金プラチナ短期相場観
製造業がダメなら非製造業が支える米経済の力強さ
更新日:2015年8月6日(木)
米サプライマネジメント協会(ISM)が発表した7月の非製造業景況指数は60.3。過去1年でも突出した数値となり、2005年以来10年ぶりの高水準となっています。構成指数の景気も雇用も予想を上回る高水準となり、事前に発表されたADP雇用者数が予想外に低調となったことによるドル売り分を取り戻し、さらに倍返し以上のドル買いとなるポジティブ・サプライズとなりました。
さらに、2日前に発表された同じISMの製造業景況指数が52.7と低調となっていた分まで取り戻すような結果となっています。
製造業でも、景気拡大・縮小の境目となる50は上回っており、けっして悪い訳ではありませんが、以前のような好調時の50台後半からは水準を切り下げ、50台前半での推移が続いています。それに対して非製造業はコンスタントに50台後半を維持していた状態からの急騰。
製造業のほうがドル高や原油安の影響を受けやすいという面もありそうですが、製造業が今ひとつなら、非製造業が米経済を支える力強さも見られます。米国経済の3分の2は非製造業とも言われ、製造業での雇用や賃金、物価のマイナス分を好調な非製造業が十分に補うことにもなりそうです。
7月の状況としては、雇用者数の伸びはそれほど期待できませんが、賃金動向については、それなりの好結果もあり得るのかもしれません。
5日のNY金相場は0.47%の反落。この日は経済指標に素直に反応した日。ADP雇用者数の下振れでドル売り金買いとなった後、ISM非製造業景況指数の好結果にドル買い金売りが進行。それでも安値は1080ドル台と底堅さも健在。大枠で見ると1080ドル台から1100ドルまでのレンジ推移が半月間継続し、下落エネルギーは枯渇気味。いつ反発してもおかしくない状況に。しかし、細かく見ると小さな三角保ち合いを下抜けた形となり、下落基調再開の可能性も。このまま1080ドルを割り込むようなら下値目標1060ドル前後が当面の下値目安に。反発に転じて1100ドル台回復なら上値目標1130ドル付近へ。
プラチナ相場は0.79%安となって4日続落。こちらは金に先んじてレンジを下抜けての下落基調が進行中。最安値更新を回避したことでダブルボトムの形状はかろうじて残るも終値ベースでは年初来安値を更新し、最安値更新も時間の問題か。下値のメドは930ドル付近。上方向には990ドルが抵抗線。
ドル円は0.38%のドル高円安で3日続伸。ISM非製造業景況指数が10年ぶりの高水準となったことで1円急騰し、2カ月ぶりの125円にタッチ。ADP雇用下振れにより雇用統計での好結果はあまり期待できないものの、それほど悪くなければこのままドル高円安基調継続へ。目標水準は126円台後半。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場8/5終値とチャート
6日の国内金価格はわずかに4円の小幅続伸。NY金の下落圧力緩和に円安加速の気配でサポートされる状況。この傾向が続くようなら保ち合い傾向から徐々に反発基調へと流れが変わる可能性も。しかし、週末にかけてNY金の下落基調再開に警戒する状況は変わらず。
プラチナも0.27%の小幅続伸。4080円の下値目標到達で短期下落局面はいったん終了。NYプラチナの下落基調継続を円安で相殺する形で保ち合い局面形成も。予想外の指標結果に予想外の展開を警戒。
※参考:金プラチナ国内価格8/6とチャート
- 2015年8月6日(木)時点の相場
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国内金 : 4,659 円 8/6(木) ▲4(0.09%) 国内プラチナ : 4,100 円 8/6(木) ▲11(0.27%) NY金 : 1,085.6 ドル 8/5(水) ▼5.1(0.47%) NYプラチナ : 950.9 ドル 8/5(水) ▼7.6(0.79%) ドル円 : 124.85 円 8/5(水) ▲0.47(0.38%)
失業率は適正水準目前、失業保険申請件数は40年ぶり低水準 8/7(金)
製造業がダメなら非製造業が支える米経済の力強さ 8/6(木)
国内金・プラチナ価格の月間高値/安値/終値推移チャート 8/3(月)
PIVOT指数から見るNY金相場サポート&レジスタンスライン
PIVOT指数から見るNYプラチナ相場サポート&レジスタンスライン