金プラチナ短期相場観
1年以内の失業を意識する人の割合は15%、15ヵ月ぶり高水準
更新日:2020年1月16日(木)
この日発表された1月のNY連銀製造業景況指数は4.8となり、市場予想の3.6を上回って12の月3.3からも上昇。昨年5月(14.4)以来、8カ月ぶりの高水準。昨年6月の-6.4が底値となって回復傾向はゆっくりと進行中。2018年の20ポイント台と比べるとまだまだ低水準で回復途上。
構成指数のなかでは仕入価格と販売価格がいずれも10カ月ぶり高水準となり、見通しでも11-12ヵ月ぶりの高水準となって今後のインフレ上昇への可能性も示唆する結果も。
同時に労働省が発表した12月PPI(生産者物価指数)の食品とエネルギーを除くコアPPIは前年比+1.12%となって3年4カ月ぶりの低水準。前日のコアCPI(消費者物価指数)が+2.26%で5カ月ぶり低水準となったのに続き、現状としては低インフレを象徴する結果に。
しかし、NY連銀が今週発表した12月の消費者調査でのインフレ期待値は1年後も3年後も2.5%台と同水準ながら、いずれも5ヵ月ぶりの高水準へと上昇。ここでもインフレ上昇への可能性を示す結果も。
現実に低インフレ状態が続けば、将来への期待値は上がりやすくなる傾向もあるのかもしれません。
そのNY連銀の消費者調査のなかでは、1年以内に失業、もしくは離職を考える人の割合なども調査されています。
1年以内に失業するかもしれない、と考える人の割合は12月には15.39%となり、2018年9月(15.99%)以来、15カ月ぶりの高水準となっています。
これに対して、1年以内に自発的な離職を考えている人の割合は、12月には20.89%となり、9月(20.09%)以来3カ月ぶりの低水準。比較的好景気の時期には、この数値は23%台まで上昇することもありました。
また、失職後3ヵ月で新たな職を見つけられる可能性は、12月には58.83%となり、10月と並び9ヵ月で最低水準。6月に63.69%まで上昇した後、年末にかけては急低下。
雇用統計などでは、労働市場の好調ぶりが示されてはいますが、消費者の意識のなかでは、少しずつ変化の兆しも見られるようです。
15日のNY金相場は+9.4ドル、0.61%高となって3日ぶりの反発。短期下値目安1530ドル近辺に対しては前日時間外につけた安値1536.4ドルで折り返し、いったん調整を終えた形となって戻りを試す展開が継続。前日NY引けの1540ドル台半ばから、欧州時間には1550ドルを回復するとNY午後には一時1550ドル台後半まで上昇。米中貿易協定の第1段階合意署名式はこの日ホワイトハウスで行われ、トランプ米大統領と中国からは劉鶴副首相らの代表団が出席。対米貿易黒字縮小に向けて中国による2000億ドル相当の購入計画などが盛り込まれ、今後始まる「第2段階で合意に至れば関税は全て撤廃」されるだろうとのトランプ発言も。セレモニーを好感するようにNYダウは史上初の29000ドル台で最高値更新、しかし織り込み済の内容に米10年債利回りは一時的な反発にとどまって1カ月ぶり低水準となる1.80%割れへと低下、ドル安の流れも金をサポート。目先、1540ドルから1560ドルまでの小幅保ち合いレンジを形成、上抜けできれば1590ドル前後を目標に上値再トライにも。下方ブレイクとなれば1520ドル近辺を下値目安に調整再開も。
NYプラチナは+38.3ドル、3.88%の大幅続伸。欧州時間に1000ドル手前まで水準を切り上げていったん上値を押さえられたものの、これを上抜けると一段高となって上値目標1010ドル台へと急騰。NY朝には株高の流れに追随する形となって1030ドルまでさらに上昇。上げ幅としては昨年8月28日(+40.7ドル、4.69%)、900ドルの大台回復した時以来5カ月ぶりの急騰。水準としては2018年高値となった1月25日(1032.1)以来、ほぼ2年ぶりの高値。高値でつけた1030.5ドルも2年前の1月25日高値(1033.3)以来の水準となり、2年越しのダブルトップ形成も意識される重要な攻防ラインにも。NY引け後には一時1033ドルまで、2年前の最高値超えを試す動きも。しかし、目先は大幅調整も警戒され、1000ドルの大台維持の可否が当面のポイントにも。
ドル円は10銭程のドル安円高となって3日ぶりの反落。米12月コアPPIが前年比+1.3%予想に対して+1.1%と低インフレ状態での予想をさらに下回る低迷ぶり。前月比でも予想を下回り、ドル安となって109円80銭割れとなったのがこの日の安値。上値は110円ラインが抵抗線となり、変動値幅20銭余りの小動きで再びボラティリティ低下状態にも。前日に高値圏で十字線を示現したことで反落警戒感も高まる状況ながら、下げ渋る状態にも。目先、再度110円ラインを上抜けできれば110円台半ばまでの短期上値目標再トライへの可能性も。下方向へは109円半ばまでが当面のサポート候補に。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場1/15終値とチャート
16日の国内金価格は+35円、0.59%の続伸。近年最高値となった1月8日(6061)以来、1週間ぶりで今年2番めの高値を更新。12月安値5565円から1月高値6061円までの23.6%戻し(5944)の水準がしっかりとしたサポートを形成した格好にもなり、急上昇を続ける9日移動平均線(5947)もこの水準まで上昇し、下値を固める様子も。ただし21日移動平均線(5788)はまだ遥か下へと乖離していることが不安定要因にも。5945円のサポートを割れた場合には5880円台辺りまでが下値目安に。高値更新は現時点では想定し難いものの、万が一そうなった場合には6100円台へも。
プラチナ価格は+155円、4.12%の大幅高で4日続伸。上昇幅としては2015年10月13日(+158円、4.01%)以来4年3カ月ぶり、上昇率では2013年4月17日(+265円、5.91%)以来6年9ヵ月ぶりの急騰。水準としては2017年3月2日(3992)以来、2年10ヵ月ぶり高値。中期的に意識されそうな節目と予想した3800円の大台ラインと2018年高値3843円をまとめて突き抜けると3900円の大台も突破。次に意識せざるを得ないのは2017年高値3992円。しかし、短期的には急反落警戒感。中期的な抵抗水準として想定していた3800円ラインがサポートとして機能するような展開にも。時間外のNYプラチナは日本時間朝時点では高止まりも、大きく動き出すのは前日もそうだったように欧州時間以降、日本時間夕刻以降は要注意。
※参考:金プラチナ国内価格1/16とチャート
- 2020年1月16日(木)時点の相場
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国内金 : 5,995 円 1/16(木) ▲35(0.59%) 国内プラチナ : 3,921 円 1/16(木) ▲155(4.12%) NY金 : 1,554.0 ドル 1/15(水) ▲9.4(0.61%) NYプラチナ : 1,025.6 ドル 1/15(水) ▲38.3(3.88%) ドル円 : 109.88 円 1/15(水) ▼0.11(0.10%)
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