マーケットでよく聞く、目にする、気になる新語、造語、トレンドワード集

「フォワードガイダンス」
2013年7月4日のECB(欧州中央銀行)理事会では政策金利0.50%の据え置きを決定し、ドラギECB総裁は定例会見で、「理事会は、ECBの主要金利が長期にわたり、現行水準もしくはそれを下回る水準になると予想する」と発言。金融政策に関する将来の政策指針、いわゆるフォワードガイダンスを示したことは、異例であり方針転換とも言えます。
これまでのECBは、金融政策を事前に予告しない方針をとり、将来の金融政策については「予断を許さない」などとし、時間軸へ言及することはありませんでした。
実質、当面の低金利政策の継続を公約する形となった今回のフォワードガイダンスの背景には、米FRBの量的緩和縮小に向けた動きがあります。米国での出口論拡大に伴う米金利上昇の影響を受け、欧州各国の国債利回りも上昇し始めており、特に、南欧国債利回り高騰による資金調達難、そして財政危機懸念を招いた前年までの欧州債務危機の再燃は、ECBにとっては絶対に避けなければならない悪夢。
金利上昇を抑制するのはECBにとっての重要使命であり、危機の芽を事前に摘み取る為の有効な手段として、フォワードガイダンスを示した、ということになりそうです。
また、同じ日に行われたBOE(イングランド銀行)の金融政策委員会でも、声明により「市場による利上げの織り込みは早計」とし、今後のフォワードガイダンス提示の可能性を示唆しました。
しかし、ドラギ総裁の「長期に渡り・・・」という曖昧な表現を市場がどう判断していくのか、不安要素も残ります。
米FRBによる、インフレ率が2.5%を突破しないことを条件に、失業率が6.5%に改善するまで超低金利政策を維持するというフォワードガイダンスが示されていながらも、緩和縮小に向けては市場の混乱が発生しました。
フォワードガイダンスは、市場の安定に寄与する場合もあれば、逆に混乱を招く場合もあります。
最終更新:2013年07月08日
- 関連ワード
- LTRO QE3 ドラギプット OMT(アウトライト・マネタリー・トランザクションズ) テーパリング 最適コントロール イエレン・ダッシュボード
- 関連記事
- 雇用とインフレの「一段と顕著な進展」まで、大規模緩和継続(2020/12/17)
フォワードガイダンスを強化。 経済見通しでは、今年の成長率を9月時点での-3.7%から-2.4%へとマイナス幅を縮小、...
ドル円の長期三角保ち合い、今年3度めの上抜けトライは・・・(2020/06/09)
フォワードガイダンス強化に加えてイールドカーブ・コントロールに踏み切る可能性も意識され、ドル安圧力となった模様。今朝の東...
超長期・中長期抵抗線など、プラチナに複数の攻防ライン(2019/09/13)
フォワードガイダンス変更なども合わせフルパッケージの金融緩和を決定。ユーロ安ドル高急進でも緩和を好感する形でNY金は15...
コアPCEの目標2.0%未達は6年2カ月(2018/08/01)
フォワードガイダンス導入などを決めた今回の会合では、インフレ目標未達状態長期化に備えての金融政策長期化の為の微調整。それ...
ECBフォワードガイダンス修正はこれから、景況感失速もこれから(2018/02/23)
フォワードガイダンス修正は時期尚早」であるとの見方が示され、金融政策正常化に向けたガイダンスの修正は「今年の速い段階で再...