金プラチナ短期相場観
米3月製造業出荷も減速、ソフト+ハードデータも失速の兆しか
更新日:2017年4月28日(金)
米商務省が発表した3月の耐久財受注関連の指標で、GDPの設備投資算出に使用される製造業・コア資本財(非国防資本財から航空機を除いた数値)の出荷は前月比+0.4%。2月の+1.1%からは低下したものの、2カ月連続のプラス圏推移となり、企業の設備投資は加速傾向にあることを示しました。
ただし、3カ月平均で均して見ると、2015年10月から2016年9月までの11カ月連続マイナス圏推移となった減速時期を経て、プラス圏へと浮上後は2月の+0.8%まで上昇し、2014年9月(+1.4)以来2年5カ月ぶりの高水準となっていましたが、3月には+0.4%へと低下。やや失速の兆し、にも見られる結果となっています。
なお、コア受注の3月も前月比+0.2%となり、6カ月連続のプラス圏で加速傾向を維持してはいますが、昨年11月の+1.7%をピークにその伸びはやや鈍化傾向。3カ月平均でも12月の+1.0%から3月の+0.2%まで失速気味。また、輸送機器を除いた耐久財受注の3月は前月比-0.2%となり、9カ月ぶりのマイナス圏へと減速。
3月には米国の製造業の勢いがやや失速傾向となっている可能性を示しているようです。
昨日発表された4月のカンザスシティ連銀の製造業活動指数も3月の20から7へと急失速しています。これでNY、フィラデルフィア、リッチモンド、ダラスと主要地区連銀の製造業景況感、さらにマークイットの製造業PMIも全て3-4月にかけて失速を示す結果となっています。
消費者や企業へのアンケート調査などにより、その心理状態を判断するPMIなどのソフトデータに加え、具体的な実績数値で示されるハードデータでも3月に失速傾向を示す結果が見られ始めたことになります。
米製造業復活を目指すトランプ大統領にとって、アゲンストの風はなかなか失速しない状況のようです。
27日のNY金相場は0.13%の小幅高で4日ぶりの反発。NASDAQは過去最高値更新、VIX指数は2014年7月3日(10.32)以来約2年10カ月ぶり低水準となるなかでも金は1260ドル台で下げ渋る状態。ドラギECB総裁が経済下振れリスク軽減としながらも、出口戦略とフォワードガイダンス変更も議論なしと発言したことでユーロ売りが進行。ユーロ売り主導でのドル高が強まる場面では金も弱含み、1261ドルまで下落。ドルインデックスは小幅に上昇したものの米10年債利回りは小幅低下で2.3%近辺での推移が続いたことで、金も1260ドルの節目水準を割れることはなく、1260ドル台半ばでの小動きに終始。目先は現状水準付近での横ばい推移が予想されるが、今晩の米1-3月期GDP速報値が下振れるようなら反発も。
NYプラチナ相場は5日ぶりの反発もわずかに0.03%高。目標水準940ドル台到達後の一服感から、金にも連れる形で小動きに終始。短期的には下落余地をほぼ消化、サポートされやすい水準に到達した状態と思われるが、中長期的にはゆるやかに下値を切り上げるサポートライン上にも位置する重要水準に差し掛かり、940ドルを下回った場合にはそれなりの値幅を伴う下落トレンドがスタートする可能性も。
ドル円は0.18%のドル高円安。対ユーロでのドル高に先導されての上昇局面も米10年債利回り低下とともに111円60銭近辺で失速。111円後半から112円近辺までの水準ではまだ上値は重そうな状況。200日移動平均線や52週移動平均線などにも支えられて108円台で反発した流れは20カ月移動平均線(112.09)に上値を押さえられる状態に。ただし、一目均衡表などでは日足と週足では現状111円台から112円台では上値を押さえられやすく、月足では108円から109円はサポート水準。しばらくは110円前後の水準での保ち合いとなりやすい状況か。円安進行に向けては112円近辺が重要な攻防ラインに。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場4/27終値とチャート
28日の国内金価格は0.29%安となって4日ぶりの反落。相変わらずのスローペースでの上昇トレンド、これまでのペースが続くなら4810円程度まで下落して反発、高値更新へ。このパターンがあと2クール程度続けば目標水準となる今年高値圏へ。しかし、ここから先は国内連休モード入りとなり、不安定な展開も予想され、来週末の雇用統計やフランス大統領選の決戦投票を経て迎えるGW明けには大きく水準が切り替わっている可能性も。現状トレンド継続なら今年高値更新、トレンド逆転なら4700円台前半へ。
週間ベースでは+5円(0.1%)と小反発。
プラチナ価格は0.33%安となって4日続落。価格ラインの上で9日移動平均線が21日移動平均線を小幅にデッドクロスし、再び下向きのパーフェクトオーダー完成。NYプラチナの下げ止まり感、為替は円安優勢地合いにも関わらず、ジリジリと高まる下値警戒感。金との価格差も1196円と過去最大水準付近で高止まり。反発しそうで出来ない微妙な状況に。もう一段の下落は行き過ぎ、で反発となる可能性と下落基調再開で3500円台前半へと向う可能性が交錯する状況。
週間ベースでは-47円(1.28%)、3週間ぶりの反落。
※参考:金プラチナ国内価格4/28とチャート
- 2017年4月28日(金)時点の相場
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国内金 : 4,832 円 4/28(金) ▼14(0.29%) 国内プラチナ : 3,636 円 4/28(金) ▼12(0.33%) NY金 : 1,265.9 ドル 4/27(木) ▲1.7(0.13%) NYプラチナ : 948.8 ドル 4/27(木) ▲0.3(0.03%) ドル円 : 111.25 円 4/27(木) ▲0.20(0.18%)
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