2020年、NY金相場は前年末終値1523.1ドルから1528.1ドルへ、プラチナは977.8ドルから985.0ドルへと上昇スタート。ドル円は108.61円から108.56円へとドル安円高でスタート。
<1月>
3日、米国がイラン革命防衛隊のソレイマニ司令官を殺害したことにより米国とイランとの対立が激化、NY金は1550ドル台へと急騰。8日にはイランの報復攻撃で米国とイラクの合同基地にロケット数十発が発射され、開戦への警戒感も高まり一時1610ドル台まで急騰し、6年9カ月ぶりの高値。リスク回避の流れでドル円は一時107円台まで下落も、トランプ大統領が軍事力行使を否定したことで流れは巻き戻され、NY金は1560ドルまで急反落、ドル円は109円台へと急反発。
15日には米中通商協議の第1段階合意署名が行われ、これを好感する形でリスク選好の流れが強まったドル円は17日に110円20銭台まで上昇。
供給懸念が続くパラジウムが7日に2000ドルを超えてさらに一段と上昇した流れに影響を受けたプラチナも上昇基調が続き、16日には一時2年11ヵ月ぶりの高値となる1040ドル台まで上昇。
後半には中国発の新型コロナウイルスの感染拡大が懸念され、感染者数増加とともに株安連鎖の流れとなり、NY金は27日に1570ドル台まで上昇。30日にはWHOが緊急事態宣言、31日には株安と長期金利低下でNY金は一時1590ドル台まで上昇。ドル円は108円台前半へ。
<2月>
新型ウイルス感染拡大が続くなか、中国人民銀行の資金供給などで株価は下支えされ、米株主要3指数はそろって月初から4日続伸で過去最高値を更新。NY金は1550ドル台まで大幅調整、しかし週後半にかけてはウイルス感染の経済への影響懸念も徐々に拡大。週末には雇用統計の好結果にもかかわらず、株安と長期金利低下の流れとなり、NY金は1570ドル台へと反発、翌週にかけて1580ドル台へと上昇。ドル円は110円付近ての膠着状態から19-20日にかけてドル高で急騰、10カ月ぶり高値となる112円台へ。NY金は7日続伸となった21日には7年ぶり高値となる1648.8ドルまで上昇。
24日には世界同時株安の様相となってNY金は8日続伸で7年ぶり高値となり、一時1690ドル台まで上昇。これでいったんピークアウトして調整局面入り、月末にかけては世界同時株安がとまらず、NYダウは1000ドル単位の急落が続く7日続落となり、米株主要3指数の1週間の下げ幅はリーマンショック時以来の急落となり、週末には金も売られて70ドル超、4.6%の急落。株安に連動して7日続落となったプラチナは半年ぶり安値となる860ドル台へ。ドル円も月末の急落で4カ月ぶり安値となる108円台へ。
<3月>
3日にはFRBが0.5%の緊急利下げを敢行。しかし、株価を支えきれず、米10年債利回りも史上初の1%割れ。NY金は50ドル弱の急騰で1640ドル台、ドル円は107円台へ。その後もコロナウイルス感染拡大による景気後退懸念は続き、週末の米2月雇用統計は好結果ながらもリスク回避の流れはとまらず、米10年債利回りが0.76%台まで低下、ドル円は7カ月ぶりに105円台、NY金は1670ドル台へと一段高。プラチナも900ドルを回復。
週末のOPECプラスの協議決裂で9日には原油価格が暴落してリスク回避の流れが一段と強まり、NY金は時間外に一時7年3ヵ月ぶり高値となる1700ドル台まで急騰。NYダウは2000ドル超の急落となり、この週の株式市場は大荒れ。11日にはパンデミック宣言もあり、12日のダウは2352ドルの暴落、投資資産のキャッシュ化の流れも進み、NY金は週末までに1510ドル台へと急落。プラチナも11年5ヵ月ぶり安値となる740ドルまで下落。ドル円は9日102円まで急落後、13日には108円近辺まで急反発。
16日にはVIX指数が過去最高を更新し、ダウは3000ドル弱の暴落、ドル独歩高の流れも続き、NY金は一時4カ月ぶり安値となる1450ドルまで急落、プラチナは17年5カ月ぶり安値となる562ドルまで急落。ドル円は週末にかけて111円台まで上昇。
23日にはFRBが無制限QEを決めたことを受けてNY金は83ドル(5.59%)、翌24日には93.2ドル(5.95%)と2日連続で過去最大の急騰となって一時1700ドル寸前まで上昇。プラチナも週末にかけて750ドル台を回復、ドル高の巻き戻しが急速に進んだドル円は週末に108円割れ。
<4月>
2日に発表された3月28日までの週の新規失業保険申請件数は664.8万件となり、過去最大を大幅更新した前週の330万件から倍増。翌3日の米3月雇用統計では雇用者数が前月比-70万人。想定以上に悪化した雇用指標に株価の反応は限定的となったものの、金は2日続伸で50ドル上昇し1650ドル付近へ。売り買い交錯のプラチナは710ドル台、ドル高と円高拮抗のドル円は108円台。9日にはFRBの2.3兆ドルの追加資金供給策を受けてNY金は7年半ぶり高値となる1750ドル台へ。翌週14日には1760ドル台、高値では一時1788ドルまで上昇。
20日には原油が暴落し、NY原油先物価格は-37.63ドル、史上初のマイナス価格となる異常事態。NY金は1700ドル台での推移が続き、ドル円は107円台での膠着状態に。
<5月>
8日発表の米4月雇用統計では雇用者数が前月比-2050万人、失業率が14.7%など、過去最悪の状態。しかし、事前に織り込み済みで市場予想よりは悪化していなかったことなどから株高と円安の流れに。金は1700ドル台前半を中心に保ち合い推移、ドル円は106-107円台で小康状態に。
28日には中国が全人代で反体制活動を取り締まる「国家安全法」を香港に導入する方針を採択。事実上の一国二制度打ち切りへの思惑から米国などでは厳しく批判、市場では米中の緊張感を警戒。月末にNY金は1750ドル台まで上昇。
<6月>
5日発表の米5月雇用統計では失業率が19.8%予想に対して13.3%、雇用者数は前月比-800万人の予想に対して+250.9万人のポジティブサプライズ。リスク選好の流れが急進、NY金は40ドル超の急落で2ヵ月ぶり安値となる1680ドル台へ、プラチナも830ドル台、ドル円は2ヵ月半ぶり高値となる109円台半ばへ。しかしこの流れは一時的となって巻き戻し、10日のFOMCでは2022年までのゼロ金利継続見通しなどハト派スタンスが示され、NY金は1730ドル台、ドル円は107円台。米国内でのCOVID-19感染再拡大懸念などから19日にNY金は1750ドル台へ、23日には7年8ヵ月ぶり高値となる1780ドル台。翌24日には一時1796ドルまで上昇する場面も。30日には8年9ヵ月ぶりに1800ドルに到達。
<7月>
1日にもNY金は一時1807ドルまで上昇、2日の雇用統計では予想を上回る雇用の回復ペースが確認されてのリスク選好の流れも、米国での感染再拡大懸念に打ち消される格好となり、NY金は1790ドルで高止まり。その後も8日まで4日続伸で1820ドル、8年10ヵ月ぶり高値に到達。月後半にかけては米国のコロナ感染拡大と景気回復遅延懸念、米中対立激化への警戒感などもあり、17日から24日までNY金は6日続伸、終値ベースでの過去最高値となる1897.5ドルまで上昇。その後も高値更新は続き、29日まで9連騰、米4-6月期GDPが過去最低の落ち込みとなった翌31日には1985ドルまで上昇し、一時2000ドル超え。
<8月>
4日にはNY終値で初めて2000ドルを超えた金価格は6日終値で2069.4ドルまで上昇。7日には一時2089.2ドルで過去最高値を更新。この日発表された米7月雇用統計が予想を上回る好結果となったこともあり、NY終値では2030ドル割れへと調整。翌週にかけても調整は続き、実質金利反発とともに大幅調整、11日には7年4ヵ月ぶりの下げ幅となって1940ドル台へ、翌12日の時間外には一時1870ドル台まで下落。翌週前半には再び2000ドル台へと反発も19日のFOMC議事要旨ではイールドカーブコントロール(YCC)に対する消極姿勢が示されてハト派イメージが後退、株価とともに金も売られ、週末にかけて1940ドル台へ。27日、ジャクソンホールでのパウエルFRB議長講演ではFRBのインフレ目標を「平均で2%」とする方針転換を発表。直後には乱高下の反応で長期金利上昇とドル高で金は売られる展開となったものの、翌日にかけて流れは反転、1970ドル台へと上昇。28日には安倍首相の辞任発表を受けて円高急進となり、ドル円は106円台後半から105円台前半へと急落。
<9月>
月初の米経済指標ではISMの景況感指数や雇用統計などが好結果となり、NY金は1日に一時2000ドルまで上昇後は週末にかけて1930ドル台まで下落。ドル円は月初の105円台から106円台へと小幅に上昇。中旬にはFOMCで2023年までのゼロ金利見通しが示されたこともあり、ドル安優勢の流れでドル円は18日までに104円台へ、NY金は織り込み済との見方もあり1950ドル近辺を中心に保ち合い推移。月末にかけてはドル高の流れが強まり、ドル円は105円台へ、NY金は1860ドル台へと調整。
<10月>
米大統領選に向けてテレビ討論会もスタートして残り1ヵ月を切り、バイデン、トランプ両陣営ともにヒートアップし始めた矢先、雇用統計を控えた日本時間2日にトランプ大統領の新型コロナウイルス陽性が判明。市場は一時的にリスク回避の流れとなってNY金は1920ドル台まで上昇し、ドル円は105円割れを試す場面も。一時的には重症化していた可能性も報じられるなか、手厚い治療を受けたトランプ大統領は3日間の入院を経て5日夕方には退院。感染拡大懸念も非難されながらホワイトハウスに戻ると、追加経済対策を巡っての民主党との協議停止を指示して株価急落を誘発。翌日には歩み寄りを見せて株価反発をフォロー、リスク選好のドル安となって1890ドルまで下落していたNY金も9日までに1920ドル台へと反発。大統領選やコロナ感染拡大などへの警戒感などから月末にかけてはドル高傾向となって金は1870ドル前後へと軟調推移。
<11月>
3日に投開票が行われた米大統領選は一進一退、3日後でも決着が付かない接戦。ただしバイデン氏優勢の状況にドル安と株高の流れが進行、週末までにドル円は103円台、NY金は1950ドル台まで上昇。7日に大勢が判明してバイデン氏が勝利宣言も、トランプ陣営は13日時点でも敗北宣言なし。9日には米ファイザーのワクチン治験の好結果が伝えられてリスク選好の流れが急進、金は100ドル弱の急落となって1850ドル台へ、ドル円は2円弱の急騰で105円台へ。その後も米モデルナ社のワクチン治験好結果なども続いたものの、欧米での感染者急増もあってリスク選好の流れは続かず、金は下げ渋り、ドル円は103円台へと反落。24日にはバイデン米次期政権への移行プロセスが正式にスタートしたことなどが好感され、ダウが史上初の3万ドル台に到達、金は1800ドルへと急落し、週末にかけては1780ドル台まで下落。逆にプラチナは2ヵ月ぶり高値となる960ドル台まで上昇。
<12月>
月末に下げ止まって切り返した金は月初の週に1840ドル台まで反発、供給不足懸念や水素エネルギー需要期待なども背景となり急騰局面を形成したプラチナは4日までの5日続伸で4年3ヵ月ぶり高値となる1070ドル台まで上昇。英国政府は2日に米製薬大手ファイザーと独ビオンテックが共同開発した新型コロナウイルスのワクチン緊急使用を承認し、8日から一般接種をスタート。11日には米国でも同ワクチンを承認。15-16日のFOMCでは大規模緩和の長期継続見込みが確認され、金は17日にかけて1890ドルまで上昇。
2020年終値はNY金:1895.1ドル(前年比+24.4%)、プラチナ:1079.2ドル(+10.4%)、ドル円:103.25円(-4.9%)。
最終更新日:2021/1/1
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