2017年、NY金相場は前年末終値1151.7ドルから1162.0ドルへ上昇、プラチナは901.6ドルから944.2ドルへと急騰、ドル円は116.97円から117.74円へとドル高円安スタート。
<1月>
トランプ相場一服で迎えた年明け、欧米株は一服状態が続き、ドル円は日本株安とともに円高ドル安の調整局面へ。ドル高の調整に伴いNY金は年末からの反発局面が加速、プラチナも急騰。
20日の米大統領就任式では、トランプ新大統領は米国第一主義を最優先する保護主義政策を表明する演説。財政出動や規制緩和などの具体的な政策に言及することもなく、市場の期待は剥落。全米各地では反トランプ派のデモも拡大。
ドル売り金買いの流れは続き、翌週にかけて金は一時1220ドル付近まで上昇、プラチナも1010ドル付近へ、ドル円は112円台まで下落。
オバマケア撤廃やTPP離脱などオバマ時代の政策を変更する大統領令を矢継ぎ早に発行し、中東7カ国出身者の入国一時禁止では米国内外での空港での混乱、世界的な批判、国内でも訴訟へと発展するなどの混乱ぶり。
そんな状況下でも米株は安定推移、1カ月以上の保ち合いを上抜けてNYダウは史上初の2万ドルに到達。金は一時1200ドル割れ、ドル円は115円を回復する場面も。しかし、月末にかけて金は再び1200ドル台、ドル円は113円近辺へ。
<2月>
2月に入ると、トランプ大統領の金融規制改革法(ドッド・フランク法)の見直しに関する大統領令、税制大幅見直しに関する言及などを受けてリスクオンの流れが強まる場面も。
10日の日米首脳会談終了後、15日にかけてドル円は115円手前まで上昇、金は一時1220ドル割れ。しかし流れは続かず、ドル円は週末に113円割れ、金は1240ドル台まで反発。
28日に行われたトランプ大統領の議会演説では、1兆ドルのインフラ投資や移民制度改革、中間層向けの大幅減税などへの言及はあったものの、具体策についてはふれず。ただし事前に織り込まれていた面もあり、むしろ落ち着き払った演説を好感する向きもあり、リスクイベントを無事通過した形に。
<3月>
トランプ大統領の議会演説と前後してFOMC主要メンバーからの3月利上げに向けた前向き発言が活発化。週末のイエレン議長発言まで連日複数のタカ派発言が聞かれ、3月利上げへの市場織り込みは急速に拡大。ドル円は2月末の112円台から反発。8日には2月ADP雇用者数が前月比+29.8万人と予想を大幅に上回り、10日には雇用統計前に115円半ばまで上昇。金は2月末の1250ドル台後半から、9日続落となって1200ドルまで、プラチナは1030ドル台から930ドル台へ、2週間で100ドルの急落。
14-15日のFOMCでは市場予想どおり利上げ決定も利上げ見通しは年3回維持となり、ドル円は週末にかけて112円台へ、金は1230ドル、プラチナは960ドル台まで急反発。
24日にはオバマケア代替法案可決見通しがたたず撤回。トランプ政策の先行き不透明感も強まり、月末にかけて金は1250ドル前後の水準を維持、ドル円は111円近辺での推移。
<4月>
7日、シリアの化学兵器使用疑惑を受けて米国はシリア空軍基地に向けてミサイル発射。中東情勢悪化と米国の軍事介入を受けての米露関係悪化や、米中関係を含めての北朝鮮情勢など地政学リスクが高まった。同日発表された米3月雇用統計で雇用者数の伸びが予想外に低かったこともあり、金は一時1270ドル台まで上昇。その後も市場の警戒感は続き、金は18日までに1290ドル台へと上昇、ドル円は111円から108円台まで下落。
23日に行われた仏大統領選1回目の投票ではマクロン、ルペン両氏が決戦投票進出と事前予想どおりの結果となったことをきっかけにリスク回避緩和、26日の米税制改革案への期待も高まり、ドル高円安へ、金は反落。
<5月>
予想通りFF金利据え置きとした3日のFOMCでは強気の経済見通しなどにより6月利上げへの織り込みが進行。週末にかけてドル円は112円後半まで上昇、金は1220ドル台まで下落。プラチナは3日に904.4ドルまで下落して年初来安値を更新。
7日の仏大統領選決選投票でマクロン氏が勝利、週明けには市場のリスク警戒感が後退し、9日に金は1210ドル台、プラチナは900ドルまで下落、ドル円は10日に114円台まで上昇。
17日にはトランプ米大統領のロシアゲート疑惑によりドル円は110円台へと急反落、金は1260ドルまで急騰。
<6月>
2日の米雇用統計は前日のADP雇用の好結果に反して下振れ、111円台での推移が続いていたドル円は6日の109円台まで下落。金は7日の1290ドルまで水準を切り上げ、930ドルまで下落していたプラチナも6日の960ドル台まで反発。8日に投開票が行われた英総選挙では与党・保守党が過半数割れへと議席数を減らすもイベント通過で市場の警戒感も後退、金は9日までに1270ドルへと反落、プラチナも940ドル台へ、ドル円は110円台へと反発。
13-14日のFOMCでは今年2回めの利上げを決定し、バランスシート縮小予定を発表。翌週にかけて金は1240ドル台、プラチナは920ドル台まで下落、ドル円は111円台へ。
27日にはドラギECB総裁、28日にはカーニーBOE総裁のタカ派発言が続き、米国以外でも金融緩和政策の出口論が台頭。ユーロやポンドが急騰するなかでドル円も112円台を回復。
<7月>
欧米の長期金利が上昇し始め、その影響で日本の10年債利回りも一時0.1%を超えた7日、日銀が5カ月ぶりに指し値オペを実施。日米(欧)の金融政策の方向性の違いがあらためて意識されてドル買い円売りが進行。米6月雇用統計を経てドル円は一時114円台を回復。金は1200ドル台へ、プラチナは900ドル割れまで下落。
12日に行われたイエレンFRB議長の議会証言にハト派姿勢が見られたことで流れは反転、週末には米6月CPI下振れ、25-26日のFOMCではインフレの現状認識を下方修正したこともあり、ドル円は月末にかけて110円台まで下落。金は1260ドル台、プラチナは930ドル台へ。
<8月>
4日、米7月雇用統計が好結果となったことで一時110円割れまで下落していたドル円は111円近辺まで反発。月初に1280ドルまで上昇していた金は1260ドル台へと反落。
10日の北朝鮮のグアム島沖への弾道ミサイル発射計画報道を巡って米朝間の緊張が高まり、リスク回避と米国の物価指数の下振れなどでドル円は週末にかけて109円まで下落。金は1300ドル手前、プラチナは1000ドル手前まで上昇。しかし15日発表の米7月小売売上高が好結果となって流れは巻き戻し、翌16日にはFOMC議事要旨で低インフレへの警戒感が強まりドル安金高へ、人種差別問題に関わるトランプ発言への批判や政権内部の混乱などもあり、週末には金は一時1300ドル超え、ドル円は108円台まで下落。
最終週もドル安の流れが強まり、週明けから金が買われて1300ドル台を超え、29日朝には北朝鮮のミサイルが日本上空を超えてJアラートが発動。東京市場でリスク回避の流れが強まるとドル円は一時108円20銭台まで下落し、金は1330ドルまで上昇。
<9月>
月末の米インフレ指標と月初の雇用統計が低調な結果となったことでドル円の反発の流れは進まず、しかし金の堅調推移は続き1日終値でも1330ドルへ。プラチナも連れ高となって1000ドル台を回復。NY3連休中日となる3日、北朝鮮が6回目の核実験を強行したことで翌週にかけて地政学リスクが高まり、7日のECB理事会後には対ユーロでのドル安も一段と進行し、ドル円は8日にかけて10カ月ぶりの107円台へ。金は一時1年ぶりとなる1360ドル台、プラチナも半年ぶりに1020ドル台まで上昇。第3週には流れが反転。国連安保理決議やこれに反発する形での北朝鮮のミサイル発射もあったものの市場への影響は限定的となり、米8月消費者物価の上振れなどもあり、週末にかけてドル円は110円台後半、金は1320ドル台、プラチナは970ドル台へ。
20日の米FOMCでのタカ派見通しを受けて12月の追加利上げ観測再燃、ドル円は112円台後半まで上昇、金は1290ドル台、プラチナは930ドル台まで下落。26日にもイエレン議長の「段階的な利上げ継続」発言もあり、月末にかけて金は1280ドル台、プラチナは910ドル台へ。
<10月>
月初の米経済指標では好結果が続き、ISM製造業景況指数は13年ぶり、非製造業景況指数は12年ぶり高水準となり、雇用統計でも失業率が16年ぶり低水準へと改善したことなどからドル円は一時113円半ばまで上昇。しかし、北朝鮮のミサイル準備の報道などによる警戒感もあり、112円台後半での推移が継続。金は1270ドル台、プラチナは910ドル台で推移。
米9月CPIが想定外の伸び悩みとなった13日には低インフレ継続が懸念され、ドル円は111円台へ、金は1300ドル台、プラチナも940ドルまで反発。20日には米予算決議案の可決により大型減税法案実現への期待が高まり、次期FRB議長人事の噂などにも影響されながらドル円は月末にかけて113円台へ、金は1270ドル、プラチナは920ドルへ。
<11月>
米税制改革法案の年内成立期待などを背景に月初にドル円は114円台まで上昇。その後は保ち合いを経て徐々に軟調推移。上院共和党での税制改革法案では財源確保の為に実施時期先送りなどが盛り込まれ、法案成立に向けて審議難航も懸念され、下院での法案が可決した16日には一時的にドル高へと反発も翌17日にはロシアゲート疑惑再燃などもあり112円台へ。金は1290ドル台、プラチナは950ドル台へと反発。
<12月>
2日に米上院で税制改革法案が可決すると、年内の法案成立期待から株高ドル高の流れが強まり、第2週までにドル円は113円台半ばまで上昇、軟調推移となった金は1250ドル割れ、プラチナは年初来安値更新で880ドル前半まで下落。
今年3回目の利上げを決定したFOMC直前までに金は1240ドル付近、プラチナは870ドル台まで下落。FOMC後には反発基調となった金は年末に1300ドル台へ、プラチナは930ドル台まで反発し、ドル円は112円から113台での小動きに。
2017年終値はNY金:1309.3ドル(前年末比+13.7%)、プラチナ:934.2ドル(+3.6%)、ドル円:112.71円(-3.6%)。
最終更新日:2017/12/30
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