金プラチナ短期相場観

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独立宣言vs自治権剥奪、GDP好調vsパウエル、波乱の週末に金反発

更新日:2017年10月28日(土)

スペインのカタルーニャ州議会は27日、無記名投票で独立に関する動議を可決、スペインからの独立を宣言しました。これに対し、スペイン中央政府は議会承認を受けてカタルーニャ州の自治権剥奪。ラホイ首相は、カタルーニャ州のプチデモン州首相を更迭し、強行措置の構え。独立宣言vs自治権剥奪の構図で何やら怪しい雰囲気となってきました。

EUのトゥスク大統領はじめ、米・英・独・仏などもカタルーニャの独立を認めず、スペイン統一維持を図る中央政府の支持を表明していますが、今月1日の住民投票以降、カタルーニャ州内に本社を置く企業の移転は相次いでおり、その数は既に1000社以上との報道もあるようです。スペイン、カタルーニャ双方の経済的にも、またマーケット的にも明らかにマイナス材料とは思われますが、カタルーニャの人々には我々日本人の想像も及ばないナショナリズムとスペインに対する敵対心もあるようです。

民族間の対立や各地での独立運動などを数多く抱える欧州各国では、比較的まだ落ち着いた見方となっている様子もうかがえますが、当事者どうしは実力行使の動きで衝突に発展しかねない危うさもあり、着地点が見えない泥沼の展開とならないことを祈るばかりです。

スペインのリスク要因により、ややリスク回避的な流れが強まることにもなった週末のマーケットでは、前後して米国の7-9月期GDP速報値が前期比年率+3.0%となり、市場予想の+2.6%を大きく上回ったことでリスク・オンの流れが強まる場面もありました。前期の+3.1%からはやや鈍化したものの、ハリケーンによる影響はそれほど大きくはなかったようで、ドル買い金売りの流れが強まりました。

しかし、直後に次期FRB議長にはパウエルFRB理事が優勢と伝えられたことで流れが反転しています。タカ派寄りとされるテイラー氏ならドル高へ、との思惑は想像以上に強いようで、中立派と見られるパウエル理事ならイエレン議長の方針継続とみられるものの、これをハト派とみなす向きが強いようで、ドル高の巻き戻しが急速に進む展開となりました。

カタルーニャ・リスクへの警戒感が強まり、パウエル氏に決定ならドル売りと金の買い戻しの流れがもう一段進行することになりますが、トランプ大統領の指名がどちらに転ぶかは、カタルーニャ動向と同様に、予断を許さない状況です。

NY金・日足チャート 2017/9/25 - 10/2727日のNY金相場は0.17%の小反発。米GDP上振れを受けて1263ドルまで下落、10月6日(1262.8)以来3週間ぶりの安値となり、チャート上では2番底をつけて反発した形に。その後の「パウエル優勢」報道では1270ドル台半ばへと10ドル弱の反発。スペイン情勢への警戒感もリスクオフとしてサポート要因に。ただし欧州株高基調は変わらずリスク警戒感はそれほど感じられない様子も。短期的には下値目安1250ドル台まで若干の下げ余地を残す状態で、次週月末月初の米指標結果とFRB議長指名の動向次第で再度これを試す可能性と、ダブルボトムのネックライン付近1290ドルを目指す反発基調への可能性が交錯する状況に。
週間ベースでは-8.7ドル(0.68%)で続落。

NYプラチナ・日足チャート 2017/9/25 - 10/27NYプラチナ相場は0.81%の続落。金と同様に3週間ぶり安値をつけての反発も限定的となり、910ドル台での底堅さは維持したものの920ドル台での横ばい推移状態からは下放れの兆しも。反発への可能性を維持しながらの保ち合いから、下値トライ再開への可能性を警戒する状況へと変化し始めた様子も。910ドルのサポート水準を維持できなくなった場合には、今年安値更新トライが視野に。
週間ベースでは-12.2ドル(1.32%)で続落。

ドル円・日足チャート 2017/9/25 - 10/27ドル円は0.27%のドル安円高となって反落。米GDP発表直後の急騰では114円40銭台まで上昇し、7月11日(114.49)以来3カ月半ぶりの高値をつけての反落。結果的に今週5日間は毎日114円台にトライして失敗し、7月高値と5月高値水準まで上昇して反落した形となり、週足では反落を示唆する十字線を形成。115円付近を目指した流れは114円半ばまでで腰折れとなる可能性も。ただし1カ月前には113円台トライに失敗し続けた後に急騰しており、今回もまだ短期トレンドはドル高円安基調を維持していることから、きっかけ次第で再トライのチャンスも。
週間ベースでは+0.18%(0.16%)と小幅続伸。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場10/27終値とチャート

2017年10月28日(土)時点の相場
国内金4,977 円 10/27(金) ▼29(0.58%)
国内プラチナ3,611 円 10/27(金) ▼23(0.63%)
NY金1,271.8 ドル 10/27(金) ▲2.2(0.17%)
NYプラチナ914.6 ドル 10/27(金) ▼7.5(0.81%)
ドル円113.68 円 10/27(金) ▼0.31(0.27%)

10/27(金)のその他主要マーケット指標

金は高値圏、プラチナは安値圏、価格差は最大水準で三角保ち合い 10/30(月)

独立宣言vs自治権剥奪、GDP好調vsパウエル、波乱の週末に金反発 10/28(土)

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