金プラチナ短期相場観

金プラチナ短期相場観

金とプラチナの価格差逆転の背景に通貨不安

更新日:2015年1月28日(水)

スイス中銀が自国通貨スイスフランの対ユーロ上限を撤廃してスイスショックとなった15日、NY金相場とプラチナ相場の価格が逆転。その後じわじわと価格差を拡大し、今朝時点ではその差27.4ドルとなっています。この影響により、翌16日には国内の金価格とプラチナ価格も逆転し、その差130円で金価格がプラチナ価格を上回る状態となりました。
NY金とプラチナの価格差逆転は2013年4月以来のことで、当時は2011年9月から約1年半続いた逆転状態を解消する時期でした。

金とプラチナの価格差逆転状態が続いた1年半を振り返ると、きっかけは米国の格下げに伴うリスク回避による金相場急騰で、2011年9月に史上最高値を更新。プラチナ相場を上回り始めました。この時期、夏場から秋にかけては円高も史上最高値(ドル円最安値)を更新し、1ドル=80円割れでの推移が続き、政府・日銀による為替介入も頻繁に行われた時期。

欧州での2011年9月は債務危機が続いていた時期。EU・IMFによるギリシャ、アイルランド、ポルトガルへの金融支援が既に行われ、その後も2012年にかけてギリシャのユーロ離脱懸念やスペインの財政危機などが続き、2012年夏までユーロ売りが進行。
また、ユーロ安の加速に伴うスイスフラン高の進行に歯止めをかける為に、スイス中銀が1ユーロ=1.20スイスフランの上限設定を決定したのも2011年9月。

価格差逆転状態が終了した2013年4月は、ドル高円安方向へと大きく反転し、行き過ぎた円高が解消されていた時期。欧州でも2013年3月にキプロスの債務危機を救済し、欧州債務危機の本格終焉と見られた時期でユーロの対ドル相場も反転。1ユーロ=1.2スイスフランの上限設定も安定機能し、1ユーロ=1.25フランへの上限切り上げ(スイスフラン安)の噂も聞かれた頃。

そして今月中旬、ドル円は少し前に1ドル=120円を上回る円安水準に到達して一服状態。今度は行き過ぎた円安論や悪い円安論も台頭し始めます。ユーロは景気低迷、デフレ回避への対応策として金融緩和によるユーロ安促進中。しかし、市場はECBの対応不十分として量的緩和の導入を催促する状況。既にユーロの対ドルレートは想定以上のスピードで下落し、欧州債務危機の時を下回っていました。ユーロ売りドル買いの流れとともに、ユーロ売りスイスフラン買い圧力も高まり、上限を維持し切れなくなったスイス中銀は突然の上限撤廃決定に至ります。

通貨不安や中央銀行への不安によってリスク回避ムードが急速に高まることで、安全資産の金は買われやすくなります。この勢いが加速するとプラチナの上昇度合いを大きく上回り、金とプラチナの価格差逆転につながります。そして通貨不安が解消すると、買われ過ぎた金が売られ、元の関係性に戻る。そんな流れになっていたと解釈することもできそうです。
今回もやはり、通貨不安の高まり(と中央銀行への不安)によって、金の買われ過ぎが急加速した状態と推測されます。

NY金・日足チャート 2014/12/24 - 1/2727日のNY市場は、米12月耐久財受注が前月比-3.4%と予想に反して大きく落ち込み、マイクロソフトやキャタピラーの軟調な決算などもありNYダウが300ドル弱、1.65%の大幅下落。世界経済の鈍化懸念や原油安の影響による先行き不透明感の高まりに伴い、金相場は3日ぶりの上昇で0.96%高。年初からの上昇値幅の23.6%戻しライン1,275ドルがサポートラインとして作用。1,300ドルの抵抗線との間でレンジを形成、上下のいずれか抜け出した方向へ20ドル程度は簡単に動きそうな状況。

NYプラチナ・日足チャート 2014/12/24 - 1/27プラチナ相場も3日ぶりに0.74%の反発。直近の下値目標や複数の節目水準が集中していた1,250ドル付近は強めのサポートライン。しかし、上昇トレンドの勢いは縮小し、レンジ上限となる1,290ドルへは距離感も抵抗感もやや増大。サポートラインを割れなら1,230ドル台までの下落余地も。

ドル円・日足チャート 2014/12/26 - 1/27ドル円は0.49%の反落で鯨幕相場継続。118円台半ばのレンジ上限トライも限定的となり、NY時間には米株の下落とともにドル売り優勢に。ただし下値も堅く、116円台半ばまでの下値余地に対して117ドル台で踏みとどまる状況が継続。FOMCと月末月初通過までの間で大きく動き出す可能性は十分にありそうだが。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場1/27終値とチャート

28日の国内金価格は0.65%の反発。NY金も為替も保ち合い傾向が強まる状況となり、国内価格は高値圏での揉み合い状態に。5,170円付近までの調整余地を残しながらもレンジ傾向が強まる展開。ドル円よりもNY金のほうがボラティリティが高めの現状では、NY金が動き出した方向へと追随する動きが想定される。

プラチナも0.63%の反発。前日下値目安5,090円近辺をクリアしたことによる一服感からの買い戻し。上昇トレンドの勢いは大きく減速し、方向感はほぼニュートラル。5,070円を下回った場合には5,000円の大台割れの可能性も。
※参考:金プラチナ国内価格1/28とチャート

2015年1月28日(水)時点の相場
国内金5,236 円 1/28(水) ▲34(0.65%)
国内プラチナ5,106 円 1/28(水) ▲32(0.63%)
NY金1,291.7 ドル 1/27(火) ▲12.3(0.96%)
NYプラチナ1,264.3 ドル 1/27(火) ▲9.3(0.74%)
ドル円117.87 円 1/27(火) ▼0.59(0.49%)

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