金プラチナ短期相場観
5月製造業PMI、GDPトップ2と人口トップ3の中印米は揃って減速
更新日:2017年6月2日(金)
米5月のISM製造業景況指数は54.9となり、4月の54.8からはわずかに上昇。失速傾向の進行は避けられたような結果となりました。ただし、2年4カ月ぶり高水準となった2月の57.7から2カ月連続低下した水準でのほぼ横ばい推移という状態で、米製造業のピークアウト疑惑は残ります。
世界各国の製造業PMIでは、5月には欧州勢の好調さが際立ち、新興国勢は50台前半で比較的好調、若干の加速傾向、という水準に集中しています。米国も日本もこのグループに含まれます。
主な、比較的好調グループに含まれる主要国は以下のとおり。
フランス:53.8
トルコ:53.5
日本:53.1
米国:52.7
ポーランド:52.7
ロシア:52.4
ブラジル:52.0
インド:51.6
など。
このうち、フランス、トルコ、日本、ブラジルは節目50割れの景気減速状態からの回復傾向が続き、現状水準に達した状態。
ロシアは今年1月の54.7をピークに若干失速傾向、インドは昨年10月の54.4が近年最大となり、12月の50割れ後の反発も限定的。
米国もマークイットの製造業PMIでは1月の55.1が最近のピークとなって4カ月連続の低下と失速傾向が続きます。
主要国では唯一節目の50を割り込む減速状態となった中国(49.6)は、昨年12月の51.9がほぼ4年間でのピークとなって失速し、足下3カ月は連続の低下となっています。GDPでは世界トップ2の米国と中国はともに3カ月以上の続落状態となり、合計では世界の4割を占める人口トップ3の中国、インド、米国の製造業景況感はいずれもピークアウト状態となりつつあります。
1日のNY金相場は0.42%の反落。5月ADP雇用者数の大幅上振れを受けてドル高・金利上昇が急進し、金は1270ドル付近から1263ドルまで急落。6月利上げは90%以上織り込む状態となったものの、米10年債利回りは伸び悩み、2.23%台まで急騰後は2.21%%台まで反落。金も一時1270ドルまで値を戻す底堅さも。雇用統計でも雇用者数の伸びは好結果が予想されるものの、賃金上昇率が3%近辺へと大幅急騰でもしない限りは今後の見通しが大きく変わることはなく、金の調整も限定的か。目先1250ドルラインが比較的重要なサポート水準となり、割れると短期トレンド転換で1210ドル程度までの反落フェーズ形成の可能性も。
NYプラチナ相場は2.24%の大幅反落で5月15日(928.7)以来、半月ぶりの安値水準。小幅保ち合いの下限となる940ドル付近まで軟調に推移していた状態から、ADP雇用の結果を受けた金の急落に連れて920ドル台半ばまで急落。その後の戻りも930ドル近辺までと限定的となり、保ち合い下限をブレイク。短期トレンドは下方向優勢となり、5月初旬の安値圏900ドル近辺までが目標水準に。反発方向へは950ドルが抵抗水準、超えると今度は4月高値990ドルを目指すような展開も。
ドル円は0.53%のドル高円安となって5日ぶりの反発。ADP雇用の好結果を受けて111円40銭台まで30銭ほど急騰し、今朝の東京市場では日経平均の2万円超えとともに111円60銭台まで急騰。金利がそれほど上昇しないこともあり、ドル高も限定的に。雇用統計のそこそこの好結果では112円ラインは完全には超えられないのでは?とも予想される。パリ協定離脱を正式表明したトランプ米政権のロシア疑惑への警戒感もあり、8日にはコミー前FBI長官の公聴会、暗雲漂う英選挙も予定され、これらを無事通過するまでは大きな流れが変わることはないのでは、とも。ネガティブ材料があれば110円再トライへ。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場6/1終値とチャート
2日の国内金価格は0.31%の続伸となり、5月1日(4863)以来、1カ月ぶりの高値水準。5月末の急落分を完全に取り戻し、今年高値圏トライの流れ再開へ。雇用統計の結果を受けて週明けには多少の波乱も警戒され、ポジティブサプライズならそれなりの反落、しかし4800円の重要なサポート水準維持は可能か。多少のポジティブかネガティブ方向なら安定推移継続へ。
週間ベースでは+33円(0.68%)で続伸。
プラチナ価格は1.29%の大幅反落。NYプラチナの地合いの弱さを多少の円安ではカバーしきれない状態となり、下値を切り上げる形が崩れたことで短期的な流れは逆転方向へ。金との価格差は1262円となり、5月10日の1233円を大幅に上回って過去最大を更新。値動きの荒い状態で今年ここまでの底値圏での保ち合い状態下抜けへと向かい始めた可能性も高まり、当面の下値目安は3500円前後まで。確率は低いが、波乱の展開で3640円の節目上抜けへと反発した場合には流れは再度好転方向へ、この場合には3月後半高値圏3760円近辺を目指すような展開も。
週間ベースでは-68円(1.86%)と反落。
※参考:金プラチナ国内価格6/2とチャート
- 2017年6月2日(金)時点の相場
-
国内金 : 4,852 円 6/2(金) ▲15(0.31%) 国内プラチナ : 3,590 円 6/2(金) ▼47(1.29%) NY金 : 1,270.1 ドル 6/1(木) ▼5.3(0.42%) NYプラチナ : 929.0 ドル 6/1(木) ▼21.3(2.24%) ドル円 : 111.36 円 6/1(木) ▲0.59(0.53%)
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