金プラチナ短期相場観
ポジティブな雇用統計でも賃金低迷、株もドルも反落、金は反発へ
更新日:2015年1月10日(土)
12月分の米雇用統計は表面的にはポジティブな結果、しかし詳細指標を見れば強弱入り混じる状況に。
<ポジティブ指標>
・非農業部門雇用者数(NFP)20万人超は11カ月連続、1994年以来最長。
・失業率5.6%は2008年6月以来6年半ぶりの低水準。
・U6失業率11.2%は2008年9月以来の低水準。
・NFP年間トータル+295.2万人は1999年以来15年ぶりの大幅増。
<ネガティブ指標>
・労働参加率62.7%は36年ぶりの低水準でリセッション後の最低となった昨年9月の水準に逆戻り。
・長期失業者の割合は前月の31%から31.9%に悪化。
・平均時給24.57ドルは前月比-0.2%の落ち込み。前月比マイナスとなるのは2013年7月以来。前年同月比+1.65%は2012年10月以来の低水準となり、ここ数年の平均+2%前後を大幅に下回る水準。
主要指標は好調を維持したものの、予想外の賃金減少のインパクトは大きかったのでは。
低インフレが懸念される状況のなか、賃金低迷状態が続いていたところに、実質ベースの賃金が前月から減少し、前年比伸び率もやや水準を切り下げたことで、ペントアップ賃金デフレの懸念からも抜け出せない状況に。
低インフレ継続なら利上げ先送り、の連想で株価にはプラス材料。しかし株価も下落。
主要指標の好調維持にもドル売り傾向となったことも合わせ、株価とドルの反発の流れは、純粋に重要イベント通過により終了し、事実で売る展開となった様子。これに乗じて反発傾向を強めた金相場には底堅さも見え始めています。
9日のNY金相場は0.63%の反発。1,210ドル近辺での揉み合い状態から雇用統計の乱高下を経てドル売り傾向が強まるとともに上昇。今朝にかけても1,220ドル台へと水準を切り上げ、短期上昇トレンドを維持、いずれ1,250ドル付近まで上昇する可能性が継続。サポートラインも1,200ドル台へと切り上げ、下抜けた場合の下値余地も1,190ドル程度までにとどまる見込み。
週間ベースでは+29.9ドル(+2.52%)、4週間ぶりの反発。
プラチナ相場も0.58%の続伸。最近はドル円との逆相関(90日ベース)は金よりも強く、ドル売り局面では確実に上昇傾向となり、12月12日以来ほぼ1カ月ぶりに1,230ドル台到達。上昇トレンドの勢いを強め、目標水準1,250ドル台を目指す。
週間ベースでは+27.1ドル(+2.25%)の反発。
ドル円は0.97%の大幅反落。雇用統計発表前からドル売り傾向が進み、119円割れの水準から発表値に対して119円70銭台までの急騰で反応。しかし、その後はドル売り円高傾向への流れに戻り、118円台半ばまで水準を切り下げる展開に。既にドル安円高方向へと短期トレンドが傾斜していた状態から反発へと転じることはできず、目先は117円台半ばの目標水準へと向かう可能性が高まる状況。レジスタンスラインも119円80銭に切り下げ。
週間では-1.98円(-1.65%)となり、4週間ぶりの反落。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場1/9終値とチャート
- 2015年1月10日(土)時点の相場
-
国内金 : 4,987 円 1/9(金) ▲8(0.16%) 国内プラチナ : 5,017 円 1/9(金) ▲15(0.30%) NY金 : 1,216.1 ドル 1/9(金) ▲7.6(0.63%) NYプラチナ : 1,230.1 ドル 1/9(金) ▲7.1(0.58%) ドル円 : 118.51 円 1/9(金) ▼1.16(0.97%)
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