金プラチナ短期相場観
ロシアなど中銀の大幅買い越しで2018年世界の金需要は4.5%増
更新日:2019年2月1日(金)
ワールド・ゴールド・カウンシルが発表したレポートによれば、2018年の世界全体の金需要は4345.1トン。2017年からは185.2トン、4.5%の増加となっています。
需要全体の50%を占める宝飾品需要が横ばい推移となり、工業需要が小幅増、投資需要が小幅減となったなかで中央銀行などの公的機関の需要が前年比+276.7トン、73.8%の大幅増となり、全体需要を押し上げました。
中央銀行などの年間需要は651.5トン、9年連続の買い越しとなり、買い越し量としては2013年の623.8トンを上回って過去50年間で最大。
中央銀行の金保有ランキングでは、13年連続で買い増しを続けるロシアが前年比+274.3トンとなって2100トン超え。中国を上回って世界6位に浮上しています。
カザフスタンも+49.5トン、インドも+40.5トン、イラクは+38.8トン、ポーランドも+25.7トンなどが続き、ハンガリーやモンゴルなどでも増加しています。また、しばらく動きがなかった中国も+10トンと年末に買い増ししているようです。
世界経済への不透明感が強まり始めたことや、貿易摩擦や地政学リスクなど様々なリスクに備え、外貨準備としての金需要が高まったようです。
なお、夏には通貨急落となったトルコは300トン超の売り越し、ハイパーインフレと政局不安に揺れるベネズエラでも30トンの売り越しとなっています。
2000年代には世界全体の金需要増加とともに金価格も上昇し続け、2010年代には金需要のピークアウトとともに金価格も下落しましたが、近年では需要の減少も底打ちの兆しとなって4000トン台前半で揉み合う形にもなりつつあり、金価格もゆるやかに上昇傾向となってきました。
金の年間平均価格は2018年の1271ドルから、2019年は1カ月経過時点で1292ドルへと上昇しています。金融政策リスクも新たに加わることになれば、今年も中銀の買い越し需要と金価格をさらに押し上げることにもなりそうです。
31日のNY金相場は+15.3ドル、1.17%の大幅高で5日続伸。昨年4月24日(1333.0)以来9カ月ぶりの高値水準、5日続伸は昨年1月以来1年ぶり。FOMC直後の急騰後には一服状態となったものの、FRBのハト派転換を受けて東京・欧州時間にはジリジリとドル安と金利低下の流れが進行、NY朝には新規失業保険申請件数の悪化などもあり一時1330ドルを突破。NY時間にはイタリアのリセッション入りやバイトマン独連銀総裁の「独経済に下振れリスク、景気減速は予想よりも長く深刻に」など悲観的発言を受けてユーロ売りが進行したことによりドルが下げ止まり、金も1320ドル台で一服状態に。短時間ながらも上値目標1330ドル台に到達し、上ヒゲ十字線を形成して反落の可能性も示唆。雇用統計やISM製造業景況指数などでネガティブ・サプライズとならない限りは若干の調整局面形成も。
月間ベースでは+43.9ドル(3.43%)で4カ月続伸。4カ月続伸は2012年6-9月以来、6年4カ月ぶり。
NYプラチナ相場は+8.5ドル、1.04%の大幅高で3日続伸。1月10日(826.1)以来、3週間ぶりの高値水準。抵抗水準となりつつあった820ドルラインとの攻防を欧州時間に上抜けるとNY午前には一時830ドル手前まで上昇。しかし、金の失速とともに上値が重くなり、820ドル半ばに収束。抵抗線となっていた90日移動平均線(823.5)をわずかに上回る水準を維持しており、1月7日につけた今年最高値836.5ドル更新トライに向けて若干の上昇余地も残る状況。
金との価格差は1月3日の495.5ドルを上回って初の500ドル超え、過去最大更新で500.5ドルに。
月間ベースでは+24.1ドル(3.01%)で続伸。
ドル円は10銭超のドル安円高で続落。FOMC後の急落からの小反発では109円ラインが抵抗水準となって戻り売りの展開に、欧州時間にかけてコンスタントに下値を切り下げる流れとなってNY朝には失業保険申請件数の増加に加え、1月のシカゴPMIも2年ぶり低水準となり、108円50銭近辺まで下落。しかし、ユーロドルの急落に伴うドル高の流れを受けて反発、今朝の東京市場では108円90銭台へ。短期下値目安108円10銭台付近を目指した流れは50銭近辺までで力尽きてしまった可能性も。直近の失業保険申請件数は悪化したものの、雇用統計の調査対象週12日を含む週には好結果となっていたこともあり、今晩の雇用統計も好結果となる確率のほうが高そう。109円ラインが抵抗線とならなければ109円台後半までは戻す可能性も。
月間ベースでは-0.78円(0.71%)で続落。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場1/31終値とチャート
1日の国内金価格は+9円、0.18%高となって5日続伸。5日続伸は昨年12月10-14日以来、1カ月半ぶり。今回の5日続伸では合計105円、2.17%の上げ幅となり前回(49円、1.02%)の倍以上の大幅上昇。昨年6月15日(4957)以来、7カ月半ぶり高値水準で過熱感も高まり、RSIの85.7%は昨年1月9日(93.4)以来1年ぶりの高水準。前回は翌日から2日続落で70円の急落となっていたこともあり、今回も急反落警戒感も。8月安値からの上昇幅は483円(10.8%)に達しており、23.6%戻し(4827)辺りがトレンド転換の節目にも。目先、すぐにここまでの調整は想定されないものの、4900円前後までの調整はいつでもありか。
プラチナ価格は+15円、0.49%の反発。節目の3080円を超えて1月9日(3086)以来、3週間ぶり高値水準となり、今年高値3087円も目前。短期的には上値目標3120円台を目指す流れが加速しそうな状況とはなったものの、雇用統計などの結果を受けて金の調整幅が拡大するようだと連れ安の展開にも。下方向への節目3060円を割り込むようだと短期トレンド逆転への警戒感も高まり、3000円の大台付近までが次の下値目安にも。
※参考:金プラチナ国内価格2/1とチャート
- 2019年2月1日(金)時点の相場
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国内金 : 4,941 円 2/1(金) ▲9(0.18%) 国内プラチナ : 3,085 円 2/1(金) ▲15(0.49%) NY金 : 1,325.2 ドル 1/31(木) ▲15.3(1.17%) NYプラチナ : 824.7 ドル 1/31(木) ▲8.5(1.04%) ドル円 : 108.87 円 1/31(木) ▼0.13(0.12%)
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