2016年、NY金相場は前年末終値1060.2ドルから1075.2ドルへ上昇、プラチナは891.7ドルから884.5ドルへと下落、ドル円は前年末終値120.32円から119.44円へと下落してスタート。
<1月>
4日の月曜日から世界同時スタートとなった2016年1月の金融市場は世界同時株安が進行する全面リスクオフ、大荒れのスタートに。中国・人民元安に中国株安の進行、原油安の進行にサウジアラビアによるイランとの国交断絶、北朝鮮の水爆実験報道などの地政学リスクも加わり、株安円高、ドル高新興国通貨安などのリスク回避の流れが進行。
米雇用統計の好結果にもその流れは変わらず、NY原油相場が12年8カ月ぶり安値となる26ドル台まで下落した20日には、日米欧主要株価指数も年初来10%前後の大幅安。リスク回避の流れにプラチナも7年1カ月ぶり安値となる820ドル割れ、対象的に堅調推移が続く金との価格差は過去最大水準へと拡大。
その後、原油価格の反発とECBの追加緩和示唆などを経てリスク回避の流れは巻戻し傾向へ、29日には日銀サプライズでマイナス金利導入決定。短期的には円安株高方向へと強引に水準を押し上げることに成功した形となりました。
<2月>
しかし、翌週には米経済指標の弱さが目立ちドル安が進行。3日にはISM非製造業景況指数の急低下や、NY連銀ダドリー総裁の金融政策見直しの可能性を示唆する発言などで追加利上げ先送り観測が強まり、週末にかけてドル円は116円台まで大幅ドル安円高。ドル安に伴い金は1150ドル台まで上昇、プラチナも900ドル台へ。
この流れは翌週も継続、国内ではマイナス金利の悪影響への懸念が拡大し、10年債金利は一時史上初のマイナスを記録。欧州ではドイツ銀行の株価急落で銀行不安が拡大、米国ではイエレンFRB議長の議会証言で追加利上げへの慎重姿勢により米国景気減速懸念も拡大。2月11日には一時、1年3カ月ぶりの円高水準となる110円90銭台まで円高ドル安が進行し、金は1年ぶりに1260ドル台まで上昇。翌週には株価は反発傾向となったものの金利低下とともにドル安円高傾向は続き、ドル円は112円台へ、金とプラチナは高値圏での推移。
26日には米10-12月期GDP改定値の上振れやインフレ指標の上振れなどでドル円は114円手前まで急反発、金は1220ドルへ、プラチナは910ドル台へと下落。
<3月>
4日の米雇用統計では賃金の伸びが鈍化したことによりFRBの利上げペース鈍化への思惑が高まり、株高とともに金とプラチナも大幅上昇。金は1年1カ月ぶり高値となる1270.7ドルへ、プラチナは前日比4.63%もの急騰で4カ月ぶりの水準となる986.3ドルへ。
10日のECB理事会では予想を上回る内容の追加緩和が発表されたものの、総裁会見を経て追加緩和策の打ち止め感も高まってユーロが大幅買い戻し、ドル売り傾向に伴い金は上昇。1272.8ドルへと1年1カ月ぶりの高値を更新、翌11日には一時1287.8ドルまで上昇。
15-16日の米FOMCでは予想どおりの追加利上げ見送り、しかし、年内追加利上げ見通しが前回12月の4回から2回へと引き下げられたことを受けてドル安が進行、ドル円は17日に一時1年4カ月ぶりの円高ドル安水準となる110円60銭台をつけた。相対的に買われた金は17日に一時1270ドル台、プラチナも990ドル台まで上昇。
その後、市場の悲観ムードを緩和させるようにFRB関係者のタカ派発言が続き、翌週にかけてドル高方向へと反発。金とプラチナは調整局面入り。22日にはベルギーでの連続爆破テロが発生し、一時的にリスク回避の流れが強まったものの、ドル高金安傾向の流れは変わらず。しかし、29日のイエレンFRB議長のハト派発言でドル円は112円台へと下落、金は1230ドル台へ、プラチナは960ドル台まで反発。
<4月>
1日に発表された米雇用統計とISM製造業景況指数は好結果、ドル買い金売りの反応後は、ドル売り円買いが進行しドル円は111円台へ、金は1200ドル台まで下落後に1220ドル台へと反発。その翌週には円買いの流れが加速、ドル円は7日に一時1年5カ月ぶり円高水準となる107円60銭台へ。プラチナは13日に5カ月半ぶりの高値水準となる1003ドルへ。
22日には日銀の追加緩和観測が高まり、貸出へのマイナス金利適用の可能性などが報道されたことで株高円安の流れが加速。ドル円は2円以上の急騰で111円台へ、前日NY市場で8カ月ぶり高値水準となる1030ドル台まで上昇していたプラチナは1010ドルへと急落、金も1250ドル台から1230ドルまで急落。
しかし、28日の日銀金融政策現状維持を受けて株高円安の流れが急速に巻き戻され、ドル円は翌29日にかけて5円超の急落で1年半ぶりの円高水準へ。急反発の金は1290ドル台へ、プラチナは10カ月ぶり高値となる1078ドルまで上昇。
<5月>
6日、米4月雇用統計で非農業部門雇用者数の伸びが予想を大きく下回ったことなどで金は1290ドル台へ、プラチナも1080ドル台へと急騰。18日に公開されたFOMC議事要旨では6月利上げへの可能性も示唆されたことで為替は3週間ぶりの110円台へと急騰、翌19日にかけて金は1250ドル台、プラチナは1010ドル台へと急落。その後も当局関係者のタカ派発言が続き、6-7月の利上げ織り込み進行とともに金は27日まで8日続落となって1210ドル台へ。プラチナも980ドル台まで値を下げた。
<6月>
3日発表の米5月雇用統計では、非農業部門雇用者数が市場予想の前月比+16万人を大幅に下回る+3.8万人と5年8カ月ぶりの低水準に鈍化。過去2か月分も合計で5.9万人の下方修正。NFPショックとなってドル売り金買いが急速に進行し、ドル円は2%超の急落で106円半ばへ、金は2.5%の急騰で1240ドル台へ。プラチナも金に連れ高となって2%超の上昇で980ドル台へ。その後23日の英国EU離脱を問う国民投票が近づくに連れてリスク回避傾向が強まり、金は上昇傾向、プラチナは軟調推移、為替は円高傾向に。15-16日のFOMCと日銀の金融政策現状維持を経てドル円は一時103円台半ば、金は1320ドル近辺まで上昇。
英国の国民投票の結果、EU離脱ショックとなった24日、ドル円は一時99円台まで下落し、終値でも前日比3.6%の下落で102円30銭へ。金は一時1360ドル台まで急騰し、終値でも4.69%上昇し1320ドル台へ、プラチナは2.15%の上昇で987ドルへ。
<7月>
7月に入っても金やプラチナの上昇基調と円高基調は続き、6日に金は2年4カ月ぶりの高値水準となる1370ドル台へ、8日には米雇用統計での雇用者数の伸びが大きく上振れたにもかかわらずプラチナは1年1カ月ぶりに1100ドル台へと到達、ドル円は2年7カ月ぶりの円高水準となる100円40銭台へ。
参院選明けの11日からは安倍政権の経済対策期待が高まり、株高・円安の流れが加速、週末にかけてドル円は一時106円台まで上昇。金は調整局面となって1320ドル台へ、プラチナは1090ドル台へ。
月末のFOMCでは現状維持、日銀はETF買い入れ枠の拡大のみの追加緩和、また米4-6月期GDP速報値の下振れなどもあり、金は1350ドル付近まで反発、プラチナは1年2カ月ぶりの高値水準となる1150ドルへ、ドル円は102円まで急落。
<8月>
米雇用統計では雇用者数の伸びが2カ月連続で大幅上振れとなり、賃金上昇率も予想以上の伸びを示したことなどからリスク選好の流れとなり、金は1340ドル台へと急反落、プラチナも1150ドル台へと連れ安、ドル高円安への流れはそれほど加速せず、ドル円は101円80銭。
10日には南アフリカの国営電力会社エスコムのストライキの影響懸念によりプラチナが急騰、1年5カ月ぶり高値となる1180ドル台へ、しかしこれも一時的にとどまり、週末にかけて1130ドル割れへと急反落。夏休みシーズンで取引も閑散としがちになる8月半ばにかけてはドル安傾向の流れが続き、ドル円は18日、終値ベースでは2年9カ月ぶりとなる100円割れ。
26日、ジャクソンホールでのイエレンFRB議長講演では利上げに向けて前向きな発言、フィッシャー副議長やFOMC関係者からもタカ派発言が聞かれ、早期利上げ観測が再燃し、ドル安の流れが反転の兆し。ドル円は100円台から101円後半へと反発。
<9月>
ドル高円安の流れは8月末まで6日連続となり、2日の米8月雇用統計後にはドル円は1ドル=104円まで上昇。金は8月末に1300ドル台まで下げて反発、2日には1320ドル台へ。プラチナは9月1日の1040ドル台まで下げて2日には1060ドル台へと反発。
6日にはISM非製造業景況指数が予想外の急低下、金は1350ドル台、プラチナは1100ドル台へと急騰、ドル円は102円へと急落。
21日、日銀は新たな金融政策の枠組みとして「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の導入を決定。とりあえずマイナス金利の深掘り回避を好感して日経平均は上昇したものの、黒田日銀総裁会見を経ても市場は消化不良の感も否めず、為替はドル売り円買いで反応、金は上昇。翌日早朝(米国時間は同日)FOMCでは7対3でFF金利据え置きを決定。ドル円は101円後半から100円台前半へと円高、金は1310ドル台後半から1330ドル台、週末には1340ドル台へと上昇。プラチナも1030ドル台から週末には1060ドルまで上昇。
<10月>
初旬はドル高円安、金は売り基調。米大統領選やドイツ銀行経営不安などのリスク後退や年末に向けての米利上げ観測再燃なども背景に金は5日、1310ドルを底辺とした保ち合いを下抜けて43ドル(3.28%)の急落。ドル円は逆に100円台での保ち合いを上抜けて1.24円の急騰、8日続伸となった6日には一時104円台まで上昇。金は7日まで6日続落となって1250ドルまで、プラチナは13日の930ドル台まで下落。月末にかけて金は1270ドル台まで、プラチナは980ドル台まで反発、ドル円も上昇基調が続き、3カ月ぶりの105円台へ。
28日にはFBIがクリントン大統領候補のメール問題捜査再開、大統領選を目前にリスク回避ムードが高まる。
<11月>
1日、一部の世論調査でドナルド・トランプ氏とヒラリー・クリントン氏の支持率逆転が伝えられ、トランプリスクへの警戒感が一段と高まり、週末にかけて金は1300ドル台、プラチナは1000ドル台を回復、ドル円は一時102円台まで下落。
9日東京市場の時間帯に開票が進み、接戦状態となり市場は大荒れ、トランプ氏の勝利が確定すると日経平均は一時1000円の下落、ドル円も101円まで下落、同時に金は1330ドル台、プラチナも1020ドル台まで上昇。しかし、勝利宣言スピーチとともに流れは急速に巻き戻され、トランプショックは一時的に。
逆にこの日のNY市場からはトランプ氏の経済政策への期待からリスクオンの展開へ。米金利上昇を受けてNY金は週末に1220ドル台へと急落。プラチナも940ドル台へ。その後もトランプ相場継続で24日にはドル円は113円台まで上昇、金は25日には1170ドル台、プラチナは900ドル台へ。
30日、OPEC総会での8年ぶりの減産合意を受けて原油相場が急騰、リスクオンの流れでドル円は114円台へと上昇、金は1170ドル台、プラチナは900ドル台へと反落。
<12月>
8日のECB理事会では債券購入期限を9カ月延長し、2017年4月以降は月額200億ユーロ減額することも決定。市場は乱高下を経て緩和政策延長を好感しユーロ売りドル買いが進行。翌日にかけてドル円も115円台まで上昇、金は1160ドル台、940ドル台まで反発していたプラチナも910ドル台まで下落。
13-14日の米FOMCでは1年ぶりの利上げを決定。2017年の利上げ見通しがこれまでの2回から3回へと上方修正されたことを受けてドル高の流れが加速。15日かけてドル円は118円台まで急上昇、金は1120ドル台へ、プラチナは890ドルまで急落。
2016年終値はNY金:1151.7ドル(前年末比+8.6%)、プラチナ:901.6ドル(+1.1%)、ドル円:116.97円(-2.8%)。
最終更新日:2016/12/31
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