金プラチナ短期相場観
貿易停滞でISM製造業景況指数下振れもFOMCでは利下げ観測後退
更新日:2019年5月2日(木)
米4月のISM製造業景況指数は、各地区連銀の製造業景況指数と方向性は一致し、減速傾向は若干強め、という結果となり、3月の55.3から52.8へと2.5ポイントの低下で2年半ぶりの低水準となりました。好不況の分かれ目50を上回る、景気拡大基調は維持しながらも、その差は縮小傾向が続きます。
4月の指標では、貿易関連の停滞が目立ちます。
輸入は49.8となり、3月の51.1からは1.3ポイント低下して節目の50割れ、2016年9月(49.0)以来、2年7カ月ぶりの低水準。
輸出受注も49.5となり、3月の51.7から2.2ポイント低下して50割れ、2016年2月(46.5)以来、3年2カ月ぶりの低水準となっています。
これ以外では新規受注が51.7で4カ月ぶり低水準。52を下回ったのは2016年9月以降の2年8カ月間では2度め。生産の52.3も2年7カ月ぶり低水準となっています。
なお、入荷遅延は1年10カ月ぶり低水準となった3月の54.2から4月は54.6へと小幅上昇も、低下傾向は続いており、需要に供給が追いつかない景気過熱気味の可能性もあった昨年の状態からは、冷めつつある状態です。
その一方で顧客在庫は相変わらず低過ぎる水準を維持し、国内需要の強さを示す状態も継続中。
貿易停滞を反映して減速傾向が強まったISM製造業景況指数の結果は、この傾向が続けば利下げもやむなしとばかり、ドル安と米10年債利回り急低下の反応となりましたが、トランプ牽制も意に介さないパウエルFRB議長の強気見通しにより、反転。
「インフレはいずれ上向く」可能性のほうが高いとの見方を示したことで、市場の利下げ観測も後退しています。
1日のNY金相場は-1.5ドル、0.12%の小反落。FOMC直前のNY市場、米4月ADP雇用レポートは予想を上回る好結果、ISM製造業景況指数は予想外の低調という結果にも1280ドル台で上下数ドルの反応。FOMC声明文では「経済活動は堅調なペースで拡大」としながらも「全体のインフレ率」と「食品やエネルギー以外のインフレ率」がともに低下したことを指摘。利下げへの思惑から小幅に買われて1280ドル半ばから1290ドル手前まで上昇も、パウエル議長会見では「コアインフレの鈍化は一時的要因」との見方が示されて利下げ観測は後退。ドル売り・金利低下からドル買い・金利上昇に転じた流れでNY金は1270ドル半ばまで15ドル弱の急落。結果的に上値は20日移動平均線(1288.5)から1290ドルの保ち合い上限にしっかり押さえられ、しかし下値も1270ドルの保ち合い下限が意識されてサポートされ、1270ドル台後半での推移に。目先はこの20ドルの保ち合いレンジ内推移で週末の雇用統計待ちへ。
NYプラチナは-14.3ドル、1.6%の大幅安となって3日続落。前日下抜けた20日移動平均線(896.1)への再トライもなく、そのまま軟調推移となって時間外には890ドル割れ。サポート水準880ドル半ばではやや下げ渋ったもののNY朝には880ドル割れへと一段安。FOMC後には一時870ドル割れを試す場面もあり、高値保ち合いの均衡状態は崩れ始めた状況に。4月3日(874.2)以来、1カ月ぶりの安値水準となり、さらに水準を切り下げる可能性も高まる状況となり、当面の下値目安は90日移動平均線(839.6)と3月末安値840ドル近辺へ。
ドル円は小幅続落となって4月10日(110.95)以来、3週間ぶりのドル安円高水準に。FOMCへの警戒感から前日安値111円20銭台まで水準を切り下げてのNY市場、ADP雇用指標上振れには40銭台まで反発も、ISM製造業景況指数の下振れに10銭台へと30銭ほどの急反落。FOMC声明文発表後には111円00銭台まで下げ、パウエル議長会見では111円60銭台まで急反発。引けにかけては30銭台まで下押しも今朝の東京時間には再び111円50銭台へと反発基調に。くすぶっていた利下げ観測が後退し、111円前後のサポートの堅さも確認したことで軟調方向への勢いも緩和された状態に。ただし、目先は下抜けたばかりの200日移動平均線(111.51)が抵抗線にも。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場5/1終値とチャート
- 2019年5月2日(木)時点の相場
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国内金 : 4,909 円 4/26(金) ▼20(0.41%) 国内プラチナ : 3,406 円 4/26(金) ▼12(0.35%) NY金 : 1,284.2 ドル 5/1(水) ▼1.5(0.12%) NYプラチナ : 877.4 ドル 5/1(水) ▼14.3(1.60%) ドル円 : 111.36 円 5/1(水) ▼0.07(0.06%)
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