金プラチナ短期相場観
コロナショック、ダウ下落幅は過去最大、国債利回りは過去最低
更新日:2020年2月28日(金)
トランプ米大統領は「米国民へのリスクは非常に低い」と発言したものの、新型コロナウイルスへの警戒感は米国でも拡大。カリフォルニアでは8400人の経過観察と33人の陽性反応が確認され、テドロスWHO事務局長は「新型コロナウイルスはパンデミックになる可能性」があるとの発言も。この日、バンク・オブ・アメリカは2020年の世界経済の成長見通しを従来の3.2%から、2009年の金融危機の局面以来の低水準となる2.8%へ下方修正しました。
市場の警戒感もコロナショックに急拡大、6日続落となったダウのこの日の下げ幅は1190ドル(4.4%)、過去最大の下げ幅となって昨年8月以来、半年ぶり安値。最後に過去最高値を更新したのが2月12日、そこから2週間で12.7%の急落。米10年債利回りの低下基調も続き、3日連続過去最低を更新して遂に1.3%割れ。
VIX指数は39.16まで跳ね上がり、チャイナ・ショックとなった2015年8月24日(40.74)以来、4年半ぶり高水準。
そんななかで供給不足が続くパラジウムだけは2700ドル台での一段高で史上最高値を更新。
為替では新興国通貨などが売られ続けるリスクオフ状態でのドル高円高。しかし、これまで売られ続けたユーロは対ドルでも大幅上昇。ユーロドルは3週間ぶり高値へと買い戻されています。
そのユーロ高ドル安の流れに貢献したのがユーロ圏景況感指数。欧州委員会が発表した2月の数値では103.5となり、5月(105.0)以来9ヵ月ぶり高水準。6カ月平均でも4年7カ月ぶり低水準となった12月の101.3でボトムをつけた可能性、その後は0.1ポイントずつながら2月は101.5で3カ月ぶり高水準。
製造業は-6.1で13ヵ月連続のマイナス圏ながら、続伸で半年ぶり高水準。サービス業は11.2で横ばい傾向ながら、4年4カ月ぶり低水準となった昨年10月の9.0で底打ちした感も。
国別では、ドイツが101.8となって4ヵ月続伸、8ヵ月ぶり高水準。フランスも105.8で続伸、1年7ヵ月ぶり高水準。オランダも102.2となって半年ぶり高水準。5年8カ月ぶり低水準となった1月の100.2からも反発。
スペインの102.7は12月以来2カ月ぶり高水準、10月に5年5カ月ぶり低水準となった100.8で底入れ反発傾向、イタリアの101.3は横ばい推移も昨年4、9、10月に99.7と4年ぶり低水準を3度つけて反発傾向へ。
2月のユーロ圏は総じて順調に、回復基調が進行している状態のようです。ユーロ圏の景況感には、コロナショックの影響はまだ限定的のようです。
27日のNY金は-0.6ドル、0.04%の小幅安で3日続落。週明け時間外の高値1691.7ドルからの調整局面が週後半まで続いた形も、25日以降はほぼ1640ドル台を中心に保ち合い推移の展開となって下げ渋り。直近3日間の安値は25日と26日の1620ドル台半ば、小さなダブルボトムのネックラインとなる1650ドル半ばで上値を押さえられたこの日の時間外は1650ドルをはさんでの小幅もみ合い推移。米国内でのウイルス感染拡大懸念から米株急落となったNY市場では一時1660ドル台へと反発の兆しとなったものの、過去最低水準まで低下した米10年債利回りが下げ渋って反発に転じたことから失速。一時1640ドル割れへと反落し、NY引け後にかけては1640ドル台を回復して保ち合い推移継続の様相に。週明けまでの急騰局面での過熱感をそれなりに冷ました状態で月末月初を迎え、米国や中国の指標悪化が目立ち始めると再び上値トライの展開にも。1620ドル台が目先のサポート水準となり、これを割り込んだ場合には11月以降の上げ幅の38.2%戻し(1597.9)付近、1600ドル前後までが次のサポートに。
NYプラチナは-9.3ドル、1.02%の大幅安で6日続落。6日続落は昨年8月以来、半年ぶり。6日間合計の下げ幅は99ドルとなり、前回8月の合計値幅29ドルの3倍以上。水準としては12月9日(898.5)以来、2カ月半ぶりの安値。前日NY朝とNY引け後に910ドル割れを2度トライして反発後、時間外ではネックラインとなる920ドルを少し上回ったところで失速。株安の流れにも連れて戻り売り、短期下値目安910ドル付近を突き抜けてNY引け後には900ドルの大台と200日移動平均線(900.1)維持をかけた攻防に。金との価格差は737.0ドル、4日連続で過去最大を更新。
ドル円は80銭超のドル安円高となって反落。新型肺炎感染拡大懸念で東京時間から株安円高の流れ、東京午後に110円を割れるとNY朝にかけては米10年債利回りが過去最低を更新し、一時1.25%付近まで低下すると109円60銭台まで下落。株安一服とともに110円30銭台まで買い戻される場面もあったものの、NY引けにかけては米株の下げ幅拡大に連れて109円50銭台へと急反落。今朝の東京時間にも一時109円30銭台まで急速に売られる場面もあり、やや不安定な動きにも。109円70銭台のサポートを割り込んだことでもう一段下げやすい状態にもなり、目先は1月末安値圏108円半ば辺りまでが下値目安に。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場2/27終値とチャート
28日の国内金価格は-54円、0.85%の反落。株安円高の勢いに押されて高値保ち合い下放れの構図となり、買われ過ぎ緩和に向けても必要な調整局面拡大へ。短期的な下値目安は6270円近辺まで。週末をはさんで世界の感染動向の変化や土曜日の中国2月PMIなどをきっかけに週明けから波乱の展開も警戒される状況にも。6360円台を上抜けるような展開となれば高値再更新トライで6440円近辺までが上値目標に。
週間ベースでは-45円、0.71%安で5週ぶりの反落。月間では+301円、5.01%高で3ヵ月続伸。上げ幅は昨年6月(+372円、7.66%)以来、8カ月ぶりの大幅高。
プラチナ価格は-60円、1.7%の大幅安で5日続落。5日続落は昨年11月(6日続落)以来、その時の下落幅は合計210円、5.92%。今回の5日続落合計では-402円、10.36%。12月10日(3386)以来、2ヵ月半ぶりの安値水準に。やや下げ過ぎ感はあるものの、株安連鎖に追随する状態にもあり、さらに水準を切り下げることになれば昨年6月安値からの上昇幅の半値戻し(3446)に相当し、12月初旬の保ち合い収束水準でもある3440円近辺がサポート候補にも。金との価格差は2832円、5日連続の急拡大で過去最大を更新。
週間では-352円、9.19%の大幅反落。下げ幅は2011年9月26日からの週(-584円、12.97%)以来、8年5ヵ月ぶりの急落。月間では-266円、7.1%の大幅安で3カ月ぶりの反落。昨年5月(-425円、12.48%)以来9ヵ月ぶりの下げ幅。
※参考:金プラチナ国内価格2/28とチャート
- 2020年2月28日(金)時点の相場
-
国内金 : 6,310 円 2/28(金) ▼54(0.85%) 国内プラチナ : 3,478 円 2/28(金) ▼60(1.70%) NY金 : 1,642.5 ドル 2/27(木) ▼0.6(0.04%) NYプラチナ : 905.5 ドル 2/27(木) ▼9.3(1.02%) ドル円 : 109.56 円 2/27(木) ▼0.83(0.75%)
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