金プラチナ短期相場観
6月コアCPIは5%割れ、想定以上のインフレ鈍化でドル急落
更新日:2023年7月13日(木)
米6月CPIでは想定以上にインフレ鈍化が意識される結果となり、7月で利上げ打ち止め観測も台頭。米長期金利急低下とドル急落となってNY金は急上昇。
6月のCPI総合指数は前年比+2.97%。市場予想の+3.1%を下回り、5月の+4.05%からも急低下。12ヵ月続落となって2021年3月(2.62)以来、2年3ヵ月ぶりの低水準。
コアCPIは前年比+4.83%。市場予想の+5.0%を下回り、5月の+5.33%からも急低下。3ヵ月続落で2021年10月(4.56)以来、1年8ヵ月ぶりの低水準。
カテゴリー別では、食品価格が前年比+5.7%。10ヵ月続落で2021年10月(5.3)以来、1年8ヵ月ぶりの低水準。
エネルギー価格は-16.7%。続落で4ヵ月連続の前年割れ、2020年5月(-18.9)以来、3年1ヵ月ぶりの低水準。
食品とエネルギーを除くモノの価格は+1.3%。4-5月(2.0)から低下し、2月(1.0)以来4ヵ月ぶりの低水準。2021年3月以降の2年3ヵ月では2番めの低水準。
エネルギー関連を除くサービス価格は+6.2%。ピークの2月(7.3)から4ヵ月続落で10ヵ月ぶりの低水準。
エネルギー価格の急落状態がインフレ鈍化を牽引し、モノの価格も高インフレ解消。ただし食品とサービス価格は異常な高インフレは脱したものの、依然高インフレ。
クリーブランド連銀発表のメディアンCPIは前年比+6.44%。過去最高の2月(7.20)から4ヵ月続落となり、11ヵ月ぶりの低水準。
16%トリム平均CPIは+5.02%。過去最高の9月(7.31)から9ヵ月続落で、1年半ぶりの低水準。
アトランタ連銀発表のスティッキーCPIは+5.76%。ピークとなった年末年始の6.7%台から4ヵ月続落となり、1年ぶりの低水準。
いずれも鈍化傾向は継続、ただし水準としては依然、5%超の高インフレ。
12日のNY金は+24.6ドル、1.27%の続伸で6月16日(1971.2)以来、1ヵ月ぶりの高値。1940ドル付近での揉み合い推移となった時間外を経て、NY朝の米6月CPI結果を受けて急騰。米10年債利回り急低下とドル急落の流れを受けて20ドル超水準を切り上げ、NY午後も1960ドル台を維持して高値では1965ドルまで上昇。ドルインデックスが1年3ヵ月ぶり安値水準まで急落したことにもサポートされ、1930ドルの節目上抜けに伴う短期上値目標、5月高値(2085.4)から6月安値(1900.6)の38.2%戻し(1971.2)付近に急接近。若干の上昇余地を残しながらも、重要イベント通過とともに一定の急変動をこなしたことから一服感も。右肩上がりの90日移動平均線(1969.7)が目先の抵抗線候補となる反面、これを上抜けると38.2%戻し(1971.2)も突破して50.0%戻し(1993.0)が意識され始めるような展開にも。
NYプラチナは+24.2ドル、2.6%の反発で6月20日(968.0)以来、3週間ぶりの高値。上昇一服となった前日のNY終値930ドル付近がこの日の安値となり、上値トライ再開。ロンドン市場で940ドル台へと水準を切り上げるとNY朝には金の急騰局面に追随、960ドル台まで上昇してNY午後には950ドル台半ば。2ヵ月ぶりに20日移動平均線(940.2)を上抜けての急騰となり、930ドルの節目上抜けに伴う短期上値目標、4月高値(1148.9)から6月安値(894.2)の23.6%戻し(954.3)近辺にもしっかり到達。短期的には一服感も、地合い回復で短中期的には38.2%戻し(991.5)が意識される可能性も。
ドル円は182銭のドル安円高、1.38%安で5日続落。5月19日(137.97)以来、ほぼ2ヵ月ぶりの安値圏。5日続落は今年初で昨年12月以来、7ヵ月ぶり。下げ幅としては今年の絶対値平均69銭の2.6倍で今年5番めの急落。東京朝に140円を割り込んで139円30銭台まで下落、139円台半ばでの揉み合いとなった欧州時間を経てNY朝にはCPIの結果を受けて139円割れへと一段安。米10年債利回り低下とともにドル安の勢いが強まり、安値では138円10銭台まで下落してNY終盤には138円50銭台を回復。今朝の東京市場では下値再トライも138円を割れず、138円50銭台へと再反発。短期的にはここまでの急落局面形成と重要イベント通過で一服感からの自律反発も見込まれる状況にも。ただし短中期的には重要水準139円近辺を割り込んだまま、これを回復できないようだと下値トライ継続となる可能性も。3月安値(129.64)から6月高値(145.07)の61.8%戻し(135.53)近辺までが当面の下値目標に。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場7/12終値とチャート
13日の国内金価格は前日から変わらず、5日続落で4月28日(9350)以来、2ヵ月半ぶり安値となった12日から横ばい推移。最高値圏で形成したダブルトップからの下値目安9500円、4月末安値(9341)から7月高値(9772)の61.8%戻し(9506)近辺に到達して一服。下げ止まりの可能性も示しながら、1ミリも反発できず。一段安警戒水準としては76.4%戻し(9443)近辺、いったん底打ちとなれば最高値(9722)からここ(9504)までの23.6%戻し(9567)近辺が当面の反発目標。
プラチナ価格は+58円、1.29%の反発で前日下落分を取り戻し、ロウソク足なら鯨幕相場。3ヵ月ぶり安値圏での保ち合いとなって鍋底を形成。9日移動平均線(4560)をわずかに上回って弱気のパーフェクトオーダーも解消。4570円超へと抜け出すことができれば底打ち・反発への可能性は高まり、4630円程度までが短期上値目標となり、右肩下がりの21日移動平均線(4641)との攻防へも。鯨幕継続で4500円の重要な節目を割れるようだと下値トライ再開、4430円程度までが短期下値目安に。
※参考:金プラチナ国内価格7/13とチャート
- 2023年7月13日(木)時点の相場
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国内金 : 9,504 円 7/13(木) +-0(0.00%) 国内プラチナ : 4,565 円 7/13(木) ▲58(1.29%) NY金 : 1,961.7 ドル 7/12(水) ▲24.6(1.27%) NYプラチナ : 956.6 ドル 7/12(水) ▲24.2(2.60%) ドル円 : 138.54 円 7/12(水) ▼1.82(1.30%)
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