金プラチナ短期相場観
NY金価格1400ドル台の希少価値
更新日:2019年6月26日(水)
NY金は25日、東京午後の時間帯に一時1442.9ドルまで上昇し、2013年5月14日(1444.9)以来、6年1カ月ぶりの高値水準を記録。
先週末の21日に1400ドルの大台に到達して以降、1400ドル台での推移が続きます。
これまでとは、水準が切り替わったこともあり、NY金の1400ドル台にはまだしっくりこない、落ち着かない、といった印象も聞こえてきそうです。
過去の推移から見ると、NY金が実際に1400ドル台で推移した期間はそれほど長くはありません。
月間平均価格を価格帯別に集計すると、その希少性がわかります。
NY金が月間平均1400ドル台となったのは、過去に2011年3-4月の2回、2014年4-5月の2回の合計4回しかありません。
この6月の平均価格も現時点では1355.3ドル。月末までに平均を1400ドルまで押し上げるのは難しそうです。
2番目に少ないのは1500ドル台と1000ドル台の5回。
1500ドル台も、2011年5-7月の3回、2012年7月と2013年3月の2回で合計5回。
この1400ドル台から1500ドル台までの水準は、上昇局面でも下落局面でも、短期間でほぼ素通りしてきた水準であり、真空地帯となっています。
だからといって、今回も1400ドル台から1500ドル台を短期間で駆け抜けて、1600ドル台まで早期到達が予想される、ということにはなりません。
新たに、居心地の良い価格帯を見つけることになる可能性のほうが高いのではないか、とも見られます。
もしくは、2000年代に入って1000ドルを超えて以降、最も居心地の良かった水準1200ドル台から1300ドル台に後戻りの可能性も残されます。
米国の利下げ観測が今後、大きく後退するようなことがあれば、NY金にとってのゴールデン・レンジとなっている1200ドル台から1300ドル台の記録回数が伸びることにもなりそうです。
これまでのゴールデン・レンジにとどまるか、新たな主要レンジ生成へと向かうか、NY金は今、その分岐点に差し掛かっています。
25日のNY金相場は+0.5ドル、0.04%の小幅高で4日続伸。NY終値では2013年8月28日(1418.8)以来、5年10カ月ぶりの高値水準での横ばい推移。米国のイランへの追加制裁に対してイラン側は激しく非難、双方とも軍事行動も辞さない勢いで激しい口撃合戦となって市場の警戒ムードを高め、安全資産として円や債券とともに金も買われ、東京時間昼過ぎには一時1440ドル台まで急騰。その後も概ね1430ドル台を維持して保ち合い推移も、NY午後には反落。6月FOMCで唯一利下げを支持したセントルイス連銀ブラード総裁の「次回FOMCで50ベーシスの利下げは行き過ぎ」発言を受けてのドル高急進で米株とともに急落すると一時1420ドル割れ。NY引け後には1420ドル台回復もやや上値も重くなってきた様子も。高ボラティリティ状態は続き、行き過ぎの展開が再度強まれば上方向には2013年4月暴落後の戻り高値1470ドル台までが意識されやすく、下方向には5月安値からの急騰幅の38.2%戻し1370ドル台辺りまでが目安に。
NYプラチナは-1.9ドル、0.23%の小幅反落。連日の底値保ち合い上限トライ、時間外には815ドル付近の攻防が続き、NY朝にはこれを突破して一時820ドル台へと上昇。しかし早期利下げ観測後退を受けた株安・金安の流れに連れて810ドル割れへと急反落。ゆるやかな上昇軌道に転じた20日移動平均線(805.9)にサポートされ、810ドル台の節目突破をかけた攻防継続へ。
金との価格差は前日の606.5ドルから608.9ドルへ、連日の過去最大更新。
ドル円は20銭ほどのドル安円高となって反落。米国とイランとの対立激化を警戒してリスク回避の流れが強まった東京時間には、米10年債利回りの2%割れとともに107円割れ、1月3日のフラッシュ・クラッシュ以来、およそ半年ぶり安値となる106円70銭台まで急落。NY時間にかけて107円台を回復も、米5月の新築住宅販売件数や6月の消費者信頼感指数が低調となって106円80銭台まで再反落。しかし、セントルイス連銀ブラード総裁発言を受けてのドル高急進で107円40銭まで急反発。ただし、パウエルFRB議長が政治的干渉からの独立を強調するとともに「緩和的な政策の論拠が強まった」ことにも言及し、早めの「適切な行動」も示唆。ドル安円高優勢地合いは続くものの、短期的には下値目安107円近辺に到達しており、下げ止まりやすい状況にも。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場6/25終値とチャート
26日の国内金価格は-42円、0.8%安で7日ぶりの反落。6月に入って下落したのは3日め。調整幅としてはまだまだ控えめ、5月末安値からの上昇幅434円の23.6%戻しでも5153円。G20後に米中対立が一服ムードとなり、イラン情勢も悪化しなければ38.2%戻しとなる5089円近辺までが調整の目安にも。逆に事態の悪化、その懸念が高まるなどして5255円の高値を更新した場合には近年最高値5298円、5300円トライの展開にも。
プラチナ価格は-40円、1.32%の大幅安で3日ぶりの反落。NYプラチナが保ち合い上抜け失敗となったことにより、国内価格の上値トライへの動きも巻き戻し。逆に3000円の大台ラインを割り込んで下方リスクが高まる状態に。ただし、今のところはNYプラチナが保ち合いを維持し、円高がさらに進行する状況にもなく、一時的な下振れにとどまって保ち合い回帰の展開にも。そうならなければ昨年安値2911円更新トライへ。
※参考:金プラチナ国内価格6/26とチャート
- 2019年6月26日(水)時点の相場
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国内金 : 5,213 円 6/26(水) ▼42(0.80%) 国内プラチナ : 2,987 円 6/26(水) ▼40(1.32%) NY金 : 1,418.7 ドル 6/25(火) ▲0.5(0.04%) NYプラチナ : 809.8 ドル 6/25(火) ▼1.9(0.23%) ドル円 : 107.17 円 6/25(火) ▼0.19(0.18%)
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