失業保険申請件数は44年半ぶり、フィリー指数の雇用は過去最大
更新日:2017年10月20日(金)
19日は米国の労働市場逼迫傾向が一段と進行していることを示す指標が続きました。
新規失業保険申請件数は、ハリケーンの影響もあって9月2日までの週には29.8万件と2年5カ月ぶりの高水準へと急増していましたが、その後は急減。今週発表の10月14日までの週時点では22.2万件となり、44年半ぶりの低水準へと改善しました。10月7日までの週の失業保険継続受給者数も同様に、43年9カ月ぶりの低水準へと改善しています。
さらに、10月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数(フィリー指数)でも、雇用の歴史的高水準での好調ぶりを示す結果となっています。
フィリー指数の総合指数は27.9となって2カ月連続上昇で5月(38.8)以来5カ月ぶりの高水準。これ自体は33年ぶり高水準となった1月の43.3からはやや失速傾向となっていた状態から再び加速し始めた、というレベルで高水準での好調を示す程度の状況。
しかし、構成指数のなかでは、雇用指数が30.6となって1968年以降のデータで過去最大。これまで25を上回ることもなかったピーク水準を突き抜ける大幅急騰となっています。
また、半年後の見通しを示す指数では、総合的な期待指数が46.4と9月の55.2からは低下したのに対し、雇用見通しは38.7となり、1984年3月(40.2)以来33年7カ月ぶりの高水準。
平均労働時間でも、現況は4カ月ぶりの高水準、見通しでは7カ月ぶり高水準となっており、フィラデルフィア連銀管轄地区内での製造業の雇用情勢の好調ぶりと、当面の見通しの明るさも示します。
なお、雇用以外の構成指数では、仕入れ価格の現況が7カ月ぶり高水準となった他、仕入れ価格の見通しは60.2となって2011年3月(61.5)以来6年7カ月ぶり、販売価格の見通しは41.1となって2008年7月(44.0)以来、9年3カ月ぶりの高水準。
インフレ上昇への兆しを示すソフトデータも、米国内の一部地域からは見られ始めていることになります。
19日のNY金相場は0.55%高となって4日ぶりの反発。時間外、東京市場午前の時間帯に前日安値をわずかに下回り、2週間ぶり安値圏となる1277ドルまで下げて反発基調へ。欧州時間にはスペイン中央政府とカタルーニャ自治州政府との独立をめぐる対立の構図への懸念もリスク要因としてサポート材料に。NY朝に1290ドル台を回復すると米雇用関連指標の好結果などに小反落も揉み合い推移の展開に。日足レベルでは前日の値幅を上回り、反発の可能性を示す包み線を形成、90日移動平均線にも支えられて切り返した形となり、1280ドルが目先のサポートに。三角保ち合いを形成しつつあり、方向感は上下両睨み。あらためて1280ドルを割り込んだ場合の下値目標は1250ドル台まで、1300ドル台の節目を超えるような展開となった場合の上値目標は1340ドル前後まで。
NYプラチナ相場も4日ぶりの反発、も0.14%の小幅高。前日安値をわずかに下回るも920ドル割れを回避、このラインでの底堅さを確認しての反発も上値は930ドル台が維持できず、その勢いも限定的に。目先は920ドルがサポートラインとなれば950ドルまでのレンジで保ち合い、930ドルがレジスタンスとなるようなら910ドルまでのレンジで保ち合い傾向へ。
ドル円は0.34%のドル安円高となり、4日ぶりの反落。29年ぶりの13連騰で21年ぶり高値まで上昇した日経平均にも触発され、東京市場引けにかけて113円10銭台まで上昇したのがこの日の高値に。欧州時間にはスペイン情勢懸念などもあって欧州株が全面安となってリスクオフ傾向が強まる円全面高の展開。112円30銭付近まで下げたNY市場朝には失業保険申請件数の好結果などにも支えられて下げ止まり。次期FRB議長人事ではパウエル現理事が優勢との見方も伝えられ、相対的にハト派傾斜との思惑がドル買いの重石ともなって反発も112円半ばで。またしても113円台には上ヒゲだけを残しての反落となり、上値トライに失敗した格好。113円ラインが強めの抵抗線となり、再度上抜けトライに成功できれば上値トライ再開で目標水準は3月高値圏となる115円近辺まで。20日東京市場午前、米上院の予算決議案可決報道で113円台へと急騰中。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場10/19終値とチャート
20日の国内金価格は0.42%の続伸。3日ぶりに5000円台を回復する底堅さを見せ、10月安値再トライへの調整局面入りの流れを巻き戻し。NY金の保ち合い傾向とドル円の乱高下を反映する形で方向感が定まらない状態となり、5000円ラインをはさんでの保ち合い状態継続の様相も。週末の国内総選挙で与党大勝なら円安要因に、しばらく大人しくしていた北朝鮮の挑発行動などへの警戒感もあり、週明けにかけては大幅変動要因となる可能性も。5020円台の節目突破で上昇トレンド形成へと向うようなら目標水準は5100円近辺へ、4970円台の節目を割り込むようなら再度調整局面拡大の流れで目標水準は4880円台辺りまで。
週間ベースでは+9円(0.18%)の小幅続伸。
プラチナ価格は前日比-1円の小幅続落となり、10月10日(3,570)以来10日ぶりの安値圏で小康状態。反発基調の勢いは後退したものの、90日までの全ての移動平均線が集中する3600円台から3620円台までの水準をわずかに下回ったところで下げ渋る状態となり、短期的なボラティリティは急低下。週明けに向けての変動では、上方向には3650円台が抵抗線、下方向は3550円が重要なサポートとなり、この範囲内にとどまる可能性も。その先も含めてトレンド発生を伴う流れに発展するようなら、上方向には3700円台が次の目標水準に、下方向には3500円近辺までが次の下値目安水準に。
週間ベースでは-35円(0.96%)の反落。
※参考:
金プラチナ国内価格10/20とチャート
2017年10月20日(金)時点の相場
国内金:5,007 円 10/20(金)
▲21(
0.42%)
国内プラチナ:3,596 円 10/20(金)
▼1(
0.03%)
NY金:1,290.0 ドル 10/19(木)
▲7.0(
0.55%)
NYプラチナ:925.9 ドル 10/19(木)
▲1.3(
0.14%)
ドル円:112.54 円 10/19(木)
▼0.38(
0.34%)
10/19(木)のその他主要マーケット指標
中古住宅販売件数はハリケーンの影響残る南部をカバーして反発 10/21(土)住宅着工件数は1年ぶり低水準、ハリケーンがなくても低迷継続? 10/19(木)ドイツZEW景況感、現況指数は株高とともに過去最高水準続く 10/18(水)3年ぶり高水準のNY連銀製造業指数が示唆するISM製造業の堅調推移 10/17(火)
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