金プラチナ短期相場観
求人件数も頭打ち、JOLTS労働異動調査にもピークアウト警戒感
更新日:2019年6月11日(火)
米労働省が発表した4月のJOLTS求人労働異動調査で、求人件数は744.9万件。市場予想の749.6万件を下回り、3月の747.4万件からも減少。6カ月移動平均では746.58万件となり、昨年11月(746.47)以来5カ月ぶりの水準に低下。
その11月までは断続的に過去最大を更新し続けてきましたが、この5カ月間は過去最大を更新できない状態が続きます。
求人率では4月は4.7%となり、3月から変わらず。求人率は回復の目安とされた3.0%を既に大きく上回り、昨年7月には4.8%まで上昇し、その後も3回、合計4回4.8%を記録し、頭打ちの状態に。
採用率も回復の目安3.8%を達成済で、2015年12月には3.9%まで上昇。その後も2017年6月と2018年5月以降は断続的に3.9%を記録し、この4月も3.9%。金融危機前には4.1%まで上昇した時期もありましたが、最近は3.9%が上限となってきた様子です。
離職率も回復の目安2.1%はすでに達成済で現在2.3%での横ばい推移が昨年6月以降、11カ月続きます。2001年に記録した過去最高2.5%には少し及ばないものの、近年最高水準で頭打ちに。
解雇率も回復目安1.4%以下を達成し、3月の1.1%から4月は1.2%。何度か記録した1.1%が過去最低水準となり、限界水準に達した状態のようにも見えます。
労働異動調査では、いずれもこれ以上改善の余地がないとも思われる水準に到達し、ほぼその水準を維持する状態となり、ピークアウト警戒感が徐々に高まるフェーズに入ってきたかもしれません。
10日のNY金相場は-16.8ドル、1.25%の大幅安となって9営業日ぶりの反落。週末のメキシコ関税見送りを受けて週明けは大幅安スタート。1340ドル割れでは若干のもみ合い後、欧州時間には1330ドル台前半へと一段安。しかし、早期利下げ観測がサポート要因となってNY市場では1330ドル台前半での揉み合い推移。一方的に買われ過ぎた状態からの巻き戻しがようやく、一気に進行した形となり、20日移動平均(1301.1)+2.5%乖離ライン(1333.6)までの範囲内に収束。それでも通常の変動値幅の上限付近に位置し、目先の主要レンジは通常なら1300ドルから1330ドル近辺。このレンジはFOMCに向けて上方シフトが続き、この上限付近での推移も続きやすい状況にも。1350ドルが当面の上限となり、FOMCでの想定以上のハト派などが要因となってこれを上抜けることがあれば昨年高値1360ドル台へと上値を伸ばす展開にも。
NYプラチナは3日ぶりの小反落で-0.9ドル、0.11%安。時間外には軟調推移となって一時800ドルの大台割れ、NY市場では800ドル台後半へと反発も810ドルに抵抗感も。790ドルから820ドルまでの保ち合いレンジを800ドルから810ドルまでに縮小の兆しにも。過去のパターンと同様、安値圏での保ち合いがしばらくは続いた後、反発方向へと大きく動き出す展開が、今回も繰り返されることになるのかどうか。ただし790ドルの下限を割れると昨年安値770ドル台を目安に二番底をつけに行く可能性も。
ドル円は20銭強のドル高円安で反発。利下げ観測の高まりに伴うドル安と金利低下圧力が強まるなか、メキシコ関税見送りによる安心感からの株高円安の勢いが上回り、東京時間には一時108円70銭台まで上昇。しかし、上値も重く欧州・NY時間にかけてはジリ安の展開に。トランプ米大統領が「中国の習近平主席がG20で会談に応じなければ追加関税を発動する」と警告したことなども重石に。今朝の東京市場では108円30銭台を下値に108円60銭近辺まで反発基調。108円台前半を主要レンジに小幅揉み合いが続く状況ながら、徐々に上値を切り上げる展開にもなっており、目先109円近辺までは上値を伸ばす可能性も。20日移動平均線(109.24)が抵抗線にも。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場6/10終値とチャート
11日の国内金価格は-28円、0.56%安で9日ぶりの反落。今年高値から5月安値までの61.8%戻し(4988)をほぼ達成後の反落で半値戻し(4956)付近に到達。若干の行き過ぎを調整し、適度な水準、ペースに戻した状況のようにも。ここから次週のFOMCに向けてはドル円の底堅さとNY金の堅調維持にサポートされやすく、中立からやや堅調推移も予想され、4985円の直近高値を更新する展開となれば上値トライ再開となって今年高値からの下押し水準5030円近辺までが次の上値目標にも。
プラチナ価格は-7円、0.23%の小幅反落。安値圏からの戻りは鈍く、最近の安値揉み合いレンジ3000円から3100円までのレンジ内推移が続き、短期的には3080円が抵抗水準。下値は3000円の大台ラインが重要なサポート水準。これまでと同様、多少この水準を割れても短時間で反発へと切り返しやすい反面、保ち合い長期化とともに底割れからの急落リスクも徐々に高まる状況にも。その場合には昨年安値圏、2900円前半も意識されるような局面も。
※参考:金プラチナ国内価格6/11とチャート
- 2019年6月11日(火)時点の相場
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国内金 : 4,957 円 6/11(火) ▼28(0.56%) 国内プラチナ : 3,023 円 6/11(火) ▼7(0.23%) NY金 : 1,329.3 ドル 6/10(月) ▼16.8(1.25%) NYプラチナ : 805.2 ドル 6/10(月) ▼0.9(0.11%) ドル円 : 108.43 円 6/10(月) ▲0.24(0.22%)
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