金プラチナ短期相場観

金プラチナ短期相場観

NY金も金ETFも7カ月超ぶりの高水準、漂い始める高値警戒感

更新日:2019年1月30日(水)

SPDRゴールド・シェア金ETF保有高 2019年1月29日NY金は28日に1300ドルを超え、29日も8カ月ぶり高水準での堅調推移が続きます。世界最大シェアのSPDRゴールド・シェアーズの金ETF保有高も29日には823.87トンとなり、昨年6月26日(824.63)以来7カ月ぶりの高水準へと急増しています。

昨年秋以降、急速に水準を切り上げて来た金価格も、その押上要因の一つとなってきた金ETF保有高も、それぞれの90日移動平均線との乖離率も拡大の一途となっています。
NY金の90日移動平均乖離率は+5.48%に達し、2017年10月以降では3番目の高水準。金ETFの乖離率は+7.63%となり、2016年8月11日(+8.76%)以来、2年5カ月ぶりの高水準。いずれも高値警戒感も漂う水準に到達してきました。

ただし、過去には過熱感を振り切って上昇した時期もありました。2016年6月に英国がブレグジットを決めた後、7月にはNY金の90日移動平均乖離率は8%台まで上昇し、金ETF保有高の90日移動平均乖離率は16%台まで跳ね上がりました。

折しもこの日、英国では下院でEU離脱合意案の修正案の採決が行われました。
「合意なき離脱の拒否」を盛り込んだ修正案は可決されましたが、市場では可決が予想されていた、離脱日延期を求める修正案は否決されました。その代りに北アイルランド国境問題に関わるバックストップ(安全策)を撤回する修正案などが承認されました。
これを受けてメイ首相はEUとの再交渉を明言しています。

しかし、トゥスクEU大統領は英国の離脱協定について再交渉しない考えを示しています。その代りに英国側からの根拠ある延期要請に対しては対応する旨を表明しています。

デッドロック状態です。
離脱日まで残り2カ月を切ろうとしている現在、依然として不透明感は払拭されません。

NY金と金ETF保有高の90日移動平均乖離率も、もう一段の拡大余地もありそうです。

NY金・日足チャート 2018/12/21 - 1/2929日のNY金相場は+5.8ドル、0.45%高で3日続伸。5月14日(1318.2)以来、8カ月半ぶりの高値水準に。重要イベントウィーク前半は市場全体のボラティリティが低下。前日の1300ドル超えからは一度も大台を割れることなく、ロンドン時間からNY朝にかけて1300ドル台前半から後半へと堅調推移。米1月消費者信頼感指数が1年半ぶりの低水準となったことなどもあり、1310ドルを何度かトライしながらも超えられない状態で変動値幅も10ドルに満たない小動きに。FOMCでは現状維持も今後の見通しやパウエル議長会見でハト派的な印象が強まれば一段高へと向かう可能性、上値目標1330ドル台を目指す流れ継続へ。

NYプラチナ・日足チャート 2018/12/21 - 1/29NYプラチナ相場は+1.3ドル、0.16%の小反発。時間外には金の小幅上昇にも連れて820ドル再トライ、しかしこれを維持できずNY市場では810ドル台半ばへと小幅に軟調推移。3日連続で820ドル台を試しながらも維持できず、ほぼ水平状態の90日移動平均線(823.7)に蓋をされた状態に。FOMC後に金と株価が上昇する展開となれば、これに追随する形での一段高も。830ドル台の上値目標に向けて今年高値更新トライにも。

ドル円・日足チャート 2018/12/25 - 1/29ドル円は109円30銭台でほぼ横ばい推移もわずかにドル高円安となって3日ぶりの小反発。FOMC前で方向感には乏しく、東京朝の109円10銭台からNY朝の109円50銭台までのレンジで保ち合い。下げ止まりつつある20日移動平均線(108.95)がサポートにもなりそうな状況も、FOMC後にはドル安円安の綱引き状態となる可能性もあり、ドル安の勢いが上回ればサポートを割れて108円近辺までの下押しも。円安優勢となれば111円台トライの展開にも。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場1/29終値とチャート

30日の国内金価格は+29円、0.59%高となって3日続伸。昨年6月15日(4957)以来、7カ月半ぶり高値水準での堅調推移で短期上値目標4900円前後をクリア。過熱感も高まりながら、オシレータ系指標は12月高値時点の数値を上回らない逆行状態となり、反落警戒感も高まる状態。ただし、NY金の上値余地と重要イベントに伴い、行き過ぎの展開への可能性も低くくはなさそうな状況でもあり、6月高値4957円近辺を試しに行ってもおかしくはないか。

プラチナ価格は+11円、0.36%の反発。節目の3080円を超えられず、21日移動平均線(3041)を上抜けへと向かっていた9日移動平均線(3037)も目前で失速。2980円から3080円までの広めのレンジで保ち合い形成の様相にも。NYプラチナの上値トライ再開を待ってレンジ上限をブレイクできれば3120円台を目標に上値を伸ばす展開にも。
金との価格差は1847円となり、過去最大となった1月23日の1851円に迫る水準に。
※参考:金プラチナ国内価格1/30とチャート

2019年1月30日(水)時点の相場
国内金4,920 円 1/30(水) ▲29(0.59%)
国内プラチナ3,073 円 1/30(水) ▲11(0.36%)
NY金1,308.9 ドル 1/29(火) ▲5.8(0.45%)
NYプラチナ815.8 ドル 1/29(火) ▲1.3(0.16%)
ドル円109.36 円 1/29(火) ▲0.04(0.04%)

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