金プラチナ短期相場観
南ア景気先行指数も急回復中!鍵を握るラマポーザとプラチナ
更新日:2017年12月21日(木)
南アフリカ与党、アフリカ民族会議(ANC)次期党首選でのラマポーザ副大統領の勝利を好感した為替市場では南アランド買いの勢いが衰えず、これにサポートされる形でプラチナ相場も急上昇局面を形成しています。
しかし、低成長が続く南アフリカ経済には、高失業率、高インフレの問題に加え、財政赤字問題も重くのしかかり、今後ラマポーザ政権が誕生したとしても期待通りに改革が進行するかどうかは極めてグレー。来年3月以降とも思われるムーディーズの格下げレビューの結果に対する楽観視も時期尚早とも思われます。
現在のズマ大統領の任期は2019年5月まであり、短期的には改革が進行する可能性は低く、ラマポーザ氏の勝利が接戦だったことで政権内部での権力闘争への懸念もあります。そもそも支持率低下中のANCが2019年の総選挙で与党を維持できるかという問題もあります。
南アフリカ中央銀行(SARB)が今週発表した10月の景気先行指数は105.4となり、2013年2月(105.9)以来4年8カ月ぶりの高水準となっています。
現在の楽観状況を期待するように、今年後半からは急上昇が続いています。
なお、10月に加速した最大要因としては、求人広告スペースの割合が前年比で加速したこと、製造業での平均労働時間数の増加などが挙げられています。マイナス要因としては米ドルベースの輸出商品価格指数の低下、主要貿易相手国の循環的な減速などが指摘されています。
プラチナを始めとする貴金属や鉱物製品価格の下落や、中国の景気減速などが警戒され、これらが南アフリカの景気回復の足を引っ張る要因の一つとなっています。
これまでの景気先行指数の推移を簡単に振り返ると、ズマ大統領が就任した2009年5月は世界金融危機の時期、ここからは世界的にも景気急回復の時期に相当し、南アフリカの景気先行指数も急回復していきます。
ズマ大統領が再選されて2期めがスタートしたのが2014年5月、ここから2016年にかけては南アフリカの景気先行指数は一段と減速基調が強まりました。
経済減速と財政悪化リスクが高まり、南アフリカ国債の格下げや見通し引き下げも進行し、政局不安に加えて2015年秋にはVWショックによるプラチナ相場の急落なども重なり、景気先行指数は2016年2月に世界金融危機後の最低水準となる97.3まで低下しました。
2016年後半から急回復となった景気先行指数の上値を押さえたのは今年2017年春の政局混乱、4月にはS&Pとフィッチの格付け大手3社のうちの2社が投資不適格水準へと格下げしたことも影響し、2月に104.5まで上昇していた景気先行指数は6月の101.2まで急反落しました。
腐敗する前のズマ政権1期目の2011年2-3月に記録した景気先行指数の最高水準108.9に向けて、今後も回復基調が続くかどうかは、ラマポーザ期待継続とプラチナ価格の安定化などが鍵を握ることになりそうです。
20日のNY金相場は0.43%の反発。ドイツ国債利回り上昇にもサポートされてユーロ買いドル売りが進行、ドルインデックスは軟調推移となって半月ぶりの93ポイント割れ。ドル安に支えられた金は一時1270ドル台まで上昇し、半月ぶりの水準を回復。わずかながら20日移動平均(1268.4)と200日移動平均(1269.2)も半月ぶりにまとめて上抜け、今後この水準がサポートラインに切り替わるかどうかが目先のポイントにも。米税制改革最終法案の上下両院での可決、トランプ大統領のサイン待ちも織り込み済、ボラティリティ低下状態でクリスマスへ。
NYプラチナ相場は0.81%上昇し、5日続伸。急騰後も下げ渋る南アランド高にも支えられての堅調推移、一時925ドルまで上昇して終値でも半月ぶりに920ドル台を回復、急落前の保ち合い下限付近に到達。ただし、短期的な反発目安920ドル近辺に達していることからも上昇局面一服となりやすく、今朝の時間外でも920ドルラインとの攻防状態。半月ぶりに20日移動平均線(915.1)もしっかり上抜けて短期的には堅調地合い。やはりこの20日移動平均線にサポートされ続けるかどうかが年末に向けての課題に。
ドル円は0.45%のドル高円安となって続伸、1週間ぶりに113円台を回復。前日からのドイツ国債利回り急騰に連れる形で米10年債利回りも3月16日以来9カ月ぶりとなる2.50%まで上昇し、日米金利差拡大を好感する形でドル買い円売りが進行。1週間前の高値圏113円半ばから後半にかけての水準が目先の抵抗となりやすく、ここを上抜けるようなら円安基調が進行しやすくなり、次の上値目標は115円台も視野に。ただし軟調推移のドルインデックスがドル円の上値を押さえる要因にも。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場12/20終値とチャート
21日の国内金価格は0.55%高となって4日続伸。中長期上昇トレンドをサポートする200日移動平均線(4873)に支えられて底打ち、反発局面形成の流れは続き、短期的な戻り目安4950円までもう少し。9月高値からの下落幅の半値戻しにも相当するこの水準までは、ドル安金高と円安基調が重なる貴重な強気相場状態が続くうちに戻しておきたいところだが。
プラチナ価格は0.93%の上昇で4日続伸。5日以来半月ぶりの水準を回復し、急落前の保ち合い下限付近にもあと少し。水準的には9月高値から12月安値までの下落幅に対する38.2%戻し(3573)を超え、短期トレンドも好転。次の目標としては50%戻し(3620)から90日移動平均線(3636)までが目安となり、抵抗水準にもなりやすいところ。11月終値が3637円でもあり、12月陽転に向けての攻防はまだまだ厳しい状況。
※参考:金プラチナ国内価格12/21とチャート
- 2017年12月21日(木)時点の相場
-
国内金 : 4,938 円 12/21(木) ▲27(0.55%) 国内プラチナ : 3,586 円 12/21(木) ▲33(0.93%) NY金 : 1,269.6 ドル 12/20(水) ▲5.4(0.43%) NYプラチナ : 921.5 ドル 12/20(水) ▲7.4(0.81%) ドル円 : 113.39 円 12/20(水) ▲0.51(0.45%)
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