業率は前月の9.8%から9.9%へとわずかに悪化。
トータル的にも回復基調が順調に進んでいることを示し、12月利上げをほぼ確実にする材料となったものと思われます。
この結果を受けて米株は大幅高となったのに対し、意外にもドル高は限定的となり、それほど進行しませんでした。前日のドラギショックの影響もあったかもしれません。
また、雇用統計と同時に米商務省が発表した10月の貿易収支では赤字幅が拡大し、輸出が3年ぶりの低水準に落ち込んだこともあり、ドル高による影響が懸念された面もありそうです。
さらには、もう既に利上げの織り込みが十分に進行したことによる影響もあるのかもしれません。
金相場の大幅上昇にも、その兆しが表れている可能性もあるかもしれません。
4日のNY金相場は2.16%の大幅続伸。雇用統計への初期反応は直前に上昇していた10ドルを巻き戻す急落で1060ドルへ、ドル高がそれほど進む気配がなかったこともあり、切り返すと急反発。抵抗水準となっていた1070ドル付近を突破したことでショートカバーの流れが加速、踏み上げ状態となって上値目安1090ドル付近までいきなり到達。利上げの織り込みも進み、流れが変わり始めた可能性も、短期的には上昇一服へ。
週間ベースでは+27.9ドル(2.64%)となり、7週ぶりの反発。
NYプラチナ相場も3.91%の大幅続伸。金に追随する流れで上値抵抗線860ドルを突破してさらに加速、3週間ぶり高値圏まで急上昇。1日の上昇率としては2012年6月29日(+4.52%)以来3年5カ月ぶりの大幅高となり、下落率3%台を4度記録した今年ここまでの流れが大きく切り替わるきっかけと成り得るような大陽線に。短期的には抵抗線超えに伴う上値メド880ドル台にほぼ到達、戻り売りも警戒される水準。
週間では+44.8ドル(5.36%)の大幅高で7週ぶり反発。
ドル円相場は0.46%のドル高円安。雇用統計発表直前に122円70銭付近まで下落したところから123円30銭台まで急騰。しかしこれが高値となって急反落、反発の乱高下状態からなんとか123円台にのせた形。ドル買いの勢いは限定的となり、123円台を挟んだ保ち合いレンジを縮小する形に。上値の重い状況は変わらず、122円台半ばを下抜けると120円台前半辺りまで円高が進行する可能性も。逆に123円台半ばをしっかりと上抜けるような流れとなれば125円台の高値トライへの可能性もまだ残された状況。
週間ベースでは+0.37円(0.3%)の小幅反発。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場12/4終値とチャート
- 2015年12月5日(土)時点の相場
-
国内金 : 4,495 円 12/4(金) ▲24(0.54%) 国内プラチナ : 3,604 円 12/4(金) ▲74(2.10%) NY金 : 1,084.1 ドル 12/4(金) ▲22.9(2.16%) NYプラチナ : 880.6 ドル 12/4(金) ▲33.1(3.91%) ドル円 : 123.17 円 12/4(金) ▲0.56(0.46%)
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