金プラチナ短期相場観
回復傾向を示したダッシュボード、注目度高まるイエレン発言
更新日:2016年2月10日(水)
イエレン・ダッシュボードの2016年2月版では、全9指標中5指標が回復率100%以上となり、先月までの4指標から一段と労働市場の回復が進んだことになります。
リセッション前の水準に100%回復したのは、従来の非農業部門雇用者数(NFP、前月比増加数3カ月平均)、失業率、求人率、解雇率に加え、退職率も。
前月から数値が改善したのは、失業率、労働参加率、求人率、退職率、解雇率の5指標。悪化したのはNFPと長期失業者の割合。
各指標の回復目安(100%の基準:リセンション前の水準)と最新の数値は、
NFP:16.2→23.1
失業率:5.0%→4.9%
労働参加率:66.1%→62.7%*
長期失業者の割合:19.1%→26.9%*
U6失業率:8.8%→9.9%*
求人率:3.0%→3.8%
退職率:2.1%→2.1%
解雇率:1.4%→1.1%
採用率:3.8%→3.7%*
*:回復率100%未達
なお、回復率の平均値では前月時点の92.3%から96.8%へと急上昇し、過去最高。労働市場の活性化を示す指標でもある退職率の100%到達により、過半数の指標が完全回復状態に。
また、12月の求人件数は560.7万件。市場予想の541.3万件を上回り、過去最大となった7月に次ぐ高水準、4月以降9カ月連続で530万件超の高水準を維持。 2015年の年間平均は534.3万件となり、2014年の457.9万件から大幅上昇で過去最大水準を更新。
雇用統計での雇用者数の伸び鈍化、失業率改善と賃金上昇傾向に対し、労働市場情勢指数(LMCI)では鈍化示唆。しかし、イエレン・ダッシュボードでは労働市場の回復が着実に進行している状況を示し、イエレンFRB議長の米労働市場への認識は従来どおりの堅調維持を示唆することも予想されます。
その発言が気になるイエレン議長の議会証言が本日、明日と行われ、波乱状態が続く市場の沈静化に向けてのきっかけとしても注目度が高まります。
堅調な労働市場を背景に利上げフェーズ継続も示唆するようなら、ドル高進行で目先のドル安円高が巻き戻される展開も予想されるものの、米株安主導で株安円高の巻戻しを抑制する圧力も。逆に混乱状態のマーケットへの配慮を優先するようならドル安米株高へ。
結果的に円高の急速な巻戻しは望めず、日本株の上値の重さもそれほど改善されず、リスク回避地合いの大幅改善への期待値はそれほど高まらない、というケースも想定されそうです。
そうなると、金相場の行き過ぎた堅調推移も、まだ継続か。
9日のNY金相場は前日比0.7ドルの小幅高となり5日続伸。東京市場では10年債利回りが初のマイナスとなるなどリスク回避の大幅株安円高、いったん反発後の欧州市場でも欧州株続落、NY時間にも巻戻し後に原油一段安と基本的にはリスク回避で安値圏での荒い値動きとなったリスク資産に対し、金は1190ドルをはさんでの上下動。高値圏での乱高下気味の値動きとなり、1200ドルの大台ラインを当面の抵抗水準としていったん調整の気配も。今朝時点では1190ドルの攻防。
NYプラチナ相場は1.15%の大幅続伸。90日移動平均線を超えて4日め、さらに200日移動平均線からの下方乖離率も4%へと縮小。5%を切るのは2014年9月16日以来、実に1年5カ月ぶりのこと。長期トレンド転換へと向かう流れが一段と進行し、200日線との攻防とともに反落リスクとの攻防も。急反落の場合には900ドルの大台ラインがサポート水準に。
ドル円は0.64%の続落。NYダウの16000ドル、日経平均16000円の攻防とともに1ドル=115円ラインの攻防が意識され、何度も割り込みながらも終値ベースでは長い下ヒゲを残しながら持ち堪える状況。今朝の東京市場でも下押し圧力が強く、株安円高の下値トライ先行の苦しい展開に。2013年前半の長期保ち合いの底辺100円70銭台から2015年高値125円80銭台までの50%戻し113円30銭付近が当面の下値警戒水準。イエレン発言がリスク回避緩和効果をもたらすかどうか。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場2/9終値とチャート
10日の国内金価格は0.53%の反落。止まらない円高の流れによって上値トライも急減速。7カ月ぶりの200日移動平均線超えが容易ではないことを思い知らされた形。市場全体が不安定な状況のなかで祝日をはさむことになり、思わぬ価格変動にも要警戒。基本的には4750円程度を目指す流れのなかで、急加速によるオーバーランで4800円辺りまで急騰する可能性もあれば、急反落で4640円を割り込むようなら4600円割れへと大幅安の展開も。
国内プラチナ価格は0.05%の小幅高で5日続伸。目標水準3710円台と90日移動平均線を目前に足踏み状態。現状の3700円近辺の水準は12月高値水準でもあり、やや抵抗感も高まるところ。1年ぶりの90日線超えトライ失敗への警戒感も。
※参考:金プラチナ国内価格2/10とチャート
- 2016年2月10日(水)時点の相場
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国内金 : 4,709 円 2/10(水) ▼25(0.53%) 国内プラチナ : 3,691 円 2/10(水) ▲2(0.05%) NY金 : 1,198.6 ドル 2/9(火) ▲0.7(0.06%) NYプラチナ : 939.4 ドル 2/9(火) ▲10.7(1.15%) ドル円 : 115.10 円 2/9(火) ▼0.74(0.64%)
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