金プラチナ短期相場観
9月利上げの織り込み度合い
更新日:2015年8月5日(水)
米アトランタ連銀のロックハート総裁が9月利上げを正当化する発言をしたことで、ドル高の流れが加速の兆しを見せ始めています。(利上げへと)行動を起こさないリスクを警戒すべきで、経済情勢が大幅に悪化しない限りは9月の利上げを支持するとの見解を明確に示したようです。
中立派と見られるロックハート総裁は、今年投票権を持ち、FRB内の主要見解に近い内容の発言をすることも多く、注目度の高い人物。5月上旬時点でも「9月の利上げ観測は理にかなう」と発言していました。
5月の発言では、CMEのFF金利先物が示す利上げ時期が12月から9月へと前倒し傾向となったことを指して「これは理にかなう動き」と発言していました。
しかし、現在のFF金利先物では、9月利上げの可能性は0%。11月以降にようやく1回の利上げが見込まれる程度となっています。
市場は9月利上げを全く織り込んでいない状況のようです。
最近の米株動向や商品市場の急落などを見ると、急速に利上げを織り込みつつあるようにも見えますが、利上げに伴う波乱はこれから本格的に訪れるのか、それとも限定的となるのか、その可能性の一端を今週末に見極めることになるのかもしれません。
そして、CMEのFF金利先物が理にかなっていない動きをしているのか、ロックハート総裁発言が理にかなっていなかったのか、それも今後見極めて行くことになります。もし、前者の状態のまま9月利上げが現実となれば、想定以上の波乱も待ち構えます。
4日のNY金相場は0.12%の小反発。日本時間の午前中、NY時間外にレンジ下限1080ドルまで売り込まれたところから反発。今のところは底堅さも見られるものの上値は1100ドルのレジスタンスにしっかりと抑えこまれた状態でこの日の高値も1095ドル手前まで。9月利上げ発言で再び売り圧力が高まった場面での売りは1080ドル台半ばまでとこれも限定的。週末にかけてレンジブレイクに備える展開へ。
プラチナ相場は0.89%安で3日続落。時間外を狙った売りで940ドル台の安値更新後は反発傾向へ、しかし戻りも限定的。急落パターンにはまった流れで930ドル付近までの下落余地を残し、再度下値模索の展開が想定される。この日の安値945.4ドルは2009年1月以来、6年7カ月ぶり安値となり、7月20日の安値946.3ドルとでダブルボトムを構成する形となり、下値トライをあきらめて反発傾向へと向かう可能性もあり得なくはないか。しかし、早々にネックラインとなる990ドルのレンジ上限をブレイクするような状況もやや想定し難い。
ドル円は0.28%の小幅続伸。124円前後の揉み合い状態から、ロックハート総裁発言を受けて124円40銭台まで上昇。終値でも124円40銭付近に位置し、今年高値となった6月5日以来、2カ月ぶりの高値引け。ややフライング気味ながらドル高円安傾向加速の気配。週末までネガティブ・サプライズさえなければ高値更新トライへと向かう可能性、目標水準126円台後半へ。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場8/4終値とチャート
5日の国内金価格は0.5%の反発。NY金が下値トライ寸前で踏みとどまり、円安傾向となったことで再びレンジ内に回帰。円安加速の可能性が高まったことにより、下値トライへの可能性はやや後退。しかし、まだ下方向優勢の状況にあり、NY金の下値トライ再開なら円安でも相殺しきれない可能性。下値目標4550円までの警戒感は少なくとも週明けまでは継続か。
プラチナは4日ぶりの反発もわずかに0.2%の小幅高。結果的に下値目標4080円近辺到達に伴う一服状態に。しかし、さらなる下値模索の展開への警戒感は残る状況、3900円台後半あたりまでが当面の警戒水準に。
※参考:金プラチナ国内価格8/5とチャート
- 2015年8月5日(水)時点の相場
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国内金 : 4,655 円 8/5(水) ▲23(0.50%) 国内プラチナ : 4,089 円 8/5(水) ▲8(0.20%) NY金 : 1,090.7 ドル 8/4(火) ▲1.3(0.12%) NYプラチナ : 958.5 ドル 8/4(火) ▼8.6(0.89%) ドル円 : 124.38 円 8/4(火) ▲0.35(0.28%)
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