金プラチナ短期相場観
FHFA住宅価格指数は1年7カ月連続で過去最高値更新
更新日:2017年7月26日(水)
25日、米国の住宅価格動向を示す2つの代表的な指標が発表され、いずれも順調な上昇傾向にあり、資産価値上昇による個人消費喚起の好循環となりやすい状況にあることを裏付ける結果となっています。
最も注目度の高いS&Pケースシラー住宅価格指数は、5月におよそ10年ぶりの高水準まで上昇していますが、前年比の伸び率では住宅バブル期の水準、17%台を大きく下回り、金融危機後のピークとなった2013年の13%程度よりもかなり低く、前年比+5%台での推移が続いています。
バブル期のように過熱し過ぎることなく、適度な住宅インフレ傾向が続いている状況と言えそうです。
一方、米国連邦住宅金融庁(FHFA:Federal Housing Finance Agency)が発表するFHFA住宅価格指数の5月は249.3となり、過去最高値を更新しています。なお、この指数ではバブル期のピークとなった2007年3月の226.5を2015年11月時点で上抜け、以降1年7カ月連続で過去最高値を更新し続けていることになります。
しかし、価格指数の前年比伸び率では5月は前年比+6.86%となり、約3年ぶり高水準となった4月の+6.87%から小幅に低下した状態。バブル期の10.5%や金融危機後のピーク2013年の7.5%を下回る水準にあります。
ケースシラー住宅価格指数と同様に、FHFA住宅価格指数でも住宅バブル期のような価格急騰状況にはなく、過熱感のない、安定した住宅インフレが続いています。
なお、ケースシラー住宅価格指数はその調査対象にサブプライムローンを通じた物件など幅広い物件を含むのに対して、FHFA住宅価格指数では、政府系金融機関の住宅ローンがその対象となり、より一般的な範囲に絞られている傾向がありそうです。
そのFHFA住宅価格指数の前年比伸び率では、住宅バブル期を除く過去最大水準7.5%にはそれほどかけ離れていない水準に達していることになります。
現状水準、前年比+6%台後半での推移が続く限りは安定推移と言えそうですが、7%を超えてくるようだと、一般的な住宅価格としては、ピークアウト警戒感とともに、バブル警戒感が高まることになりそうです。
25日のNY金相場は0.18%の小幅続落。この日も時間外に節目の1260ドル手前、1258ドルまで上値を試して失速。欧州時間から米10年債利回りの反発基調が続き、これに呼応してドル買い優勢の展開。NY市場朝の反発局面では7月の消費者信頼感指数が121.1へと予想外の大幅上昇、リッチモンド連銀製造業指数も予想上振れなどの好結果を受けて再反落。今朝の東京市場の時間外では1250ドル割れへ。FOMC前の小動きのなかでも上値の重い展開となって反落の流れが進み始めた形。FOMC直前に米10年債利回りが大幅上昇したことを受けて低インフレに対する見方が楽観視されるのではとの見方もあり、そうなれば金の調整局面が一段と進行することになり、1240ドルを割り込んで1220ドル台辺りまでの急落も。しかし、7月12日のイエレンFRB議長の議会証言を踏まえると慎重姿勢維持も想定され、上方向への節目1260ドル再トライとなる可能性も。
NYプラチナ相場も0.05%の小幅続落。時間外での上昇局面では940ドルが超えられずに反落し、NY市場では930ドルをはさんでの揉み合い状態、今朝の時間外では930ドル割れ。3日連続で上抜けトライに失敗した90日移動平均線の940ドルラインが抵抗水準となり、920ドルまでの小幅保ち合いの形となり、FOMC後には金に追随する展開で上下どちらかへのブレイクも予想され、その方向へと短期トレンドが形成されることにも。上方向なら当面の上値目標は950ドル台、下方向なら900ドル近辺まで。
ドル円は0.71%のドル高円安、最近では大幅上昇となって6日ぶりの反発。FOMC前になってケース・シラー住宅価格指数や消費者信頼感指数など米経済の好調ぶりを示す指標が目立ち、米10年債利回りの大幅上昇にも牽引される形となってコンスタントに上昇。また、米上院でオバマケア改廃法案の審議開始動議が可決したことなども好感された様子。今朝の東京市場では一時112円台を回復。わずか2日で90日移動平均を上抜け、反発局面スタートのようにも見えるが、FOMCでのインフレ見通し次第の展開か。目先円高方向には111円ちょうどのサポートを割れると110円割れも、円安方向には112円半ばまでは上昇しやすく、超えると113円前半まで。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場7/25終値とチャート
26日の国内金価格は0.17%高となって小幅に4日続伸。およそ1カ月ぶりに90日移動平均線(4804)を上抜け、その下では9日移動平均線(4788)が21日移動平均線(4789)をゴールデンクロスの兆しとなり、スローペースの反発基調をサポート。金融政策は現状維持が予想される今回のFOMCでは明確なトレンドが発生へのきっかけとはなり得ず、見通しがタカ派ならドル高金安の反応で国内価格はやや下方向へ、ハト派ならその逆の展開が予想され、前者の場合でも4750円台をすぐに下回るような展開は予想されず、後者の場合にはそのサプライズ度合いによっては4830円の上限突破の可能性もわずかに想定され、その場合には今年高値更新へと向うようなトレンドとなる可能性も。
プラチナ価格は横ばい推移。鍋底保ち合いからの上抜けトライへのゆっくりとした流れが一時フリーズ。やはりFOMC直後の急変動はそれほど予想されないものの、NYプラチナが小幅保ち合いからのブレイクでトレンド形成へとつながる状況にあり、その方向へと国内価格も追随することに。3600円を超えるようなら5月高値3690円が当面の目標水準に、3560円を割れると3540円、3530円近辺が次のサポート、これを割りこむようなら3440円台辺りまでが当面の下値目安に。
※参考:金プラチナ国内価格7/26とチャート
- 2017年7月26日(水)時点の相場
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国内金 : 4,809 円 7/26(水) ▲8(0.17%) 国内プラチナ : 3,574 円 7/26(水) +-0(0.00%) NY金 : 1,252.1 ドル 7/25(火) ▼2.2(0.18%) NYプラチナ : 931.8 ドル 7/25(火) ▼0.5(0.05%) ドル円 : 111.88 円 7/25(火) ▲0.78(0.71%)
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