金プラチナ短期相場観
米7月CPIに波乱なし、スローペースでのインフレ鈍化は進行
更新日:2024年8月15日(木)
注目度と警戒感が高まった7月CPI、ほぼ予想どおりの内容にも市場はやや乱高下の反応。
CPIは前年比+2.90%。市場予想の+3.0%を下回り、6月からは-0.08%で4ヵ月続落、3年4ヵ月ぶりの低水準。
コアCPIは前年比+3.17%。市場予想の+3.2%にほぼ一致、6月からは-0.1%で4ヵ月続落、2021年4月(2.96)以来、3年3ヵ月ぶりの低水準。
セクタ別では、
サービス価格(ウェイト61.1%)は前年比+4.9%。6月の+5.1%を下回って2ヵ月連続低下、2年3ヵ月ぶりの低水準。
モノの価格(ウェイト18.6%)は前年比-1.9%。6月の-1.8%を下回って5ヵ月連続低下、少なくとも2018年以降では最低。
主な項目別では、
帰属家賃(ウェイト26.8%)は前年比+5.3%。15ヵ月連続の低下で2年2ヵ月ぶり低水準。
賃貸住宅(ウェイト7.64%)は前年比+5.1%。2年2ヵ月ぶり低水準となった6月から変わらず。
★実質賃金上昇率(賃金上昇率-CPI)は前年比+0.73%。6月(0.86)からは小幅低下も、15ヵ月連続プラス圏維持。
クリーブランド連銀のメディアンCPIは前年比+4.26%。2年半ぶり低水準の前月(4.15)から+0.11%、17ヵ月ぶりに上昇。
16%トリム平均CPIは前年比+3.31%。前月から-0.03%で4ヵ月続落、2年11ヵ月ぶりの低水準。
アトランタ連銀のスティッキーCPIは前年比+4.13%。前月から-0.06%で4ヵ月続落、2年7ヵ月ぶりの低水準。
これまでどおり、スローペースでのインフレ鈍化は進行。
14日のNY金は-28.1ドル、1.12%安で6日ぶりの反落。アジア時間には一時2500ドルの大台割れから切り返し、ロンドン序盤には2510ドル台、NY朝には米7月CPI結果を受けて乱高下の反応となり、一時2520ドル付近まで上昇。しかし3日連続2510ドル台で上値を押さえられる格好となって失速すると2500ドルの大台割れへと急反落、NY午後には2480ドル近辺へ。安値では2470ドル台半ばまで下げてNY引け後には2480ドル台半ばを回復。2490ドルの節目上抜けに伴う短期上値目標2530ドル程度には少し届かず、8月2日の最高値(2522.5)更新トライも失敗。目先は利下げ観測にサポートされながら、米指標結果に一喜一憂しながら利下げペース見極めフェーズへ。2510ドルの節目をしっかり上回る展開となれば最高値更新トライから2550ドル近辺を目指す流れにも。
NYプラチナは-16.3ドル、1.72%の続落で8月6日(920.2)以来、1週間ぶりの安値。アジア時間には940ドル台後半から940ドル割れへと下落もロンドン・NY朝にかけて切り返すと950ドル台へ。しかし20日移動平均線(952.1)、200日移動平均線(951.4)などにも上値を押さえられ、950ドル台前半で上げ渋るとNY市場では急失速。CPI後のNY金の急反落にも追随する格好となり、安値では一時930ドル割れ。NY引け後には930ドル回復をかけた攻防状態。結果、940ドルの節目上抜けに伴う短期上値目標970ドル近辺トライは少し届かず、950ドル台半ばまでにとどまって折り返し。920ドルから950ドルまでが目先の主要レンジとなり、下限を割れると900ドルの大台割れトライへ、上限突破なら上値再トライ、7月末高値圏、980ドル台から990ドル付近までを目指す流れにも。
ドル円は+50銭、0.34%の反発で8月1日(149.32)以来、2週間ぶりの高値。東京朝には岸田首相の自民党総裁選不出馬報道を受けて147円10銭台から146円ちょうど付近まで1円ほどの急落。ただ市場への影響は限定的、これが安値となって程なく巻き戻しの展開となり、東京市場終了時には147円台、欧州時間には147円50銭近辺まで反発。NY市場ではほぼ市場予想どおりとなった7月CPIの結果を受けて乱高下。147円近辺から146円半ばまで急落後には147円50銭台へと切り返し、これが高値となって失速すると146円50銭台まで下押しも、NY終盤には147円40銭台まで上昇。結果的に146円半ばから147円半ばまでの保ち合いレンジ内で上下動、流れとしては上値の重さが徐々に剥落、指標結果などが伴えば反発方向への流れが強まりやすい状況のようにも。レンジを上放れると短期上値目標は7月高値(161.95)から8月安値(141.70)の38.2%戻し(149.44)近辺。下放れの場合には144円割れ再トライの展開にも。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場8/14終値とチャート
15日の国内金価格は-67円、0.53%の続落で8月9日(12566)以来、1週間ぶりの安値。90日移動平均線(12940)を下抜けて下降する21日移動平均線(12883)のプレッシャーに押されるように戻り売りの流れが継続。地合い回復目前のところから押し戻されたような格好にも。9日移動平均線(12529)を下値サポート候補に12810円までが目先の主要レンジとなり、上限突破なら反発局面再開、12900円の大台回復が短期上値目標。
プラチナ価格は-76円、1.57%の続落で8月8日(4696)以来、1週間ぶりの安値。上抜けたばかりの9日移動平均線(4784)を再び下抜け、戻り売りの構図で弱気のパーフェクトオーダーも再開。終息へと向かいつつあった軟調局面再開リスクも浮上。4640円の節目割れなら4600円の大台近辺までの一段安トライへ、逆に4840円超へと切り返すことができれば反発局面再開、4900円の大台回復トライへ。
※参考:金プラチナ国内価格8/15とチャート
- 2024年8月15日(木)時点の相場
-
国内金 : 12,685 円 8/15(木) ▼67(0.53%) 国内プラチナ : 4,752 円 8/15(木) ▼76(1.57%) NY金 : 2,479.7 ドル 8/14(水) ▼28.1(1.12%) NYプラチナ : 929.6 ドル 8/14(水) ▼16.3(1.72%) ドル円 : 147.33 円 8/14(水) ▲0.50(0.34%)
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