金プラチナ短期相場観

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物価上がらず100円割れ、それでも年内利上げへ?

更新日:2016年8月17日(水)

米・消費者物価指数(CPI) 2016年7月米労働省が16日発表した7月の消費者物価指数(CPI)は、前月比+0.0%の横ばい。食料品とエネルギー関連を除くコアCPIは前月比+0.1%で市場予想の+0.2%を下回る結果に。
CPIの前年比では+0.9%予想に対して+0.8%と下振れ。6月までの3カ月間は+1.1%、+1.0%、+1.0%と+1%台を維持していた状態から減速し、3月の+0.9%も下回って今年最低水準、昨年12月の+0.7%以来の低水準。7月にはNY原油相場も50ドル付近から40ドルまで急落しており、ガソリン価格などに大きく影響した模様。

コアCPIの前年比も+2.3%予想に対して+2.2%と下振れ、6月の+2.3%からも減速。コアCPIは2008年10月以降では前年比+2.3%が最高水準となっており、2012年1月と3-5月、そして今年2月と6月に記録。+2.3%はリセッション後のピーク水準となり、これ以上には消費者物価の上昇ペースは加速しない状態となっています。
これが、コアPCEを前年比+2.0%付近へと押し上げることができない要因の一つとなっているようです。

FRBの利上げ見通しを遅らせる主要因となっている低インフレの状態が続き、なかなか上昇の兆しが見られないことが確認されたこの日、既にドル売り円買いの流れが進んでいた状態から一段安となり、1ドル=100円を割れてブレグジット以来の99円台半ばまでドル安円高が進行することになりました。

この状況と前後して、NY連銀のダドリー総裁は、雇用回復などを理由に「9月利上げの可能性」について言及したようです。さらにこの日は、アトランタ連銀のロックハート総裁も「年内に少なくとも1回の利上げ」の可能性を排除しないとの発言。

物価上昇の兆しが見られない状況でもFRB関係者から利上げ肯定発言が飛び出す状況は、確か今年5月頃にもあったはず。明日早朝のFOMC議事要旨にも、市場の利上げ織り込みを催促するような文面が追記されている可能性もありそうです。

NY金・日足チャート 2016/7/18 - 8/1616日のNY金相場は0.7%高で続伸。堅調推移が続いていた株価の調整に加え、東京市場から続いたドル売りの流れに堅調推移の展開。この日のドル売りピークとなったドル円100割れのタイミングでは10日ぶりの高値圏となる1360ドル台半ばまで上昇。しかしこれも一時的となり、強弱入り交じる米指標やダドリー総裁発言などへの警戒感もあってか1350ドル台へと急反落。結果的には調整局面途中での1340-50ドル台の小幅保ち合い上抜けの兆し。1350ドル台後半以上へと堅調に推移するようなら今年高値更新トライへと向かう可能性。その場合の上値目安は1380ドル台も。しかし、調整局面継続で引き続き警戒される1340ドルの節目水準割れの場合には流れが加速する可能性もあり、下値目安は1310ドル前後まで。

NYプラチナ・日足チャート 2016/7/18 - 8/16NYプラチナ相場も0.7%高となって4日ぶりの反発。金に連れての急騰局面では1140ドル台半ばまで上昇も、直後には20ドルの急反落と上値の重さも示す状態。それでも10日の高値更新後の急落で形成した調整フェーズも1110ドル台でいったん下げ止まりの兆し。ここから7月の保ち合い水準1100ドル前後までは短中期的に見た重要なサポートラインとなり、もしこの水準を早々に割り込むような展開となった場合にはさらに大きく水準を切り下げる可能性も。

ドル円・日足チャート 2016/7/18 - 8/16ドル円は0.94%の大幅ドル安円高。お盆休み終盤となった東京市場での日経平均下落とともに大幅安の展開。小幅保ち合い下限の101円付近を割り込むと直近安値100円80銭台も下抜けて加速、100円付近へ。欧州市場でも円買いの流れが強まって100円割れ、低調な米7月CPIには失望のドル売り円買いで6月24日以来の円高水準となる99円50銭付近まで急落。これで2番底をしっかりとつけた形となって急反発へ。終値ベースでは100円台を回復したものの、2013年11月20日(100.03)以来2年9カ月ぶりの円高水準を記録。お盆休みウィーク中の動き出しがが警戒されていた保ち合い下方ブレイクに伴う下値目安100円割れを達成したことで、円買いの勢いもいったんは後退する可能性も。今朝には100円台後半へと水準を切り上げる場面もあり、年内利上げに向けてダドリー総裁発言に同調するような発言か、もしくはそれを支援するような指標が出てくるようなら、ダブルボトム完成に向かうような展開となる可能性も。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場8/16終値とチャート

17日の国内金価格は0.3%の小幅反落。目先の下値目標水準4650円前後に向けてあと一歩という水準に到達。1カ月間に渡るきれいな下落トレンドを形成し、9日移動平均線は90日移動平均線をデッドクロス、オシレータ系指標のRSIは30割れからの反発の兆しとなり、トレンド終盤を迎えている可能性も。なお、直近30日間のNY金との相関係数は-0.56839と近年最大の逆相関関係にあり、ドル円との30日相関係数は0.83073と強めの相関関係。現状はドル円の値動きに連動する状態。

プラチナ価格は0.31%安となって4日続落。今年高値圏からの下落基調は減速しながらも、なかなか下げ止まらない状況。6月末から7月末までの上げ幅に対する38.2%戻し3837円付近から、右肩上がりの90日移動平均線が通過する3800円付近までがサポート水準候補に。
※参考:金プラチナ国内価格8/17とチャート

2016年8月17日(水)時点の相場
国内金4,664 円 8/17(水) ▼14(0.30%)
国内プラチナ3,864 円 8/17(水) ▼12(0.31%)
NY金1,356.9 ドル 8/16(火) ▲9.4(0.70%)
NYプラチナ1,124.1 ドル 8/16(火) ▲7.8(0.70%)
ドル円100.30 円 8/16(火) ▼0.95(0.94%)

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