金プラチナ短期相場観
円安方向へ動き出す可能性と揉み合い継続要因
更新日:2014年5月2日(金)
金相場が最近のレンジ下限まで下落し、重要な節目割れの危機に瀕しているのに対し、レンジを縮小し続けて動き出しに備えるドル円相場。円安・円高どちらに振れても大きく動き出しそうな状態で重要イベントを迎えることになりました。
円安方向への動き出しを支持する要因としては、
1)雇用統計のポジティブ・サプライズ
昨日の新規失業保険申請件数は予想より弱かったものの、雇用統計の調査対象期間となる4月12日までの週は30.5万件と2007年10月以来の最低水準。ADP雇用者数も寒波の影響から脱した4月は好結果。
2)ソロスチャートの急騰
今朝、日銀から発表されたマネタリーベースは前年比48.5%増となり、ハイペースでの増加が続きます。FRBの増加ペースの鈍化傾向により、その比率であるソロスチャートは4月に急騰。昨年から急速に連動性が高まっているドル円相場との関係を見ると、ドル高円安方向へと追随する可能性が高い、ことになります。
逆に、当面の円安傾向阻害要因としては、
1)日米の需給ギャップ
最近話題の需給ギャップ、日本では、需要と供給のバランスは供給過多の状態が続く為、物価上昇を押さえ、GDPの足を引っ張ります。内閣府のデータによれば、2009年の-8%(供給過多)から少しづつ改善し、2013年には-2%程度まで持ち直しています。
しかし、実は米国のほうがこの数値は低く、2013年でも-5%程度までしか回復していません。この為、米国でも低インフレが問題視されます。
この傾向が続くようなら、米国よりも日本のほうがインフレ傾向が早めに強まることになり、米国の利上げ時期は当分先送りとなる可能性も出てきます。
ゼロ金利当面継続の日本円に対して利上げ時期が近づく米ドル、という思惑が崩れることはドル高円安の流れを止める大きな要因の一つとなりかねません。
2)長期金利の低迷
米国の10年債金利は2013年以降のピーク3.0%から低迷が続き、2月以降は2.6-2.8%のレンジ状態となっています。日本の10年債金利も0.6%近辺での安定推移が続き、今年は日米金利差の停滞がドル円相場の足を引っ張る状態となっています。
短期的には大きく変動するきっかけが本日夜間に訪れる可能性は十分にありそうですが、少し長めに見ると、それほど大きな変動とはならない可能性も十分考えられそうです。
NY市場、金相場は0.96%の大幅安で4日続落。新規失業保険申請件数では改善傾向の鈍化、ISM製造業景況指数は改善傾向の継続を示すなか、若干の上下変動を経て軟調推移が継続。4月1日、22日に続きレンジ下限となる1,280ドルに到達。三度底堅さを見せるか、三度目の正直でサポートライン割れとなるかの分岐点。底割れなら1,200ドル台前半に向けての下落基調へ。抵抗線は1,300ドルに切り下げ、流れはやや下向きに。
プラチナ相場は0.03%の小幅続落。しかし1,410ドルから1,430ドルまでのレンジ内推移が1週間継続したことで流れは好転。目先は1,450ドル手前辺りまでの上昇余地。
ドル円は0.08%の小反発。値動きは完全に停止、既に雇用統計待機状態。102円10銭台と102円70銭の節目をブレイクした方向へ大きく動き出す可能性。上方向なら104円超え、下方向なら100円台が当面のメドとなる可能性。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場5/1終値とチャート
国内金価格は0.64%安で3日続落。短期的にはゆるやかな下落トレンドに回帰した形で4,440円近辺が下値メド。
プラチナは0.14%の小幅続落。上方向の抵抗線を5,020円に切り下げ、下方向には4,940円のサポートライン候補をはさんで4,850円までの下落余地も。
※参考:金プラチナ国内価格5/2とチャート
- 2014年5月2日(金)時点の相場
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国内金 : 4,517 円 5/2(金) ▼29(0.64%) 国内プラチナ : 4,994 円 5/2(金) ▼7(0.14%) NY金 : 1,283.4 ドル 5/1(木) ▼12.5(0.96%) NYプラチナ : 1,427.5 ドル 5/1(木) ▼0.4(0.03%) ドル円 : 102.32 円 5/1(木) ▲0.08(0.08%)
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