金プラチナ短期相場観
中国人民元切り下げによる新興国通貨への影響度
更新日:2015年8月15日(土)
中国人民銀行による突然の通貨切り下げを受けてやや混乱した週。世界第2位の経済大国であり貿易大国でもある中国の通貨安誘導と景気減速への警戒感とリスク回避の流れもようやく一服し、落ち着きを取り戻し始めたマーケット。
リスク回避の流れで売られやすい新興国通貨が、今回の中国人民元ショックにどれだけの影響を受けたのか、この半月間の対ドル為替レートの推移で比較します。(チャートは7月31日のレートを100とした指数の推移)
対ドルでの管理変動性を採用する中国人民元は、8月10日まで100.0でほぼ固定状態、11日に基準値見直しと切り下げを発表し、14日終値までで2.93%の人民元安となっています。なお、年初来騰落率は2.99%。今年ここまでの中国の為替変動はほぼこの1週間に集約されています。
人民元よりも通貨安が進行したのはロシアルーブルで5.07%のルーブル安。年初来では11.77%のルーブル安。原油が6年5カ月ぶり安値へと再急落している影響も大。
トルコリラ:2.27%のリラ安。年初来21.4%のリラ安。過去最安値更新中。連立協議決裂で政情不安継続、イスラム国との交戦など地政学リスクも抱える経常赤字国。
インドネシアルピア:1.92%のルピア安。年初来11.32%のルピア安。17年ぶり安値水準。第2四半期GDP前年比4.67%は成長鈍化傾向。経常赤字国。
ブラジルレアル:1.85%のレアル安。年初来31.12%のレアル安。12年ぶり安値水準。ルセフ大統領の支持率は過去最低の8%で政権不信はMAX。高インフレ、経常赤字国。
インドルピー:1.78%のルピー安。年初来3.32%のルピー安。比較的安定していたルピーは人民元切利下げの影響で下落、低インフレも続き、利下げ圧力が強まる状況。
南アランド:1.2%のランド安。年初来10.85%のランド安。高インフレ傾向、経常赤字国。
インドを除き、いずれも個別の悪材料を抱えながら年初来安値はもちろん、数年来の自国通貨安水準となるなかで、人民元安の影響も受けて一段安となりました。
人民元安による影響は今後さらに収束方向へと向かうものと思われますが、今後は米国の利上げに向けての確信が高まることにより、再び新興国通貨が一段安となる局面が訪れることになりそうです。
その時には、今回は上昇局面を形成した金も、一緒に下落局面を形成する可能性が高まります。
14日のNY金相場は0.26%の小幅続落。ドル売りに応じて1120ドルまで上昇する場面もあり、強弱入り交じる米経済指標にはやや上下動も1110ドル台での小動きに終始。若干の上値余地を残しながらも1120ドルから上では戻り売り圧力が強い状況。5月18日高値1232ドルから7月24日安値1072.3ドルまでの23.6%戻しライン1110ドルがサポートライン候補。
週間ベースでは+18.6ドル(1.7%)の反発。
プラチナ相場はほぼ横ばい推移。990ドル前後を主要レンジとし、散発的に1000ドルの大台トライを繰り返しては簡単に押し返されるパターンが継続中。980-90ドルでの足場を固めて上値トライ継続か、戻り売り再開か。
週間ベースでは+31.8ドル(3.3%)の大幅反発。
ドル円は0.09%の小反落。ドル売り円買い優勢の展開のなか、米7月の卸売物価指数や鉱工業生産がいずれも予想を上回る好結果となって反発も上値は限定的。8月のミシガン大学消費者信頼感指数が小幅に予想を下回ると売り再開も下値もまた限定的。変動幅は124円台前半に限定され、124円20銭のサポートライン付近でなんとか踏みとどまる状況。短期的にはドル高トレンドに翳りが見え、円高警戒感が高まる状況。サポートライン割れなら123円前後までの下落も。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場8/14終値とチャート
- 2015年8月15日(土)時点の相場
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国内金 : 4,776 円 8/14(金) ▼35(0.73%) 国内プラチナ : 4,251 円 8/14(金) ▼37(0.86%) NY金 : 1,112.7 ドル 8/14(金) ▼2.9(0.26%) NYプラチナ : 994.0 ドル 8/14(金) ▼1.0(0.10%) ドル円 : 124.30 円 8/14(金) ▼0.11(0.09%)
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