金プラチナ短期相場観
ドイツが牽引、7月ユーロ圏製造業PMIは7カ月ぶりに上昇
更新日:2018年7月25日(水)
マークイットが発表したユーロ圏製造業PMIの7月速報値は55.1。市場予想の54.6を上回り、6月の54.9からもわずかながら上昇。5月の55.5にもまだ届かないものの、今年初、7カ月ぶりの上昇となりました。
これを牽引したのはやはりドイツで、市場予想の55.5を大きく上回る57.3となり、6月の55.9からは1.4ポイントの上昇で4月(58.1)以来3カ月ぶりの水準、ユーロ圏とともに今年初で7カ月ぶりの上昇。
ドイツ製造業の生産高は4月以来の高水準となり、新規受注および購入在庫、サプライチェーンの遅延も増加、新規輸出注文は3カ月で最大に増加。
7月は価格上昇圧力も加速し、賃金と燃料価格上昇により、コストインフレは1月以降で最高水準となった模様。
ユーロ圏内の国別ではドイツの成長率が拡大したのに対してフランスはやや低調、その他の国もさらに低迷となったようです。
フランス製造業の新規輸出受注は2016年9月以来の減少となり、「フランスはドイツに比べ、関税や貿易摩擦の当初の影響が大きい」との見方も。
また、この日フランス国立統計経済研究所(INSEE)が発表した7月の製造業景況感指数も108となり、6月の109から低下して1年1カ月ぶりの低水準となっており、「今年のフランス国内経済はユーロ高、原油高、保護主義を巡る不透明感を背景に減速」するとの事前見通しどおりの結果となっているようです。
ドイツとフランスの格差拡大が懸念されるものの、とりあえずはドイツに牽引される形でユーロ圏としての景況感失速に歯止めがかかった形にはなり、市場もこれを好感。ドイツのPMI発表後にはユーロ買いの勢いが強まる反応も見られました。
しかし、ユーロの対ドル水準は変わらず、依然として1.17ドルを超えられない状態での保ち合い傾向が続いています。
明日のECB理事会での景気見通しなどがきっかけとなり、対ドルでのユーロ買いが強まることになれば、NY金反発へのトリガにもなるかもしれませんが。
24日のNY金相場はわずかに0.1ドル安となって小幅に続落。ドル高優勢となった時間外には軟調な展開となって一時節目の1220ドル割れ。欧州時間にはドイツ、ユーロ圏の7月製造業PMIが予想を上回ったことをきっかけにユーロが買われてドル売り基調となったことにも連れて流れが逆転、NY市場では1230ドル手前まで上昇。しかし米製造業PMIも好結果となったことなどもあり、流れは再逆転。結果的に10ドル強の小幅上下動を経て前日終値付近に収束。1220ドルから1230ドル台までの小幅保ち合いレンジの上下限を確認する形となってのほぼ横ばい推移。トランプ米大統領の期待どおり週末のGDPが上振れるようだと下限割れとなって1200ドルの大台ライン付近までの下押しも。
NYプラチナ相場は+4.6ドル、0.55%高となって3日続伸。金に先行する形で反発基調が進行し、2週間ぶりの水準を回復。買い圧力が強まったNY市場では、これまで抵抗線となってきた20日移動平均線(838.7)を上抜けて850ドルの節目手前まで上昇。しかし、ここを突破するほどの勢いはまだなく、金にも連れての失速で20日線も下抜け。引き続き20日線と850ドルの節目が抵抗水準となり、これらをしっかり上抜けることができれば大幅上昇局面形成への可能性も高まり、6月半ば以降の急落前の保ち合い水準、900ドル付近を目指す展開にも。
ドル円は0.11%のドル安円高となって小幅に5日続落。5日続落は1月半ば以来、半年ぶりで今年2回め。東京市場朝につけた高値111円50銭近辺からNY序盤につけた安値110円90銭台までのレンジで保ち合いながらもわずかに水準を切り下げる展開。111円割れでは底堅さも見られるものの20日移動平均線(111.39)を超えられない状態となりつつあり、調整局面はもう一段進行してもおかしくはない状態も、米経済指標の好結果や株高基調にも支えられる状況。目先は111円を割れても110円半ばから200日移動平均線(110.11)辺りまでではサポートされやすく、ドル高方向には111円半ばが重い状態に。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場7/24終値とチャート
25日の国内金価格は+6円、0.13%の小幅高となって7日ぶりの反発。いったんは下げ止まった形も一時的な一服状態に過ぎない可能性も。NY金、ドル円ともにやや軟調気味の状態にあり、国内金価格の明確な下げ止まりに向けてはいずれかの反転を待つ状況。24日の4698円が当面の底値となるなら、地合い好転に向けては4月以降の下落幅の23.6%戻し(4767)付近までの戻りが待たれる状況に。一段安の展開となった場合には4650円近辺から4630円辺りまでが下値目安に。
プラチナ価格は+11円、0.34%高となって3日続伸。6月半ば以来となる21日移動平均線(3214)上抜けまでもう一息のところまで回復し、下落トレンドからの脱出に向けての攻防へ。ただし、単独での上値トライ継続はやや厳しいか。金が反発に転じるようなら次の節目となる3270円の攻防ラインに向けての一段高も想定されるものの、逆の展開となれば下方リスク再燃となりかねず、20日の3138円を下回った場合には安値更新と3100円割れも視野に。
金との価格差は1499円となって1カ月ぶりの1500円割れ。月初につけたピークの1635円からは大幅に縮小。
※参考:金プラチナ国内価格7/25とチャート
- 2018年7月25日(水)時点の相場
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国内金 : 4,704 円 7/25(水) ▲6(0.13%) 国内プラチナ : 3,205 円 7/25(水) ▲11(0.34%) NY金 : 1,225.5 ドル 7/24(火) ▼0.1(0.01%) NYプラチナ : 835.6 ドル 7/24(火) ▲4.6(0.55%) ドル円 : 111.22 円 7/24(火) ▼0.12(0.11%)
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