金プラチナ短期相場観
米CPIは2年5カ月ぶり低水準、インフレ鈍化でハト派をサポート
更新日:2019年3月13日(水)
米労働省が発表した2月の消費者物価指数(CPI)は前年比+1.5%(1.52)。市場予想の+1.6%を下回り、4カ月連続の低下で3カ月連続の2%割れ、2016年9月(1.46)以来、2年5カ月ぶりの低水準。
食品とエネルギーを除くコアCPIは前年比+2.1%(2.08)、こちらも市場予想の+2.2%を下回り、微妙に3カ月連続の低下で1年ぶりの低水準。昨年3月以降、11カ月連続で2%以上は維持。
ガソリン価格は1月の前年比-10.1%から2月は-9.1%へとわずかに上昇も、3カ月連続の前年割れとなり、CPI低迷を主導した形に。
その他主要項目では、中古車価格が前年比+1.1%で1月の+1.6%から低下、4カ月ぶり低水準。航空運賃は1月の-2.8%から2月は-2.3%へと上昇も3カ月連続-2%台。
携帯電話サービス料も-3.1%から-2.8%へとわずかに下げ幅縮小も4カ月連続の-3%前後。
自動車保険は+2.0%となり、1年前時点の前年比+9.7%から低下傾向が続き、直近では4カ月連続の低下。
大きく下げたのが医療用品で1月の-0.3%から2月は-1.1%。3カ月連続の前年割れ。
なお、インフレ指標の重要度を示す割合としては1%強と主要項目よりも低いものの、女性用アパレルが-4.5%となり、1月の-1.7%から急低下、8カ月連続の前年割れとなっており、ファスト・ファッションの流行もインフレ減速基調要因の一つとなっています。
コアCPIの推移は、2.4%ラインが上限となって頭打ちの状態が続き、CPIは3%付近を頂点にダブルトップを形成、この2月にはわずかながらもネックライン割れ。
賃金上昇率はおよそ10年ぶり高水準となりましたが、インフレ基調は加速の兆しどころか鈍化傾向が続きます。
パウエルFRB議長の「生産性向上によりインフレ加速のリスクなしに賃金が上昇する一段の余地が生じた」との指摘どおりの結果となっており、FOMCではハト派をサポートすることになりそうです。
12日のNY金相場は+7ドル、0.54%の反発。時間外からドル安優勢の流れに1290ドル台半ばへと水準と切り上げ、NY朝には米2月CPIの結果を受けての1300ドルトライ、もいったん頭打ち。しかし、NY引け後には英EU離脱修正案の採決に向けて買いが強まると1300ドル超え。否決後の時間外も1300ドル台を維持。英EU離脱を巡って残された道は、合意なき離脱案を否決して離脱期限を延期する案を可決するしかなくなってきた様子。ただ、EU側の対応に不透明感も残り、一部では「白紙に戻す」案?などの見方もあるようで、この3年弱の間で何も決められない英政局の迷走ぶりに周囲の警戒感も徐々に高まる状況にも。この状況を背景に金市場でも買いが入りやすい地合いにも。目先、1300ドル超を維持できるようなら、反発の流れが続きやすくなり、今年高値保ち合い下限付近、1320ドル台までが上値目標に。ただし、サポート水準となる1290ドル割れへと反落の流れとなった場合には、下落局面拡大となって8月から2月高値までの半値戻し(1258.5)付近、1260ドル近辺までが下値目標にも。
NYプラチナ相場は+15.1ドル、1.85%の大幅反発。堅調推移となった時間外に過去の抵抗水準820ドル台を超えて一段高の展開、NY朝には一時840ドル手前まで上昇。下値目安800ドル付近を目指した流れは前日安値809.6ドルまでで折り返した形となり、810ドル台が当面の下値サポートとなり、重要な節目水準にも。この水準を割り込むようなら12月安値780ドル付近を目指すような流れとなる可能性も。目先は20日移動平均線(830.8)にサポートされる可能性もあり、12月安値から2月高値までの38.2%戻し(841.2)付近が抵抗水準候補にも。
ドル円はわずかにドル高円安となって小幅に続伸。英議会採決を巡る思惑からポンドが乱高下、ドル円もこれに連れる形で上下動も値幅は30銭台にとどまる小動きに。東京時間には日経平均の大幅高と、メイ英首相とユンケル欧州委員長との間で法的拘束力を加えたバックストップ案で合意したことを好感したポンド買いに連れて111円40銭台まで上昇も、NY時間にかけては反落の流れとなり、米2月CPIが予想を下回ると111円10銭台まで下落。その後は英議会での修正案否決も111円20銭台を中心に保ち合い推移の展開に。20日移動平均線(111.10)にサポートされる状態も、上値も徐々に重くなりつつあり、抵抗水準112円ラインとの距離も拡大傾向に。200日移動平均線(111.41)が抵抗線にもなりつつあり、20日線を割れるようなら110円台半ばまでが目先の下値目安にも。さらにこの水準を下回るようだと円高の流れが一段と強まる可能性も高まり、1月末安値水準108円台後半を目指すような流れにも。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場3/12終値とチャート
13日の国内金価格は+28円、0.56%の反発。低インフレと英政局不安を背景に堅調推移となったNY金に連れて水準を切り上げ、3月1日(5029)以来の高値水準に。4940円台から4970円までの小幅保ち合いレンジを上方ブレイクしたことにより、ある程度の上昇局面を形成する可能性は高まり、1月安値から2月高値までの23.6%戻し(5022)近辺が上値目標に。なお、半値戻し(4944)の水準は下方向への重要な節目にも。
プラチナ価格は+58円、1.84%の大幅続伸で1週間ぶりの水準を回復。1月安値から3月高値までの61.8%戻し(3115)で反発し、38.2%ライン(3196)を超え、昨年10月までの保ち合い水準(3200円前後)に到達。90日までの移動平均線がサポートとなる形で集中し、いったん落ち着きやすい水準にも。
※参考:金プラチナ国内価格3/13とチャート
- 2019年3月13日(水)時点の相場
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国内金 : 4,989 円 3/13(水) ▲28(0.56%) 国内プラチナ : 3,209 円 3/13(水) ▲58(1.84%) NY金 : 1,298.1 ドル 3/12(火) ▲7.0(0.54%) NYプラチナ : 831.9 ドル 3/12(火) ▲15.1(1.85%) ドル円 : 111.35 円 3/12(火) ▲0.06(0.05%)
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