金プラチナ短期相場観
米小売売上高下振れでセリング・クライマックスのデジャブ
更新日:2015年1月15日(木)
世界銀行による2015-16年の世界経済成長率見通しの引き下げ、銅価格の急落などを背景にリスク回避の流れが優勢となるなか、米国の12月小売売上高は前月比-0.9%と市場予想の-0.1%を大幅に下回り、昨年1月以来の大幅減。自動車を除く売上高は前月比-1.0%で2009年3月以来となる大幅減少。タイムラグもあってか、原油安が消費をサポートし切れず、年末商戦まっただ中の数字が大きく落ち込んだことがリスク回避ムードを増幅させたようです。
NYダウは前日比350ドル弱の安値まで急落。ドル円も前日比1.6%の円高となる116円割れ寸前まで急落。いつかどこかで見た、セリング・クライマックスのような相場急変は3カ月前にも起きていました。
昨年10月15日のセリング・クライマックスも米小売売上高がきっかけ。この時も9月分の小売売上高が予想を下回る前月比-0.3%、1月以来のマイナス圏への落ち込みとなったことをきっかけに、NYダウは前日比450ドル超の急落。ドル円も前日比1.7%の円高となる105円10銭台まで急落。
その後は株価もドル円も急反発となり、高値更新へと向かう上昇トレンドへと回帰していきました。
消費低迷による米国景気の鈍化、低インフレ懸念による米国の利上げ時期先送り観測は金相場のサポート材料となりますが、デジャブどおりの流れが続いた場合、3カ月前の金相場が1,250ドル台の高値ピークをつけて、1,130ドル台まで下落した流れも蘇ります。
14日のNY金相場は前日比ほぼ横ばい推移。1,230ドル前後の推移から米小売売上高の下振れを受けて1,244.6ドルまで急騰、しかし長続きせず。1,240ドル台半ばまで上昇して押し戻される展開が2日連続、上値目標1,250ドル付近までほぼ到達した形で、1,240ドル台後半から1,250ドルまでの水準が厚めの抵抗線に。目先はサポートライン1,200ドル台までの間でレンジ傾向が強まる展開も予想される。
プラチナ相場は5日ぶりの反落となる0.71%安。高値トライ局面では再び1,250ドル台寸前まで上昇して反落、目標水準ほぼ到達により短期上昇トレンド一服。金と同様に1,250ドルが目先の抵抗線となり、サポートライン1,200ドルまでのどこかで下げ止まってレンジ形成の動きか。1,220ドル近辺が有力サポートライン候補。
ドル円は0.51%安で4日続落。予想外の米小売売上高下振れにより116円00銭台まで急落した時点がリスク回避的な流れのピークとなった可能性も。第2目標117円割れの水準を大きくオーバーランしたことで短期円高トレンドにも一服感が出てきそうな状況に。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場1/14終値とチャート
15日の国内金価格は0.38%の続落。短期上昇トレンドを終えて揉み合い状態へと移行しそうな状況。4,900円から5,010円台までのレンジ内で目先のサポートライン候補は4,940-50円辺り。
プラチナは0.82%の続落。5日ぶりとなる5,000円の大台割れで短期上昇トレンドは急減速、上値目標5,070円近辺を目指す流れも黄色信号。金に連れてレンジ色が強まる状況に。サポートライン4,960円割れの場合には反落傾向が強まる可能性も。
※参考:金プラチナ国内価格1/15とチャート
- 2015年1月15日(木)時点の相場
-
国内金 : 4,976 円 1/15(木) ▼19(0.38%) 国内プラチナ : 4,985 円 1/15(木) ▼41(0.82%) NY金 : 1,234.5 ドル 1/14(水) ▲0.1(0.01%) NYプラチナ : 1,239.0 ドル 1/14(水) ▼8.8(0.71%) ドル円 : 117.32 円 1/14(水) ▼0.60(0.51%)
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