2019年、NY金相場は前年末終値1281.3ドルから1284.1ドルへ、プラチナは800.6ドルから804.0ドルへと上昇、ドル円は109.65円から108.83円へとドル安円高スタート。
<1月>
日本国内がまだ正月休みの3日、東京時間朝7時過ぎから為替市場でドル円が急落。米アップルが10-12月期売上高予想を引き下げたことで時間外のアップル株が急落したこともきっかけとなり、日本の休日早朝の閑散時間を狙った仕掛け的な売りも強まった模様でドル円は一時104円台まで急落。フラッシュ・クラッシュとなったドル円は間もなく107円台を回復。その3日のNY市場では米12月のISM製造業景況指数が予想を大幅に下回ったことでNY金は1290ドル台へと上昇。しかし翌4日の米12月雇用統計が予想を上回る好結果となったことから、一時1300ドルまで上昇したNY金は1280ドル台へと急反落。ドル円は108円台へと反発。プラチナも1月高値となる827ドルまで大幅上昇。
1月後半まで金は1290ドルをはさんでの保ち合い推移が続き、ドル円は109円台まで戻して横ばい推移。月末のFOMCに向けてはハト派傾斜への思惑から金は1300ドル台へと堅調推移、ドル円は109円付近を維持しながらも軟調推移。30日のFOMCでは声明文から利上げ継続への一文が削除されて様子見示唆へとハト派転換。これを受けて金は1320ドル台へと買われ、ドル円は一時109円割れ。1月半ばに790ドル台まで下落していたプラチナも月末には820ドル台へ。
<2月>
1日の米1月雇用統計では雇用者数が11カ月ぶり高水準となるなど労働市場の力強さを示す好結果となり、その後発表されたISM製造業景況指数も好結果となり、金は1330ドルで頭打ち、ドル円は109円台半ばへと上昇。プラチナも820ドル台で伸び悩み。
政府機関一部閉鎖の影響で発表が遅れていた米12月小売売上高が14日に発表され、予想外のネガティブ・サプライズとなって米景気減速懸念再燃となって米長期金利も低下。111円まで上昇していたドル円は110円台半ばへと反落、NY金は買い圧力が強まり翌週19日には10カ月ぶり高値となる1340ドル台まで上昇。ドル円は110円台半ばでの膠着状態が継続。2月半ばには780ドル台まで下落していたプラチナは南アの鉱山ストへの懸念などから月末にかけて880ドル付近まで上昇。月末に発表された米2018年第4四半期GDPが予想を上回り、ドル円は111円台へと上昇、金は1300ドル付近へと下落。
<3月>
月初はドル高金安の流れが続き、ドル円は111円台後半、金は1280ドル台まで軟調推移。7日のECB理事会ではユーロ圏の経済見通しが大幅に引き下げられ、世界景気減速懸念への警戒感も高まり株安円高ドル高、翌日の米2月雇用統計では雇用者数の伸びが大幅下振れとなり、ドル円は111円台前半へ、金は反発基調へ。20日の米FOMCでは年内利上げ見通し0回となり、22日にはユーロ圏製造業PMIの大幅悪化や米国債の逆イールドによるリスク回避の流れでドル円は109円台、金は1320ドル台へ。月末には米長期金利反発とともにドル円は110円台を回復、金は1300ドル割れへ。
<4月>
南アの電力不足などを背景にプラチナが急速に買われ、4日には10カ月ぶりに900ドル台まで急騰。金は1290ドル台での横ばい推移から一時1300ドルを回復も後半にかけては1270ドル台へ、ドル円は米中貿易協議進展期待などもあり111円台へとゆるやかに上昇、12日には年初来高値112円台に。
<5月>
FOMC前には年内利下げ観測が強まり、ドル安金高傾向となってNY金は1280ドル台を回復。しかしFOMC後の会見でパウエルFRB議長がインフレに対する強気見通しを示唆したことで1270ドル台へと反落、プラチナも850ドル台まで急反落。米4月雇用統計では賃金の伸び悩みから金は1280ドル台へ、プラチナも870ドル台へと反発、ドル円は111円前半へ。5日にトランプ米大統領が中国製品2000億ドル相当への関税を10%から25%へと引き上げることを予告し、10日の発動までリスク回避の流れとなってドル円は109円台へ。プラチナも850ドル台へと反落、金は1280ドル台での推移。中国が報復関税を発表した13日に金は1300ドルへと急騰も、その後はトランプ大統領のフォロー発言などもありリスク回避の流れは緩和、中旬にかけて金は1270ドル台へ、プラチナは23日には800ドル割れ。ドル円は110円を回復後、23日には米製造業PMIの急低下で109円台へ。月末にはトランプ政権がメキシコへの関税賦課を発表したことなどをきっかけにドル円は108円台へと急落、金は1310ドル台へと急騰。
<6月>
月初には雇用指標の下振れやパウエルFRB議長の「適切に行動」発言などを受けて市場の利下げ織り込みが進行。米雇用統計も低調となり、金は1340ドル台へ、ドル円は108円付近。14日には早期利下げ観測と地政学リスクなどを背景に金は一時1360台まで上昇する場面も。
FOMCでは声明文とドットチャートから利下げの可能性が示唆され、NY金は翌日にかけて50ドル弱の急騰で5年9カ月ぶり高値、週末には1400ドルに到達、月末には一時1440ドル台まで上昇。ドル円は107円台へ。
月末、G20サミットが開催された大阪で米中首脳会談が行われ、通商協議再開と追加関税見送りで合意、ファーウェイ禁輸措置も緩和。
<7月>
リスク後退で週明けにNY金は1400ドル割れ、ドル円は108円台回復。しかし米6月ADP雇用者数やISM非製造業景況感指数などが低調となり、利下げが意識されて元の水準へ。週末の6月雇用統計では雇用者数が予想外の大幅増となり再びドル円は108円台半ばへと反発、NY金は1400ドルちょうど付近まで反落。
しかし、10-11日のパウエルFRB議長の議会証言を経て7月の利下げが確実視されて金は1410ドル台へと反発、ドル円は12日にかけて108円割れ。18日にはウィリアムズNY連銀総裁のハト派発言などを受け、翌19日にかけて金は一時6年2カ月ぶり高値となる1454.4ドルまで上昇。月末のFOMCでは0.25%利下げも2名の反対票や緩和局面スタートを否定したことなどから、ややタカ派寄りの印象。金は1430ドル台、プラチナは870ドル台、ドル円は108円台半ば。
<8月>
トランプ米大統領が1日、対中関税第4弾として中国からの輸入品3000億ドル相当に10%の関税を9月1日から課すことを発表。リスク回避の流れとなり、追加利下げ観測も再燃、翌週にかけてドル安と長期金利低下も進行。7日にNY金は6年4カ月ぶり高値となる1519ドルへ、8日にドル円は105円台へ。
12日には大統領予備選での波乱によるアルゼンチンショック、香港デモを巡る混乱拡大、14日には中国の景気減速やドイツのマイナス成長などもあり、米10年債利回りが2年債利回りを一時下回る「逆イールド」現象が発生。米国景気後退への警戒感からNYダウは800ドル超の大幅安となり、NY金は6年4カ月ぶり高値を更新、翌15日にかけて1530ドル台へと上昇。23日には中国の対米報復関税が発表され、米中対立激化懸念で金は1530ドル台後半、26日には一時1560ドル台まで上昇。低迷が続いていたプラチナも月末にかけて急騰、1年4カ月ぶり高値となる930ドル台へ。
<9月>
3日に発表された米8月ISM製造業景況感指数が3年ぶりに節目の50を割り込んだことをきっかけに金は上昇、翌日にかけて今年最高値となる1560ドル台へ。プラチナも5日には一時1000ドルの大台まで上昇。しかし、その5日に発表されたISM非製造業景況指数は予想外の好結果となり、金もプラチナも急反落。米8月雇用統計では賃金上昇率が上振れ、インフレ指標や小売り売上高でも上振れ、米中協議進展期待などもあり、リスク回避の巻き戻しが進行し、14日までにNY金は1500ドル割れ、プラチナは10日に930ドルまで低下。ドル円は12日に108円台へ。
17-18日のFOMCでは2会合連続0.25%利下げ。しかし、3名の反対や年末見通しでも意見が分かれ、タカ派的との印象もあり月後半にかけては売り買い交錯。ウクライナ疑惑を巡るトランプ大統領の弾劾調査開始や米中協議進展や後退との思惑も交錯、強弱混在の米指標結果などから金は1540ドル台から1500ドル割れまでの乱高下状態で月末へ。
<10月>
9月末には大幅調整となって1470ドルまで急落したNY金は、月初のISM製造業景況指数が10年ぶり低水準に落ち込んだことをきっかけに急反発。翌日のADP雇用、3日にはISM非製造業景況指数も予想を下回る低調な結果となり、10月FOMCでの追加利上げ観測が急拡大。週末の雇用統計では失業率が約50年ぶり低水準となったものの賃金上昇率などが低迷、流れは変わらず金は1510ドル台、ドル円は106円台。11日には米中部分合意で金は1480ドル台、ドル円は108円台へ。17日には英国とEUが離脱条件で合意。月末にかけてドル円は108円台で横ばい推移、金は追加利下げを織り込んで1500ドルへ。FOMCでは3会合連続利下げを決定し、いったん利下げ打ち止め見通しも示唆。しかし利上げも程遠いとの見方から1500ドルを割れていたNY金は翌日にかけて1510ドル台へと上昇。
<11月>
7日には中国商務省が米中協議で「追加関税を段階的に撤廃」することで米国側と同意したと発表したことでリスク選好の流れが強まり、金は1460ドル台へと急落、ドル円は109円台へと上昇。翌週には米中合意に向けて否定的な報道もあり、1450ドル台まで下落していた金は1470ドル台へと反発、ドル円は108円台へと反落。27日には米国で香港人権法案が成立し、米中対立悪化も懸念されたものの月末までは保ち合い傾向に。
<12月>
6日には米11月雇用統計の想定以上の好結果を受けて金は1460ドル台へと急落。プラチナは900ドル付近、ドル円は108円台で保ち合い推移。
第2週には南アでの計画停電に伴う鉱山の操業停止を受けてプラチナが940ドル台まで急騰。12日には米中貿易協議の第1段階合意、英総選挙では保守党が過半数を獲得して大勝、リスクオンの流れでドル円は109円台へ、金は1470-80ドル台で下げ渋り。クリスマスで市場が閑散となる24日には低調となった米製造業指標などもきっかけにNY金は1500ドル台へと急騰。
2019年終値はNY金:1523.1ドル(前年比+18.9%)、プラチナ:977.8ドル(+22.1%)、ドル円:108.61円(-0.9%)。