マーケットでよく聞く、目にする、気になる新語、造語、トレンドワード集
「ユーロ共同債」
通貨はユーロで統一された国々でも国債は各国独自で発行しています。当然、それぞれの国の財政状況などに応じて信用度合いが異なります。
ギリシャやポルトガル、スペイン、イタリアなどのように国債利回りが急騰する国もあれば、ドイツや英国などのように利回りが低下(信用大)する国も出てきます。
国債利回り急騰=信用度低下=格下げ懸念、の構図が連想されます。こうなると買い手側としてはジャンク債は買いたくありません。よって、このような国が発行する国債の買い手は減少してしまいます。このような国の資金調達が困難になるということです。
資金調達が困難になれば国家財政の運営に支障をきたし、さらに高い利子を支払う必要性から悪循環に陥ります。
日本のように大量の国債を日銀が買い取り(厳密には民間経由、この為利回りも低下)できれば(これはこれで問題があるようですが)良いのですが、17カ国の共同運営とも言えるECB(欧州中央銀行)ではそんな融通も効かないようです。
そこで、ユーロ債務危機の打開策として「ユーロ共同債」を発行すべきとの声が高まっています。ユーロ圏加盟国の連帯責任による共同国債の発行、ということです。これにより信用力が低下した国でも資金調達がし易くなる、というものです。
これには、フランスのオランド大統領や、イタリアのモンティ首相、欧州委員会やIMF(国債通貨基金)、OECD(経済協力開発機構)なども賛成しているようですが、利回りが上昇してしまうことになるドイツやオランダは猛烈に反対しています。
ドイツやオランダの気持ちも十分にわかりますが、共通通貨だけ存在して共通の金融システムがないユーロ圏全体の景気回復を図るのであれば、これもやむなし、とも思えなくもないですが。
各国の思惑が複雑に絡み合うユーロの債務危機問題は、やはり根が深そうです・・・
最終更新:2012年06月11日
- 関連ワード
- ドラクマゲドン グレグジット(Grexit) バンクジョグ(Bank Jog) TARGET2 欧州安定メカニズム(ESM) 銀行同盟 ユーロキャリートレード OMT(アウトライト・マネタリー・トランザクションズ)
- 関連記事
- ジョージ・ソロス氏いわく「今のままならドイツは離脱すべき」(2012/09/11)
ユーロ共同債に反対するのもやめなさい。 と言っているようです・・・ NY市場、金は3日ぶりの反落で1,730ドル...
「私が生きている限り欧州で債務を共有することはない」アンゲラ・メルケル(2012/06/27)
ユーロ共同債を盛り込む形で素案をまとめた。 フランス、イタリア、スペインも支持するユーロ圏の共同債構想、ドイツのメルケ...
EU首脳会議では欧州危機解決へ向けた抜本策は期待できない?(2012/06/25)
ユーロ共同債実現に向けた工程表が本当に出てくるのか、出てきたとしても現実的に意味のあるものなのか? オランド大統領や南...
ギリシャ再選挙を前に広がり始める妙な安堵感(2012/06/15)
ユーロ共同債や銀行預金保証制度などについてはドイツは断固反対。 「強いドイツにも限界があるわよ」とメルケル首相も牽制・...