金プラチナ短期相場観
ADP雇用者数と雇用統計NFPの3カ月平均の相関性
更新日:2016年6月3日(金)
ADP雇用者数と雇用統計NFP増減数を3カ月平均の推移で見ると、非常に似通った推移となっています。24カ月間の相関係数は、2015年春以降は0.8前後での推移が続き、非常に相関性が強い状態が続いています。
5月のADP雇用者数が予想通りの結果となったことで、雇用統計のNFPも予想通りの結果なら16万人程度。この場合のNFPの3カ月平均は17.6万人となり、ADPの5月時点の3カ月平均18.0万人を少し下回る水準となります。
その場合の24カ月相関係数は0.8107となり、4月の0.7961から小幅上昇、最近のピーク2015年10月の0.83496には及ばず、と程良い水準を維持することになります。実際にその状況に近い水準となる可能性は十分にありそうです。
また、ADPの3カ月平均が今年2月以降3カ月続落でやや大きめの下落基調となっている状態では、NFPだけが極端に反発することも想定し難い状況です。さらに、相関性が強い推移のなかでもADPよりもNFPのほうが比較的上下の振れ幅が大きくなりやすい傾向もあり、今回も予想の16万人を少しでも下回れば、その傾向が顕著となります。
そんな状況から、NFPがポジティブサプライズとなる可能性は低く、むしろ若干低めの結果となってもおかしくない、との予想も成り立ちそうです。
なお、先日のISM製造業景況指数でも、5月の雇用指数は49.2の横ばいとなり、50を下回る状態が5カ月間続いています。
その一方で、ISM製造業景況指数の予想外の上振れ要因となった価格指数は4月に59へと跳ね上がり、5月も63.5と高水準となっていました。
今回の雇用統計でも、より注目される賃金上昇率が前月に続き、前年比+2.5%以上へと好調を示すようなら、インフレ圧力の高まりを示唆する状況となり、今後の利上げ観測を後押しすることになりそうです。
2日のNY金相場は0.17%の小幅続落。終値では2月22日(1210.1)以来、3カ月半ぶりの安値水準。ただしこの日の安値では今週何度か試した1200ドル台手前、1210ドルまでと底堅さも。市場予想どおりとなったADP雇用者数にはやや売り反応後、OPEC総会でも予想通りの生産上限設定合意せずとの結果にやや株安ドル安のリスク回避傾向の流れに買い反応。しかしいずれも限定的な値動きとなり、上下の値幅8ドルは今年最小の小動き。流れとしては、5月半ば以降の米早期追加利上げ観測の高まりに伴う売り優勢の展開が続く状態も、足下では1210ドル台を中心に小幅揉み合い状態が続き、下げ止まりからの反発への思惑と米雇用統計への警戒感が交錯する状況。それなりにポジティブな結果とならない限りは1200ドルの大台割れ回避でいったん反発方向へと切り返す可能性優勢か。
NYプラチナ相場は1.21%安となり4日続落。4月7日(954.7)以来ほぼ2カ月ぶりの安値水準に。今年の上昇幅に対する値幅では金が38.2%ライン付近で下げ止まり感が見られ始めているのに対し、プラチナは38.2%ラインの985ドルを下抜けて50%ラインとなる951.9ドルが意識される水準までほぼ一方的な下げ基調が続き、下げ止まり感には乏しい状態。しかし、その流れも雇用統計後にいったんは収束する可能性もあり、反発できれば38.2%ライン程度までは十分想定可能か。ただし、予想以上の好結果となれば61.8%ラインの918.7ドル付近も意識される展開も。
ドル円は0.6%のドル安円高で3日続落。東京市場では連日の円高・株安の展開となり、109円割れへ。NY市場ではOPEC総会を受けた原油急落に株安とともにドル売り反応後、米週間原油在庫の減少に原油反発で米株も反発、しかしドル円の反発は限定的。円高圧力が強い状態が続く様子。流れはドル安円高方向に傾きつつあり、雇用統計の結果がほぼ予想通り、程度なら円高傾向継続へ、少しでもネガティブな結果なら目先の目標水準107円台半ば方向へと一段安の展開に。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場6/2終値とチャート
3日の国内金価格は0.57%の続落。1月26日(4499)以来、4カ月と1週間ぶりの安値水準に。円高圧力が強まる状況下で、NY金も反発しそうで反発し切れないジリ安の展開となり、下値トライの流れが継続。1月15日につけた今年安値4385円もちらつく状況となり、雇用統計の結果次第では一段安の展開も警戒される。ただし、ネガティブな結果ならNY金の反発によるサポートが期待され、急落は回避か。中途半端な結果でNY金の小康状態が続き、円高傾向だけが続いた場合のほうが下値警戒感は高まることになり、76.4%ライン4516円付近が目先の下値目安に。さらに勢い余った場合には4450円前後までが警戒水準に。
週間ベースでは-77円(1.67%)で続落。
プラチナ価格も1.8%の大幅続落で4月8日(3585)以来、ほぼ2カ月ぶりの安値水準。今年の上昇幅に対する50%戻しライン3642円を突き抜けたことで次の目安は61.8%ラインの3569円付近。なお、現状の3600円近辺は2月末と4月前半の安値水準に相当し、水準的には下げ止まりやすいところ。ただし、その為には円高圧力後退とNYプラチナの下げ止まりが必要に。
週間ベースでは-160円(4.25%)の大幅安で年初以来となる3週続落。
※参考:金プラチナ国内価格6/3とチャート
- 2016年6月3日(金)時点の相場
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国内金 : 4,547 円 6/3(金) ▼26(0.57%) 国内プラチナ : 3,602 円 6/3(金) ▼66(1.80%) NY金 : 1,212.6 ドル 6/2(木) ▼2.1(0.17%) NYプラチナ : 960.1 ドル 6/2(木) ▼11.8(1.21%) ドル円 : 108.87 円 6/2(木) ▼0.66(0.60%)
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