金プラチナ短期相場観
コロナショック、リーマンショック以来の全部売り
更新日:2020年2月29日(土)
中国以外で新型コロナウイルスの感染拡大が急速に進行した1週間。パンデミックを警戒する段階となり、市場の警戒感もにわかに高まり、火曜日には一時1000ドル下落して木曜日には1190ドル下落、金曜日にも一時1000ドル下落して7日続落となったNYダウはこの1週間売られっぱなし。
コロナショックとなったこの1週間の下落率を比較すると、
ダウとナスダックの下落率は2008年10月以来、リーマンショック以来、11年4カ月ぶりの急落となり、年初来の下落率を超えています。
欧州株も米株と同程度の急落。日経平均は10%には届いていませんが、月曜日に埋め合わせする可能性があります。日本以上に、誰かが買い支えているものと推測される上海総合は米株の半分程度の下落率にとどまっています。プラチナも一方的に売られて米株と同程度の下落率に。
景気減速による需要減が警戒されていた原油は1年2カ月ぶり低水準となる44ドル台まで大幅下落。年初来下落率では-26.7%とさらに大きくなります。
そして、年初来ではプラス圏を維持するNY金もこの1週間に限っては上海総合並に売られました。
リーマンショック以来の全部売り、となった状態です。
売られっぱなしの株価救済措置として、パウエルFRB議長も利下げを示唆しましたが、PCEインフレが予想以上に伸び悩んだ(前年比+1.8%予想に対して+1.7%、コアOCEは+1.7%予想を下回る+1.6%)ことは不幸中の幸いとなりました。
28日のNY金は-75.8ドル、4.61%の急落となって4日続落。2013年6月20日(-87.8ドル、6.39%)、バーナンキ(当時)FRB議長がQE縮小を示唆した、いわゆるバーナンキショックの時以来、6年8ヵ月ぶりの大幅下落となり、2月5日(1562.8)以来、3週間ぶりの安値水準。コロナショックはパンデミックを警戒する段階となりつつあり、世界同時株安も止まらず、金も売られ始める状態へ。25日以降続いていた1640ドル台を中心とした保ち合い推移から欧州時間には1630ドルを挟んでの保ち合いへと水準を切り下げ、NY朝に1620ドルを割れると急落の展開へ。12日から24日までの8日続伸で急騰した値幅のほぼ全てを吐き出す形に。なお、パウエルFRB議長の利下げ示唆を好感してNY引け後には1560ドル台から1580ドル台まで反発。急速に買われ過ぎた状態を一気に解消した形にもなり、いったんは落ち着く可能性もあるものの、コロナ動向と株安動向にも左右される不安定感も。2月前半の保ち合い水準1570ドルを再度下回る展開となれば、今年安値圏1520ドル付近までが次の下値目安にも。
週間ベースでは-82.1ドル、4.98%の大幅安となって3週ぶりの反落。下落率では2016年11月7日からの週(-80.2ドル、6.15%)以来3年4ヵ月ぶりの急落。月間では-21.2ドル、1.34%安で3カ月ぶりの反落。
NYプラチナは-40.8ドル、4.51%の大幅安で7日続落。7日続落は2017年9月(11日続落)以来、2年5ヵ月ぶり。7日間合計の下げ幅は139.8ドルとなり、前回の合計値幅84.7ドルを大幅に超える下げ幅。水準としては昨年8月26日(857.8)以来、半年ぶりの安値。時間外にあっさりと900ドルを割れると株安の流れに追随するようにコンスタントに値を下げる展開となってNY午前には一時840ドル台まで下落。NY引け後には860ドル台まで反発し、中期的な節目となっていた11月安値867.8ドル付近。一時的にはこの水準を大きく下回っており、再度下値模索の展開となった場合には中期上昇トレンドの起点となっていた昨年6月安値圏、800ドル前後の水準が意識されることにも。
週間ベースでは-111.4ドル、11.41%の大幅反落。10年間で最大の下落。月間では-97.2ドル、10.11%の大幅続落。昨年5月(-97.5ドル、10.93%)以来9カ月ぶりの急落。
ドル円は150銭弱、1.35%のドル安円高となって大幅続落。下げ幅としては2017年5月17日(-2.31円、2.04%)、ロシアゲート疑惑で米政局不安が高まった時以来、2年9カ月ぶりの急落。水準としては昨年10月31日(108.01)以来、4ヵ月ぶりの安値。コロナショックの株安と長期金利低下の流れとともにコンスタントにドル安円高の流れとなり、NY午後にはパウエルFRB議長の利下げ示唆発言を受けて米10年債利回りが過去最低を更新して1.12%付近まで低下したことにも連れて一時107円50銭台まで下落。10月10日(107.17)以来、4カ月半ぶりの安値をつけた後は108円00銭台まで反発して終了。下値目安108円台半ばを大きく下回る展開となり、1月8日につけた今年安値107円60銭台をわずかに更新したことにより、下値トライ再開となれば次の節目として10月安値106円半ばが意識される可能性。
中国国家統計局が29日に発表した2月の製造業PMIは35.7へと急低下。非製造業PMIはさらに下回る29.6へと急落。週明け東京市場朝も不安定な状態が続くことにも。
週間ベースでは-3.50円、3.14%の大幅安で4週ぶりの反落。2016年7月25日からの週(-4.09円、3.85%)以来、3年7ヵ月ぶりの急落。月間では-31銭、0.29%の小幅安となって3カ月続落。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場2/28終値とチャート
- 2020年2月29日(土)時点の相場
-
国内金 : 6,310 円 2/28(金) ▼54(0.85%) 国内プラチナ : 3,478 円 2/28(金) ▼60(1.70%) NY金 : 1,566.7 ドル 2/28(金) ▼75.8(4.61%) NYプラチナ : 864.7 ドル 2/28(金) ▼40.8(4.51%) ドル円 : 108.08 円 2/28(金) ▼1.48(1.35%)
コロナショック、リーマンショック以来の全部売り 2/29(土)
コロナショック、ダウ下落幅は過去最大、国債利回りは過去最低 2/28(金)
中国の自動車販売台数は1月に急減、2月指標は見るのも・・・ 2/27(木)
米10年債利回り過去最低で逆イールド再び、3月利下げ示唆も 2/26(水)
PIVOT指数から見るNY金相場サポート&レジスタンスライン
PIVOT指数から見るNYプラチナ相場サポート&レジスタンスライン