金プラチナ短期相場観
世界の景気回復は期待はずれ
更新日:2014年8月12日(火)
これまであまり表に出て来なかったFRBのフィッシャー副議長が何を語るのか、その講演には注目が集まりました。生産性の鈍化や労働参加率の低下などによって、米国の潜在成長率が低下している可能性を危惧し、世界的に見ても同様のことが起きている、との指摘がありました。これは一時的である可能性も否定できないが、構造的変化に伴う長期的なものであるとも考えられるとし、中央銀行としてはインフレや雇用、成長全般などへの認識の修正を迫られている、とのこと。
このフィッシャー副議長、前イスラエル中銀総裁でバーナンキ前FRB議長やドラギECB総裁の恩師でもあり、確かイエレン議長のご主人の恩師でもあったはずで、かつてはフォワードガイダンスに対して否定的な立場をとり、タカ派として知られていた方のはず。
今回の発言では、イエレン議長の発言に同調する内容となり、「だからゼロ金利を当面続けるべき」ともとれる内容で、ハト派色が強まる印象に。
実際に、米国や世界の景気回復が期待はずれ、の状況がまだしばらく続くことになるのか、もしくはFRBの金融政策正常化、引き締めに向けての市場混乱回避を狙った発言か。
いずれにしても、FRB理事の間、少なくともトップレベルでのコンセンサスはとれている、ということは言えそうです。
11日のNY市場、金相場はわずかに0.04%安で続落。地政学リスクへの警戒ムード一服感により小動きに終始。1,280-1,320ドルのレンジ内上半分のレンジでの推移が続き、9-90日移動平均線も1,300ドル付近をめがけて収束中。この近辺が下値サポートラインとなる可能性も。方向感もニュートラルからやや上向き加減へ。
プラチナ相場は0.45%続落。7月10日以降コンスタントに高値が切り下がる下落トレンドが継続中。1,490ドル台が上値抵抗線となり、下値目標水準1,440ドル近辺を目指す流れも続くなか、中期上昇トレンドをサポートする90日移動平均線が1,460ドルを超えてきており、この近辺での攻防がポイントに。
ドル円は0.11%の小反発。102円台前半で再び値動き停止状態へ。長期サポートラインとなっていた200日移動平均線は右肩上がりを維持し、102円26銭辺り。7月以降、このラインとの攻防が続き、徐々に下回る時間が長くなりつつある状況。抵抗線としての存在感が高まる前に、上抜けしておきたいところ。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場8/11終値とチャート
12日の国内金価格は0.11%の小幅反発。4,600円の大台到達後の小康状態が継続。上方向への加速の兆しはあるものの、NY金と為替の動きが同時に停止した状態では動きようがない。なんらかのきっかけ待ちで最大4,680円近辺までの上昇余地。下方向へは4,540円付近がサポートライン。
プラチナもわずかに1円反発。ゆっくりとした下落基調のなかでの一服状態が続き、レンジ形成への可能性も徐々に高まるものの、5,100円程度までの下値余地も継続。上方向には5,220円がレジスタンス。
※参考:金プラチナ国内価格8/12とチャート
- 2014年8月12日(火)時点の相場
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国内金 : 4,605 円 8/12(火) ▲5(0.11%) 国内プラチナ : 5,167 円 8/12(火) ▲1(0.02%) NY金 : 1,310.5 ドル 8/11(月) ▼0.5(0.04%) NYプラチナ : 1,471.6 ドル 8/11(月) ▼6.7(0.45%) ドル円 : 102.19 円 8/11(月) ▲0.11(0.11%)
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