金プラチナ短期相場観

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この1年間で最も大量の金を購入した中央銀行は?

更新日:2016年12月14日(水)

中央銀行の年間金購入量ランキングこの1年間で最も大量の金を購入した中央銀行は、金準備保有高ランキングでは世界7位のロシア中央銀行で、年間合計212.44トンに達しています。年間の金購入ランキングでは2位、金保有高ランク6位の中国人民銀行の120.06トンを大きく引き離しての独走状態となっています。
この1年間で世界じゅうの中央銀行が保有する金準備高は合計で494.52トン増加しており、この増加分のうちの43%をロシア中銀が占め、2位中国と合わせた購入量では67%に達します。

なお、売却量1位はベネズエラの年間172.12トン、2位トルコの-75.66トンが突出しています。原油安に伴う経済危機、政局不安による通貨安と信用不安などが大きく影響しているものと思われます。

ロシア中銀の金準備保有高は、2000年代前半には400トン前後での横ばい推移の状態が続いていましたが、2000年代後半以降はコンスタントに増加傾向が続きます。
2006年には401.5トンだったロシア中銀の金保有量は、2013年には1035.2トンまで増加しました。7年間で633.7トンの増加、年間90トンの金を追加購入し続けたことになります。
その後、ロシア中銀の金購入ペースは加速し、現在では1583.06トン、2014年以降の3年間で547.86トンの増加、年間平均182.6トンのペースで購入したことになります。2000年代前半の倍のペースです。さらに直近1年間では212.4トンの増加となり、一段とハイペースになっています。

2014年はクリミア半島併合、ウクライナ東部での紛争と地政学リスクも高まり、欧米などからの経済制裁もあってロシアが孤立化した年。この影響もあり、格付け大手3社によるロシアの格下げも続き、2013年までは3社とも投資適格級を維持していた状態から、2015年初旬までにムーディーズとS&Pはロシア国債を投資不適格とされる「BB+」相当まで引き下げました。

悪いことは続くもので、2014年末には原油相場急落によって原油生産量世界第3位のロシアには大打撃。原油頼みのロシア経済は急減速状態となり、通貨ロシアルーブルも急落、米国の利上げ観測も高まる2015年にはルーブル安が続き、2016年1月には対ドルでの過去最安値となる1ドル=80ルーブル台を記録しました。同時期に原油相場も20ドル台まで下落することになります。

しかし、その後は原油相場が底値をつけ、2016年後半にかけては40-50ドルの水準まで反発したこともあり、ルーブル安も反発基調となって現在は60ルーブル付近。
最近のOPEC加盟国、非加盟国での原油減産合意もあって、原油相場も50ドル台以上でさらなる回復基調の兆しも見られ、米国の1年ぶりの利上げ直前でもルーブル安も限定的となっています。

2016年前半には金相場が急上昇したこともあり、2014年以降のロシアの金準備保有高急拡大は、格下げが続いたロシアの信用不安と、原油安を発端とする外貨準備減少懸念や経済危機に対しても、ある程度の緩和効果をもたらしたのかもしれません。ロシア中銀の金準備拡大政策が功を奏したことになります。

そんなロシアのプーチン大統領は、トランプ米次期大統領との相性も良好?との見方もあり、13日にはプーチン大統領との親交も深い米石油最大手エクソンモービルのティラーソンCEOが次期国務長官に指名されるなど、フォローの風に乗って、日本の安倍首相との会談に臨むことになります。

NY金・日足チャート 2016/11/11 - 12/1313日のNY金相場は0.58%の反落。終値では2月5日(1157.7)以来10カ月ぶりの安値水準を更新。利上げが確定的なFOMCスタートでも株高の流れは続き、安全資産の売り基調も継続。前日安値を下回ることなく、1160ドルをはさんでの揉み合い推移と下げ渋りの様相を見せながらも、高値はゆるやかに4日連続の下落。利上げ決定で材料出尽くしの反発へ、という流れとなる為には2017年の利上げ見通しが2回以下となる必要も。しかし、今回のFF金利予想ドットチャートの2017年末中央値は1.25%を超える可能性も高く、そうなれば1140ドル近辺までの一段安も想定されそう。予想外にハト派的となって反発の展開なら1180ドルの抵抗水準との攻防へ。まだ難しそうだが、突破できれば1210ドル台が次の目標水準に。

NYプラチナ・日足チャート 2016/11/11 - 12/13NYプラチナ相場は0.32%の小幅続伸。金よりは比較的堅調な地合いが続いたことで、金との価格差は8月12日(213.9ドル)以来、4カ月ぶりの水準となる222.3ドルまで縮小。FOMC後の展開としては金に追随する動きが想定されやすく、下方向へは900ドルのレンジ下限までで下げ止まれるかどうか。下抜けると870ドル近辺が次の目安水準に。上方向には950ドル付近が堅めの抵抗水準。抜け出すと980ドル付近まで一段高の展開も。

ドル円・日足チャート 2016/11/14 - 12/13ドル円は0.14%の小反発。利上げ見込みのFOMC直前でも欧米株高の流れは衰えず、米株は主要3指数揃っての過去最高値更新でNYダウはいよいよ2万ドルも目前となるなか、米10年債利回りが横ばい推移となったことで、ドル円も115円台前半を中心とした揉み合い状態に終始。FOMC後には材料出尽くしの調整反落の展開も想定されるものの、今後の利上げ見通しなどがタカ派的となれば116円半ば辺りまでは吹け上がる可能性も。調整局面入りとなれば113円半ばまでは下げやすく、ここを下抜けるような勢いとなった場合には112円割れも意識されるような展開も。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場12/13終値とチャート

14日の国内金価格は前日比-7円、0.15%の小反落。11月半ば以降の値動きの平均は+-13円(+-0.28%)となり、今年の平均+-26円(+-0.55%)の半分まで縮小。流れ的にはボラティリティが急激に高まるのも時間の問題。FOMC後にドル円とNY金の膠着状態が解き放たれた場合、両者の値動きのバランスが崩れ、国内金価格にも比較的大きな流れが発生する可能性も。下方向なら4510円前後が当面の目安となり、上方向へと動き出した場合には値幅は拡大しやすく、4700円台後半を目指すような流れとなる可能性も。但し、目先の方向性としては下方向がやや優勢か。

プラチナ価格は0.79%の大幅続伸。金価格との30日間相関係数は0.137台まで低下し、短期的には全く相関性のない関係に。単独での堅調推移は継続し、金との価格差は9月7日(864円)以来3カ月ぶりとなる874円まで縮小。直近高値を上抜けたことで一段高となりやすく、目先の上値目安は3740円台へ。但し、FOMC後は金との連動性を取り戻す可能性も高く、下方向への警戒感も残るところ。3630円台の節目を下抜けるような急落となった場合には流れが巻き戻されることになり、3570円台辺りまでの一段安の可能性も。
※参考:金プラチナ国内価格12/14とチャート

2016年12月14日(水)時点の相場
国内金4,588 円 12/14(水) ▼7(0.15%)
国内プラチナ3,714 円 12/14(水) ▲29(0.79%)
NY金1,159.0 ドル 12/13(火) ▼6.8(0.58%)
NYプラチナ936.7 ドル 12/13(火) ▲3.0(0.32%)
ドル円115.18 円 12/13(火) ▲0.16(0.14%)

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