金プラチナ短期相場観

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JOLTS求人件数は過去最高もイエレン・ダッシュボードは失速

更新日:2016年6月9日(木)

イエレン・ダッシュボード2016年6月米労働省が発表した4月求人労働移動調査(JOLTS)によると、求人件数は578.8万件。市場予想の567.5万件程度を上回り、昨年7月と並んで統計開始の2000年12月以降で最大。3月分は575.7万件から567万件へと下方修正も、500万件超の高水準を1年3カ月連続で維持。
失業率や週間新規失業保険申請件数などとともに、求人件数は概ね好調とされる米労働市場を牽引する指標の一つとなっています。

その他のJOLTS指標では、求人率も前月の3.8%から3.9%へと上昇し、改善傾向が続き、回復目安3%を大きく上回り、回復率は164.3%。
解雇率も前月の1.2%から1.1%へと低下し、改善傾向。やはり回復目安の1.4%を下回り、回復率では150%に。
その一方で新しい職場を求めて自発的に退職する人の割合を示し、労働市場の活性化状況を測る指標として注目される退職率(離職率)は前月の2.1%から2.0%へと低下。回復目安の2.1%に到達していた状態から、未達ゾーンへと逆戻り。
また、採用率は前月の3.7%から3.5%へと低下し、悪化。2カ月前には回復目安3.8%に到達していた状態から2カ月連続の後退。

求人数が過去最大水準に増加しているにも関わらず、採用率は低下傾向となっていることから、企業側の求める人材が不足するミスマッチが発生し始めている状況と言えそうです。

2カ月前時点でのイエレン・ダッシュボードでは、全9指標のうち6指標が回復率100%を達成していました。その後、前月時点では採用率が脱落して回復率100%の指標は5指標となり、今月時点では雇用者数と退職率も脱落し、回復率100%の指標は3指標へと半減した状態です。

「単月のデータを過度に重視すべきではない」ものの、力強さを増しているはずの労働市場は、イエレン・ダッシュボードでは失速状態が示されつつあるようです。

NY金・日足チャート 2016/5/9 - 6/88日のNY金相場は1.23%の大幅上昇。NY市場オープンにかけて5月18日(1283.5)以来3週間ぶり高値となる1267ドルまで上昇。大きな材料のないなか、米利上げ観測後退(Fedウォッチ6月:0%、7月:19.6%)に伴うドル安や英国のEU離脱への不透明感の高まりに伴う債券買いによる国債利回り低下などを背景とした足下のトレンドがやや加速した形。目先は1280ドルラインが抵抗線となりやすく、超えると1300ドル台再トライの展開となって目標水準1320ドル前後も。タイミング的にはFOMC後か。

NYプラチナ・日足チャート 2016/5/9 - 6/8NYプラチナ相場も1.26%の大幅高となり4日続伸。5月後半の売られ過ぎ状態から雇用統計をきっかけとして、今度は反発の勢いがややオーバーペース気味に。時間の問題とは思われたものの早々の1000ドル台回復で、一時5月23日(1028.4)以来の高値水準となる1022ドルまで上昇。しかし、この水準は目先の上値抵抗水準でもあり、いったん失速。今朝も1010ドル台での堅調推移が続き、またしても早めの上値トライへと向かう可能性も。トライ成功なら当面の上値目安は1050ドル前後まで拡大見込み。

ドル円・日足チャート 2016/5/10 - 6/8ドル円は0.32%のドル安円高で続落。夏場の利上げ見送り観測を受けたドル安傾向の流れに、国内では三菱東京UFJ銀行の国債市場特別参加者資格返上によるマイナス金利の副作用懸念も台頭。日銀追加緩和見送り観測にもつながり、円高圧力も強まる状況に。今朝も106円台後半で上値が重そうな状態にあり、3日終値106円60銭が意識されるところ。終値でこの水準を割り込むようなら、円高ドル安の流れが加速する可能性。少なくとも105円台半ば付近までの一段安が見込まれ、FOMCの声明文や見通しなどがネガティブな内容となるなどのマイナス材料があればさらなる円高ドル安リスクとなる可能性も。ただし、本日終値で106円台後半以上を維持して引けた場合には上げ三法となり、反発の可能性を示唆することに。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場6/8終値とチャート

9日の国内金価格は1.26%の大幅反発。5月25日(4654)以来、2週間ぶりの水準を回復。9-90移動平均線が上から降順に並ぶ下方向へのパーフェクトオーダーの状態から最下段の9日移動平均線を上抜け。小さな節目4600円台を軽々と突破したことで短期的な流れも好転の兆し。目先は4660円台辺りまでの上昇余地。次は下から2番めの21日移動平均線との攻防へ。ただし、円高急進などで流れが巻き戻された場合には4580円台がサポートラインとなり、割り込んだ場合には4500円付近まで下落余地拡大の可能性も。

プラチナ価格も1.03%の大幅反発。こちらも9日移動平均線を上抜けて短期下落トレンドからの脱出へと前進。目先は3740円付近に位置する90日移動平均線との攻防、も、いったんはこの近辺での揉み合い形成も予想されるところ。
※参考:金プラチナ国内価格6/9とチャート

2016年6月9日(木)時点の相場
国内金4,643 円 6/9(木) ▲58(1.26%)
国内プラチナ3,729 円 6/9(木) ▲38(1.03%)
NY金1,262.3 ドル 6/8(水) ▲15.3(1.23%)
NYプラチナ1,012.0 ドル 6/8(水) ▲12.6(1.26%)
ドル円106.99 円 6/8(水) ▼0.35(0.32%)

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