金プラチナ短期相場観
求人件数は8ヵ月ぶり減、過去最高更新も6ヵ月ぶりストップ
更新日:2021年10月13日(水)
米労働省発表の月次求人労働異動調査(JOLTS:Job Openings and Labor Turnover Survey)で8月の求人件数は1043.9万件。市場予想の1095.4万件を下回り、7月の1109.8万件からは5.94%減。前月比で減少するのは今年初、昨年12月以来で8ヵ月ぶり。減少幅としてはコロナショック時の昨年4月以来、1年4ヵ月ぶり急減。そして3月から続いていた過去最高更新も6ヵ月ぶりにストップ。
前年比では+61.82%。依然として高水準の伸びを維持し、前年比プラスは7ヵ月連続ながら、4月の前年比+98.55%をピークに4ヵ月連続の低下。
求人件数は高水準を維持しながらも、ピークアウトの兆しも見られます。
その一方で、自発的な離職者の割合を示す離職率は7月の2.7%から8月は2.9%へと上昇。4月の2.8%を超えて過去最高を更新しています。
アトランタ連銀が既に発表していた転職者の賃金上昇率(中央値)は7月の4.4%から8月には4.8%へと急騰。13年10ヵ月ぶり高水準。これに対して非転職者の賃金上昇率は3.2%から3.3%へと小幅上昇にとどまり、転職者と非転職者の賃金上昇率格差は8月に1.5%へと拡大。1年7ヵ月ぶりの高水準となり、離職率急騰要因の一つとなっています。
米労働市場の順調な回復基調を示す指標結果を背景に、ドル高円安の流れはこの日も止まりません。
12日のNY金相場は+3.6ドル、0.21%の小幅高で4日ぶりの反発。時間外序盤に1750.5ドルの安値をつけて反発。米10年債利回りが4ヵ月ぶり高水準となった1.62%台から1.57%台まで低下基調が進行し、ロンドン時間にはドル安の流れにも連れて1760ドル台を回復。1750ドル台前半までの下押しをはさんでNY市場では一時1770ドルまで上昇。しかしNY午後には米10年債利回りの下げ渋りとドル高の流れに押されて1760ドル付近まで急反落。レンジ上限1770ドルではしっかり上値を押さえられ、行って来いの上ヒゲを残しながら下値も1750ドル近辺では底堅く、NY引けにかけては20日移動平均線(1758.8)との攻防状態。20日線を突破してさらに1770ドルの節目超えとなれば反発基調再開で1800ドルの大台回復が当面の目標に。8日連続で下値を支えられた1750ドル近辺のサポートを割り込むようなら9月安値圏1720ドル近辺が意識される展開にも。
NYプラチナは+4.8ドル、0.48%の反発。時間外序盤の1002ドルがこの日の安値となって大台割れを回避。終値ベースで3日連続1000ドル以上を維持したのは8月末以来、1ヵ月半ぶり。ただし反発の勢いも限定的となり、NY市場での高値1020ドル近辺を上限に20ドル弱の値幅で保ち合い推移。NY午後には軟調推移となってNY引け後には1005ドル近辺へ、またしても大台割れへの警戒感も。なお、8月末までの大台維持も3日連続。4日連続は8月中旬以来、それ以上の長期間大台維持は8月5日以前まで2ヵ月以上遡ることに。大台割れなら980ドル近辺が下値サポート候補、切り返して1030ドルの節目超えなら1050ドル近辺までが上値目標。
ドル円は27銭のドル高円安、0.24%高となって4日続伸。2018年12月13日(113.63)以来、2年10ヵ月ぶりの高値水準。東京朝の113円40銭台から軟調推移、米10年債利回りの低下基調とドル安の流れにも連れて東京市場終了後には113円ちょうど近辺まで下落。しかし、113円割れを回避すると欧州時間にかけてはドル安の巻き戻しとなって113円40銭台へと反発。NY朝には抵抗水準となる可能性もあった113円40銭台を突破するとストップ・ハンティングとなった格好で113円70銭台まで急騰。上昇一服後は下値も堅く、NY終盤にかけては113円50銭台に収束。今朝の東京市場では113円40銭近辺へと調整の動きに。調整進行で113円の節目割れの場合には9月安値からここまでの上昇幅の23.6%戻し(112.69)近辺が下値目安にも。CPI上振れなどをきっかけに高値更新が続くようなら、114円の節目、2018年11月高値114円20銭辺りまでが意識される可能性も。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場10/12終値とチャート
13日の国内金価格は+34円、0.49%高で3日続伸。9月7日(7027)以来5週間ぶり高値圏での一段高。止まらない円安基調に支えられて行き過ぎ警戒水準の最初の目安、7000円の大台超えを達成。90日移動平均線(6958)超えが2日連続となるのは1ヵ月ぶり。3日以上となれば8月3日以来、2ヵ月ぶりに。そうなれば90日線の下げ止まりとともに中期トレンド改善への勢いが増す可能性も。目先は9月高値(7033)、7月高値(7048)なども視野に。調整方向へは6950円近辺がサポート候補。
プラチナ価格は+16円、0.41%の反発。やや行き過ぎの展開からの巻き戻しも限定的となって下げ渋る格好となり、3940円から3980円までの小幅保ち合いレンジを形成。上抜けとなればさらに一段高へ、4020円程度までが短期上値目標となって4ヵ月ぶりに90日移動平均線(4030)との攻防にも。下抜けなら調整局面形成へ、3880円程度までまでが短期下値目安に。
※参考:金プラチナ国内価格10/13とチャート
- 2021年10月13日(水)時点の相場
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国内金 : 7,004 円 10/13(水) ▲34(0.49%) 国内プラチナ : 3,959 円 10/13(水) ▲16(0.41%) NY金 : 1,759.3 ドル 10/12(火) ▲3.6(0.21%) NYプラチナ : 1,011.7 ドル 10/12(火) ▲4.8(0.48%) ドル円 : 113.60 円 10/12(火) ▲0.27(0.24%)
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