金プラチナ短期相場観
利上げに向かう既定路線を示したFOMC、しかし流れはドル安円高
更新日:2015年1月29日(木)
FOMC声明文では、経済活動は「緩やかな」ペースから「しっかりとした」ペースへと加速し、労働市場は「力強い雇用の増加」と「失業率の低下」を伴ってさらに改善、原油安に伴うエネルギー価格の下落が「家計の購買力を押し上げ」ているというFRBの認識を示し、金融政策正常化(利上げ)に向けて「忍耐強い(patient)」アプローチが必要となることを表明。
タカ派寄りの声明文を受けて米株は急落、NYダウはまた200ドルほど下げて今年安値を更新。金もやや軟調推移となり、ドルは対ユーロでは大きく買われてユーロドルは下落。しかし、対円ではドル安円高の流れに。今朝はややドル買い方向へと持ち直す動きも見られているようですが、今回のFOMCはあまりドル買い材料とはならなかったようです。ユーロドルの下落も、先週までの極端なユーロ売りの流れからの自律反発で大幅急騰したところからの反落、と見ることもできます。
米株の急落に米国債利回り低下、VIX指数もまた20台へと上昇し、欧州株上昇と金の下落を除けばリスク回避の流れとなっています。
FOMC声明文での言及こそなかったものの、ドル高に対する警戒感の高まりによる影響が徐々に拡大している可能性がありそうです。
それでも、前回まで相当な期間続いた「相当な期間(considerable time)」低金利を維持する、との一文が声明文から削除されたことで、「低金利はもうそれほど長くは続かない」ことを暗示し、FRBは予定通り着実に利上げフェーズへ向かっていることを示しています。
28日のNY金相場は0.45%の反落。FOMCへの警戒感などからやや軟調推移、声明文発表後は一時的に1,280ドル割れへと急落もすぐに反発。予想通りの内容に反応は限定的。高値圏での揉み合いのなかレンジを縮小し、三角保ち合い状態。1,290ドル台前半を上抜けると1,320ドル程度まで上値余地拡大、1,270ドル台後半を下回ると1,250ドル台へと反落の可能性。ゆるやかな上昇トレンドから、どちらに転んでもおかしくないニュートラルな状態へ。
プラチナ相場も0.46%の反落。この日も1,250ドル付近の強めのサポートラインが効いて下げ幅は限定的に。しかし短期的には上昇トレンドをほぼ終了し、小幅レンジでの揉み合い状態から方向感を見出そうとする状況に。上方向なら今年高値1,290ドル付近が当面の目安に、下方向には1,230ドル台までの下落も想定される。
ドル円は0.3%の続落。上下動を繰り返しながらサポートライン化しつつあった117円台後半を下抜け。やや円高方向への圧力が高まってきた様子、早めに118円台前半のレンジに戻ることができないようなら、下値目標116円台半ばへと向かう流れが強まりそうな状況に。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場1/28終値とチャート
29日の国内金価格は0.8%の反落。高値圏での揉み合い傾向からやや軟調推移へと傾斜、調整余地のメド5,170円付近への到達確率は高まり、NY金が保ち合い下放れの場合には国内価格も5,140円程度まで下落余地拡大。レジスタンスラインは5,240円に引き下げ。
プラチナは0.9%の反落で金と同じような流れに。金よりも一足先に下落トレンドへと転換した可能性が高まり、下値目標水準は5,000円割れ、4,990円近辺。レジスタンスラインは5,110円。
※参考:金プラチナ国内価格1/29とチャート
- 2015年1月29日(木)時点の相場
-
国内金 : 5,194 円 1/29(木) ▼42(0.80%) 国内プラチナ : 5,060 円 1/29(木) ▼46(0.90%) NY金 : 1,285.9 ドル 1/28(水) ▼5.8(0.45%) NYプラチナ : 1,258.5 ドル 1/28(水) ▼5.8(0.46%) ドル円 : 117.52 円 1/28(水) ▼0.35(0.30%)
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