金プラチナ短期相場観

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実質金利は下げ渋り、行き過ぎた金価格は大幅調整

更新日:2020年8月12日(水)

実質金利とNY金価格 2020年8月11日1週間前、米10年債利回りが0.50%台で終値ベースでは過去最低水準まで低下し、期待インフレ率は1.57%で2月末以来5ヵ月ぶりの高水準となり、差し引きで算出される実質金利は-1.06%。過去最低水準を更新する状態が続き、実質金利と逆相関のNY金は2021ドル。
この時点でスピード違反も警戒されましたが、その後実質金利は6日に-1.09%まで低下し、NY金価格は同日NY終値で2069.4ドルの最高値を記録。翌7日時間外に一時的に2089.2ドルまで上昇したのがNY金の当面の最高値となる可能性も残し、実質金利の下げ渋りとともに、大幅調整の展開となってきました。

90日相関係数で-0.93台と過去最大レベルの逆相関関係を維持する実質金利とNY金の最近の推移を見れば、7月後半のNY金の急騰局面はいかにも、行き過ぎの展開のようにも。
終値の推移で見れば、まだ下げ足りない様子も。
しばしば、行き過ぎの展開となるNY金、調整局面でも行き過ぎに要注意・・・。

NY金・日足チャート 2020/7/8 - 8/1111日のNY金相場は-93.4ドル、4.58%の大幅反落。下落率では3月13日(-73.6ドル、4.63%)以来5ヵ月ぶりで今年3番め、下落幅では2013年4月15日(-140.3ドル、9.34%)の暴落以来、7年4ヵ月ぶりの急落。水準としては7月28日(1944.6)以来、2週間ぶりの安値。前日NY引け後の2040ドルがこの日の高値となって軟調推移から急落の展開となって大幅調整。短期下値サポート2020ドル台で下げ渋ったのはアジア時間まで、これを割り込むと下値目安2000ドル近辺まで急落。ロンドン時間はこの水準で下げ渋る動きもありながら、NY朝にかけて2000ドルを明確に割り込むとさらに急落の展開へ。NY午前のうちに1950ドルまで下落すると、午後には1920ドル付近まで一段安。引け後には一時1911ドルまで下げて1940ドル付近まで反発後、1920ドル付近で推移。この日はロシアで新型コロナウイルスのワクチンが世界で初めて承認され、第3相試験開始とともに異例の先行承認という問題はあるものの、市場のワクチン期待を煽る格好にはなった様子。また、米7月生産者物価指数が予想を上回ってデフレ懸念が後退し、米長期金利上昇とドル高の流れが強まったことなども重石に。過熱感は大幅に緩和され、7月17日以降の急騰局面の半値戻し(1940.2)を達成し、61.8%戻し(1905.0)付近まで下げたことで一服感も。
中期的には3月安値から最高値までの23.6%戻し(1938.6)を達成して一服、次の節目38.2%戻し(1845.4)はいずれ、意識されることにも。1900ドルの大台を維持できないようだと早期に38.2%戻しが意識される可能性も。

NYプラチナ・日足チャート 2020/7/8 - 8/11NYプラチナは-31.3ドル、3.12%の大幅反落。直近5日は1000ドルの大台をはさんでの乱高下となり、結果的に大台維持には失敗、前日の大幅上昇分を全て吐き出す形となり、終値では2日前と同水準となる970ドル。しかし金に追随する形での調整の勢いはとまらず、NY引け後にも金に連れて一段安。940ドルから960ドルまでのレンジで乱高下状態に。7月16日安値825.5ドルから8月7日高値1035.5ドルまでの38.2%戻し(955.3)に到達したことによる一服感もあるものの、下値サポートとなっていた970ドル以上を回復できなければ、このまま一段安の展開で半値戻し(930.5)が下値目安にも。

ドル円・日足チャート 2020/7/8 - 8/11ドル円は54銭のドル高円安、0.51%高で3日続伸。ドイツ8月のZEW景況感指数が16年7ヵ月ぶり高水準となったことなども好感され、ユーロ高ドル安が進行した欧州時間には105円90銭台まで下押し、東京時間の安値とほぼ同水準で反発すると米長期金利上昇とともにドル高円安の流れに。ロシアのワクチン承認報道なども好感されて株高とともに一時106円60銭台まで上昇。NY終盤には米追加景気対策を巡る協議の行き詰まりなども伝えられ、米株急落とともに失速も106円40銭台までにとどめ、今朝の東京時間には再び106円60銭台へと上値再トライの兆しも。105円台後半の小幅保ち合いレンジを上方向に抜け出したことで、上値トライ優勢の展開はもう少し続きやすく、90日移動平均も推移する107円20銭付近までが当面の上値目標に。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場8/11終値とチャート

12日の国内金価格は-353円、4.67%の大幅続落。3月2日(-293円、4.64%)を超えて今年最大、2013年4月16日(-618円、12.5%)以来7年4ヵ月ぶりの急落。水準としては7月31日(7196)以来の安値となり、8月に入って過去最高値を4度更新する急騰での貯金をほぼ全て吐き出し、上昇確率81.8%を誇る金の季節8月の5ヵ月続伸にも黄色信号。超長期上値目標7477円を早々に達成し、さらに200円ほどオーバーランした行き過ぎ状態からの巻き戻しが、まとめて急速に進行した格好にも。3月安値5648円から最高値7676円までの23.6%戻し(7197)付近に到達したことによる一服感も。中期的にはいずれ38.2%戻し(6901)付近が意識される展開にも。短期的には7190円台の下値サポートを割れると7100円近辺までの一段安も。

プラチナ価格は-128円、3.51%の大幅続落。3月17日(-328円、11.46%)以来5ヵ月ぶりで今年4番めの急落。8月5日(3464)以来、1週間ぶりの安値。金の急落に追随しながらも、下げ幅は金よりも控えめとなり、大幅調整の場合の下値目安となっていた6月末以降の上げ幅の23.6%戻し(3505)の少し手前で下げ止まり。長期重要水準でもある3500円近辺までは下げやすく、サポート候補にも。少し行き過ぎとなれば38.2%戻し(3412)程度までが次の目安にも。
※参考:金プラチナ国内価格8/12とチャート

2020年8月12日(水)時点の相場
国内金7,207 円 8/12(水) ▼353(4.67%)
国内プラチナ3,517 円 8/12(水) ▼128(3.51%)
NY金1,946.3 ドル 8/11(火) ▼93.4(4.58%)
NYプラチナ971.4 ドル 8/11(火) ▼31.3(3.12%)
ドル円106.50 円 8/11(火) ▲0.54(0.51%)

8/11(火)のその他主要マーケット指標

コアPPIに続いてコアCPIも底入れ、コアPCEもインフレ上昇へ 8/13(木)

実質金利は下げ渋り、行き過ぎた金価格は大幅調整 8/12(水)

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