金プラチナ短期相場観
ユーロ圏7月総合PMIは一段と低調、ユーロ安が金の上値も抑制
更新日:2023年7月25日(火)
ユーロ圏経済は低迷状態のまま第3四半期をスタート。
ユーロ圏の7月総合PMI速報値は48.9。市場予想の49.6を下回り、6月の49.9からも一段と低下。3ヵ月続落で2ヵ月連続の節目50割れとなって昨年11月(47.8)以来、8ヵ月ぶりの低水準。
ドイツも48.3となり、6月の50.6から急低下、3ヵ月続落で半年ぶりの節目50割れ、8ヵ月ぶりの低水準。
フランスは46.6。4ヵ月続落で2ヵ月連続の節目50割れ。4ヵ月連続でドイツを下回り、2年8ヵ月ぶり低水準となってユーロ圏の低迷を主導。
製造業PMIでは独・仏・ユーロ圏いずれも2020年5月以来、3年2ヵ月ぶりの低水準でコロナ後最低。
サービス業PMIではドイツが5ヵ月ぶり低水準も節目50超を維持し、ユーロ圏も6ヵ月ぶり低水準で50超を維持に対し、フランスは47.3となって2ヵ月連続の節目50割れ、3ヵ月続落で2年5ヵ月ぶり低水準。
需要は軒並み悪化。新規受注は8ヵ月ぶりの低水準となり、製造業での低下幅は2009年2月以来の急落となり、サービス業でも7ヵ月ぶりに節目50割れ。
生産高予想や新規受注といった先行指標も悪化しており、今後数ヵ月で景気後退が深まる可能性も示唆。
製造業の悪化傾向は止まらず、サービス業もフランス主導で減速傾向が強まる状況に。
これに対して米国は総合PMIが52.0となって5ヵ月ぶり低水準。サービス業も同様で減速傾向が継続。製造業は3ヵ月連続の節目50割れも、49.4となって6月の46.3からは急反発。3ヵ月ぶりの高水準となり、下げ渋りの可能性も示唆。
米欧いずれも減速傾向が続くPMIの状況にもやや格差が見られ始め、その差がドル高ユーロ安基調にも現れた様子。この日はユーロドルの反発局面でユーロ圏PMIの結果を受けて急反落、ユーロ安がNY金の上値も抑制した格好に。
24日のNY金は先週末から-4.4ドル、0.22%安となって3営業日続落。7月17日(1956.4)以来、1週間ぶりの安値。週明け時間外は1960ドル台前半での小幅保ち合いから、ロンドン・NY朝にかけて揉み合いながら1970ドル付近まで上昇。しかし米10年債利回りが3.80%近辺で下げ渋って反発した流れに連れて反落、1960ドル割れではいったん下げ渋ったもののNY引け後には1950ドル台半ばへと一段安。7月の上昇基調のなかでは初の3日続落でトレンド崩れも意識される状況に。1950ドルの節目割れならもう一段の下落局面形成へ、6月安値(1900.6)と7月高値(1989.8)の61.8%戻し(1934.7)から1930ドル近辺までが短期下値目安に。
NYプラチナは-2.7ドル、0.28%の反落。970ドルを挟んでの小幅保ち合いで週明け時間外をスタートし、徐々に振幅幅を拡大。ロンドン序盤には960ドル台半ばから970ドル台半ばへと反発、NY朝には960ドル台前半へと反落後、NY午後には970ドル台半ばまで再反発。しかしNY引けにかけては970ドル割れへと軟調推移。3日連続960ドル付近では下げ渋る格好となり、下値サポートの堅さを確認して1000ドルの上限までの保ち合いレンジを維持、できるかどうかという状態にも。維持できなければ6月安値(894.2)から7月高値(1003.7)の61.8%戻し(936.0)近辺までを目安に一段安の展開にも。
ドル円は34銭のドル安円高、0.24%安となって5日ぶりの反落。週末と同水準でスタートした週明け東京朝の141円80銭台が高値となり、調整の動きに。東京市場では141円30銭台では下げ渋るも、欧州時間には141円割れ、NY朝には141円ラインでの攻防状態となり、強弱混在となった米7月PMI速報値の結果を受けて乱高下。一時140円70銭台まで小幅に急落後は141円40銭台へと急反発。NY終盤にかけて141円半ばを回復して一服状態に。週末までの大幅上昇からの調整局面形成も下ヒゲを残しての押し目買い、ただし右肩下がりの20日移動平均線(141.77)に上値を押さえられた状態に。FOMC前に動き難い状況ながら、20日線から141円90銭の節目、142円ラインをしっかり上抜けるようなら、もう一段の上値トライ先行の展開にも。6月高値(145.07)から7月安値(137.24)の61.8%戻し(142.08)を超えると76.4%戻し(143.22)近辺までが短期上値目標に。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場7/24終値とチャート
25日の国内金価格は-48円、0.49%の反落。9710円の節目上抜けに伴う短期上値目標9780円台を目指した流れは9755円までにとどまって反落、最高値(9772)更新にも失敗し、6月19日(9762)と合わせてトリプルトップ形成の可能性を残しての失速。短期的には9690円の節目を維持できなくなれば一段安への可能性が高まり、9600円近辺までが下値目安に。ただし短期トレンドはまだ崩れてはおらず、9760円超へと切り返すことができれば最高値更新再トライへ、短期上値目標は9800円の大台ライン近辺へ。
プラチナ価格は-29円、0.61%の反落。反発局面一服後の保ち合い形成状態となり、目先のレンジは4650円から4730円まで。上限突破できれば新たに上昇局面形成へ、90日移動平均線(4791)を上抜けて4800円の大台回復が短期上値目標に。下限割れなら21日移動平均線(4622)も下抜けへ、4600円の大台割れが短期下値目安。
※参考:金プラチナ国内価格7/25とチャート
- 2023年7月25日(火)時点の相場
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国内金 : 9,707 円 7/25(火) ▼48(0.49%) 国内プラチナ : 4,701 円 7/25(火) ▼29(0.61%) NY金 : 1,962.2 ドル 7/24(月) ▼4.4(0.22%) NYプラチナ : 969.5 ドル 7/24(月) ▼2.7(0.28%) ドル円 : 141.50 円 7/24(月) ▼0.34(0.24%)
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