金プラチナ短期相場観
ユーロ圏3月景況感指数でも、要警戒はドイツ、イタリア、製造業
更新日:2019年3月29日(金)
欧州委員会が発表した3月のユーロ圏景況感指数は105.5。1990年以降の長期平均100を上回る水準は維持しているものの、9カ月連続の低下となり、2016年11月(105.6)以来2年4カ月ぶりの低水準。2017年12月(114.5)をピークとした減速基調は続いています。
この状態を牽引しているドイツは106.6となり、4カ月続落で2016年9月(106.6)以来、2年半ぶりの低水準。
2番めの牽引役となっているのはイタリア。3月の101.0は長期平均100をわずかに上回るものの、フランスと並んで主要国最低水準。直近では9カ月連続の低下で2015年2月(98.9)以来、4年1カ月ぶり低水準。
なお、フランスは2月の100.8から3月は101.0へと小反発、12月の100.5で底打ちした可能性を維持して下げ渋る状態に。スペインは104.4から106.7へと大幅上昇。やはり12月の104.3で底打ちした可能性も高まる状況に。
業種別では、サービス業は2月の12.1から11.3へと低下も、2年4カ月ぶり低水準となった1月の11.0よりは高水準を維持して下げ止まりの可能性も示唆。
建設業は半年ぶり低水準となった2月の6.6から7.5へと上昇。小売は3年11カ月ぶり低水準となった1月の-2.1から2カ月連続上昇で0.2。半年ぶりにプラス圏も回復。
しかし、製造業だけは4カ月連続の低下で-1.7。2カ月連続のマイナス圏で2016年8月(-2.9)以来、2年7カ月ぶりの低水準となっています。
製造業PMI、IFO景況感指数に続き、ドイツと製造業の低迷が続いていることが示され、イタリアも含めてユーロ圏の景気減速緩和に向けた重要ポイントになっています。
なお、英国は5年8カ月ぶり低水準となった2月の99.2から3月は100.8へと反発しています。しかし、4月12日に向けた動向次第では4月に再下落の可能性も残されます。
28日のNY金相場は-20.6ドル、1.57%の大幅安となって3日続落。欧州時間以降、下げ過ぎた米長期金利の反発とともにドル高と株高の流れとなって売り圧力が強まる展開に。NY朝には節目の1300ドルを割り込んだことで下げ幅を拡大、3月7日(1286.1)以来3週間ぶりの安値水準に。下落率では昨年安値に向かった8月13日(-20.1ドル、1.65%)以来、7カ月ぶり。2月末から下落基調が続く20日移動平均線(1300.4)も下抜けたことで、3月安値を起点とする戻り局面を終えて2月高値を起点とする下落基調継続の形に。月末月初の米経済指標などが好結果となればもう一段の金利上昇とドル高の流れとなる可能性もあり、当面の下値目安は20日移動平均-2.5%乖離ラインが推移する1260ドル台まで。
NYプラチナ相場は-12.7ドル、1.48%の大幅続落。欧州時間朝にはまたも870ドルまで上昇して反落、戻り売り圧力に押し戻されると元の水準860ドルを突き抜けてNY朝には850ドル割れ。7日連続で860ドル台から870ドルまでの上値トライに失敗したことで、3月7日を起点に下値を切り上げてきた流れも急失速から反落の流れへと切り替わり始めた状態に。目先の下値目安は3月半ば安値圏、820ドル台まで。
ドル円は10銭ほどのドル高円安となって小幅反発。東京時間には米10年債利回りが一時2.35%割れへと一段と低下したことに連れて軟調推移、110円00銭台まで下落。110円前後のサポート水準での底堅さを確認し、下げ渋った欧州時間からNY時間にかけては米10年債利回りの反発とともに110円80銭台まで上昇。しかし右肩下がりの90日移動平均線(110.87)に上値を押さえられる形となって110円台後半での保ち合いへ。今朝の東京市場でも一時110円90銭まで上昇する場面もあったものの80銭近辺での攻防状態に。この抵抗水準を上抜けることができれば111円台半ばまで上昇余地拡大も。そのためには2.4%手前で上げ渋る米10年債利回り上昇が必要か。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場3/28終値とチャート
29日の国内金価格は-58円、1.17%の大幅安となって3日続落。下げ幅としては今年高値5091円をつけた2月21日の翌日、22日の-61円(1.2%)以来で今年2番めの大幅下落。保ち合い下方ブレイクに伴い、8月から続いた上昇トレンドは2月21日をピークとしていったん終了した形に。調整局面入り後の当面の下値目安は右肩上がりを維持する90日移動平均線(4889)近辺。今年高値から3月8日までの下落幅が144円、3月高値5016円から144円下落した場合の下値目安は4872円。
週間ベースでは-77円、1.54%安で3週ぶりの反落。月間では-116円、2.31%安となって7カ月ぶりの反落。3月としては6年連続下落。
プラチナ価格は-35円、1.07%の続落。下値を切り上げる状態は続くものの、9-21日移動平均線(3241-3224)を下抜けて上昇トレンドは終息方向。直近安値3206円を割れると調整局面入りとなり、当面の下値目安としては3100円割れを試す可能性も。
週間ベースでは-44円、1.35%安で3週ぶりの反落。月間では-80円、2.42%安で3カ月ぶりの反落。3月としては3年連続下落。
※参考:金プラチナ国内価格3/29とチャート
- 2019年3月29日(金)時点の相場
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国内金 : 4,912 円 3/29(金) ▼58(1.17%) 国内プラチナ : 3,222 円 3/29(金) ▼35(1.07%) NY金 : 1,289.8 ドル 3/28(木) ▼20.6(1.57%) NYプラチナ : 843.8 ドル 3/28(木) ▼12.7(1.48%) ドル円 : 110.64 円 3/28(木) ▲0.13(0.12%)
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