金プラチナ短期相場観

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3月製造業PMI、米国は失速、新興国は加速、回復基調が鮮明に

更新日:2017年4月4日(火)

Markit製造業PMI 日米欧中トルコ 2017年3月米3月ISM製造業景況指数(PMI)は2年4カ月ぶりの高水準となっていた2月の57.7から57.2へと低下しました。内訳では価格指数が70.5となって2011年5月(76.5)以来5年10カ月ぶりの高水準、雇用指数も58.9で2011年6月(61.3)以来5年9カ月ぶりの高水準となり、今週末の雇用統計での好結果を予想させ、現状のインフレ上昇基調にも同調する形となっています。ただし、新規受注や生産指数は60台のピークをつけた2月からは総合指数と同様に失速傾向。

また、マークイット社の製造業PMIでも3月確報値は53.3と速報値から下方修正され、1年10カ月ぶり高水準となった1月からは2カ月連続の低下で半年ぶりの水準へと失速しています。
いずれも最近の米経済指標で見られる、好調期のピーク水準に達したか、ピークを過ぎて失速フェーズ入りか、といった状況に合致するような状況となっています。

これに対して新興国では加速基調、回復基調が鮮明となってきています。
ロシアは8カ月連続、中国は9カ月連続での節目50超を維持するなかでの若干の失速傾向とはなっていますが、インドは昨年末の一時的な停滞から3カ月連続の上昇で5カ月ぶりの水準を回復。ブラジルはまだ節目の50こそ下回るものの、大幅続伸で2年1カ月ぶりの水準となる49.6まで急回復となっています。

さらに、トルコの製造業PMIは2月の49.7から3月には52.3へと急騰。1年1カ月ぶりに節目の50を上回り、業況回復基調が顕著となってきました。総合指数の数値としては、過去のピークとなった2015年12月と2014年11月の52.2をわずかに上回り、過去12年間の調査期間のなかでは最大水準。2015年12月以来、1年3カ月ぶりのペースで新規受注が増加したため、生産高も過去3年での最大水準へと増加。これにより、2015年2月以来2年1カ月ぶりとなる水準での雇用急増となり、過去8カ月で雇用は7倍に増加。より高い購買活動にもつながったようです。また、第1四半期末には商品生産部門のインフレ圧力が緩和されたことも示されています。

エルドアン大統領の独裁懸念と地政学リスク頻発という状況下での業況低迷が続いた時期から脱却し始めたトルコが好不況の節目50を超えたことにより、主要国のなかで出遅れが目立つのは、50回復まであと一歩に迫るブラジルと、46.7と低迷が続くギリシャ、といった状況となってきました。

世界的にも好調期が続く状況となってきた段階での米国の一服感、もしくは失速懸念、そして高止まり状態が続く金価格。今後の不穏な動きにも警戒すべきフェーズとなってきているのかもしれません。

NY金・日足チャート 2017/2/28 - 4/33日のNY金相場は0.54%の続伸。米3月のISM製造業景況指数は好結果ながらも前月から低下、ロシア・サンクトペテルブルク地下鉄爆破事件のテロ警戒感などもあり、NY市場では米長期金利低下と株安・ドル安の流れが強まり、金は1250ドル台へと水準を切り上げての堅調推移。斜行三角保ち合い形成の兆しから1240ドルラインで切り返し、しかし上値は1260ドルの抵抗水準が意識され、1240-60ドルでの小幅保ち合い状態に。レンジ上抜けなら1280ドル台が意識され、下抜けの場合には1230ドル近辺がサポート水準となりやすく、1200ドル近辺までの再調整も。

NYプラチナ・日足チャート 2017/2/28 - 4/3NYプラチナ相場は1.05%の大幅高となって5日ぶりの反発。時間外から950ドルへと水準を切り上げ、930ドル付近を下値目安とした軟調推移からは反転。NY市場ではS&Pによる南アフリカのジャンク債への格下げによるランド一段安には若干の乱高下にとどまり、堅調推移の金に追随。目先は940ドル台から970ドルまでのレンジ推移となり、上限突破なら1000ドルの大台再トライへ、下限割れなら改めて930ドル前後までが下値目安水準に。

ドル円・日足チャート 2017/2/28 - 4/3ドル円は0.41%のドル安円高となって続落。111円台半ばでの揉み合い状態から、NY市場に入ってのリスク回避的な流れに伴いドル安円高の流れが加速。米10年債利回りが2月24日以来5週間ぶり低水準となる2.31%台まで下落したことで今朝の東京市場にかけてもドル安円高基調が継続。110円台半ばから112円までの保ち合い状態は続き、110円半ば割れの場合には110円ラインがいったんサポート水準も109円近辺までの急落も想定される展開へ。逆にレンジ上限突破ならドル高円安方向への反発の流れが加速し、113円台後半までが次の上値目安に。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場4/3終値とチャート

4日の国内金価格は0.19%の小幅高で3日ぶりの反発。NY金と為替がともに小幅レンジ内での保ち合いとなり、動き難い状態が継続。ただし、流れとしてはゆるやかに上方向へと向い始めた可能性を維持し、当面の上値目標4850円近辺も継続。ただし4760円の下限割れの場合の下値目安4690円前後までの警戒感も継続。

プラチナ価格も3日ぶりの反発で0.19%の小幅高。実質ほぼ下げ止まりからの小幅保ち合いが続き、動き出しを待つ状態に。3680円まで低下してきた9日移動平均線が抵抗線とならなければレンジ上抜けで3740円台あたりまでの反発も。3660円の下限割れなら3610円台辺りを目安に一段安の展開も。
※参考:金プラチナ国内価格4/4とチャート

2017年4月4日(火)時点の相場
国内金4,790 円 4/4(火) ▲9(0.19%)
国内プラチナ3,674 円 4/4(火) ▲7(0.19%)
NY金1,254.0 ドル 4/3(月) ▲6.7(0.54%)
NYプラチナ958.2 ドル 4/3(月) ▲10.0(1.05%)
ドル円110.90 円 4/3(月) ▼0.46(0.41%)

4/3(月)のその他主要マーケット指標

米2月貿易収支は1年10カ月ぶりの大幅赤字から縮小 4/5(水)

3月製造業PMI、米国は失速、新興国は加速、回復基調が鮮明に 4/4(火)

政局不安で格下げ懸念高まる南アフリカ情勢がプラチナ価格の重石 4/3(月)

2月PCEデフレーターはシンメトリックなインフレ目標2%を突破 4/1(土)

南アフリカ政局混乱で南アランド急落、プラチナは一段安警戒水準 3/31(金)


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